2024年1月1日に発生した石川県能登半島地震から1年4ヶ月。
おいうちをかけるように能登を襲った同年9月21日の豪雨被害からまもなく8ヶ月が経とうとしています。
ピースボート災害支援センター(PBV)は、地震発災翌日の2024年1月2日から現地入りし、引き続き現在も、輪島市と珠洲市に常駐して支援活動を行っています。直近1ヶ月の出来事についてまとめました。
避難所の閉所(輪島)
入浴支援「まちのの湯」(輪島)、無人支援物資配布車両「フーバー」(珠洲)の終了に続き、4月13日、輪島市で開設していたすべての避難所が閉所になりました。閉所に伴い、PBVの「避難所運営」支援も終了しました。
1年3か月、さまざまな方のお力をお借りし、地域住民のみなさんと一緒に避難所の運営に携わらせていただきました。地震と豪雨という2度の大きな災害によって、多くの方々が住むところを追われました。そうして避難所で生活を続けていた方は、時間が経つにつれ仮設住宅が完成したことで、順次、新たな住まいに移行されていきました。
▼閉所当日の様子
避難所の運営にあたって、PBVスタッフはそれぞれが「一瞬でもほっとできる環境を」「いかに信頼してもらえるかを」「いろんなことを一緒にするということを意識しよう」「快適に暮らせるようなルールづくりを」「今日よりも明日の方が過ごしやすくなるように」「応援の職員の方や他団体の方とお互いに理解しながらスムーズに運営できるように」などを心がけて支援を実施してきました。
▼スタッフの声
しかし、避難所から出て仮設住宅に移ったことによって住居の課題が解決したかといえばそうではありません。
住民の方々にとってはむしろここからがスタート。今も、「自宅の何をどこまで修繕するか迷っている」「新築を建てるのは難しいけど、自分の家で暮らしたい」「仮設住宅でこのままずっと暮らしていくイメージはもてないけど、かといって次どこに住むか住めるのか、まったく分からない」など、住まいに関する悩みや心配ごとはつきません。
「将来のことが一番不安」
「入れてもらってなんだけど狭くて…」
「悪いことばかり考えてしまう」
今も不安を抱えている人がいます。
▼避難所から仮設住宅等に移られた住民の方々の声
退所された方から「みんなと会わなくなって、人と話す機会が減りました」という声も届くようになってきました。
避難所の閉所はひとつの節目にはなりますが、今後はコミュニティの再建という課題があります。災害によってコミュニティが分断されてしまったことで、孤独を感じられたり生きがいややりがいといった役割を失ってしまったという方が多くいらっしゃいます。一般的には「避難所が閉まって良かったね」と思われますが、引っ越し先での新生活に大きくギャップを感じるのも事実です。
PBVでは、避難所を退所したあとも住民の方が相談できる場が失われないよう、市や社協、連携団体等と情報を共有しお繋ぎしています。これからも現地で、さまざまなニーズと支援を繋げる「支援調整」を続けるとともに、「コミュニティ形成」にも力を入れて支援を継続していきます。
災害ボランティアセンター運営支援(珠洲)
珠洲市では、現在も珠洲市社協災害ボランティアセンターでの運営支援を継続中です。
珠洲市災害ボランティアセンターにきた依頼は、延べ7600件を超え、現在も、NPOの活動は毎日、一般ボランティアの活動は週末(金・土)に実施しています。
継続的な片付けの対応や、業者さんがなかなか来られず、雨漏りがひどくなってしまったお宅の応急的な家屋対応の依頼など、数回依頼をされている方もいますが、『発災後から初めての依頼』もあります。
「まだ、ボランティアさん、お願いできますか?」
「震災後から市外に避難をしていて、なかなか珠洲に来れなかった」
「暖かくなってきたからね。そろそろ片付け始めようかなと思って」
「今まで片付けをする気が起きなくて、1年経ってやっとボランティアさんに片付けのお手伝いをお願いしようって思った」
被災された方には、すぐに片付けようと動ける人もいれば、何をどうしたらいいのかわからない、被災した自宅から離れて生活している、気持ちの整理ができていない等、様々なご事情で対応が難しい方もいます。目の前の物が片付いていくことはもちろんですが、物の片付けだけではなく、被災された方の心の整理も必要になります。
そして、おひとりおひとり、心の整理にかかる時間、対応は異なります。社会福祉協議会や災害ボランティアセンターのスタッフの方々は、一人ひとりの生活背景を受け止めながら、一件一件丁寧に対応をされています。
そして、家屋の対応だけでなく、継続的な生活サポートが必要な方へは、同じ珠洲市社協が運営するささえ愛センターにお繋ぎをし、個別での対応をお願いしています。
住民さんそれぞれのペースで気持ちを整理し進んでいけるよう、引き続き、社協、ささえ愛センター、行政、連携団体と情報共有や相談しながら活動を進めていきます。
今後の活動予定
現在、毎日のようにいくつもの関連団体と、被災者状況の共有や課題、解決方法を話し合いながら活動を進めています。
これまでの活動のようすを45以上のメディア(新聞・ラジオ・ネットニュース・配信番組など)で取り上げていただいています。動画・写真・インタビューなどにて紹介されており、アーカイブもご覧いただけます。
4月には、日本財団が開催した「災害対策の課題と展望を語るフォーラム2024」の動画が公開されました。PBVスタッフの大塩も登壇し、「炊き出し支援」や、支援を希望する団体や人と支援を必要している人を繋ぐ「支援調整」などに関してご紹介しています
▼「緊急期・応急復旧期における民間非営利活動を振り返る」
(大塩が話している部分は53分から)。
長期的なご支援をお願いいたします
能登半島地震の支援のために珠洲市と輪島市に常駐し、さまざまな支援を行っていた体制をベースとし、9月21日の豪雨直後からすぐに行政、社協、支援者による三者会議を開催しました。それまでにも連携をしてきた現場の関係団体らは、チームに分かれて被害情報の把握と共有、断水地区への水や簡易トイレなどの物資支援など、協力して支援活動を進めています。
しかし、2度にわたる災害による被害は大きく、復旧は長期に渡る見通しです。
「2024年能登半島豪雨 緊急支援募金」
「2024年石川県能登半島地震 緊急支援募金」ご寄付はこちらから

「災害支援サポーター」はこちらから
今後の長期にわたる支援は、継続的に支えてくださる「災害支援サポーター(マンスリーサポーター)」のお力が大きな助けとなります。ぜひ、長期的なサポートにご協力お願いします!