【発災から11ヶ月】2024年石川県能登半島地震、そして能登半島豪雨

2024年1月1日に発生した、石川県能登半島地震から11ヶ月が経ちました。さらに9月21日には記録的な大雨による甚大な豪雨被害が発生し、追い打ちをかける新たな被害を受け、いまだに連日の復旧作業が続いています。
 
ピースボート災害支援センター(PBV)は、地震発災翌日の1月2日から現地入りし、現在も輪島市と珠洲市に常駐して支援活動を行っています。

 

<能登半島地震 発災後の動き>

1月2日 PBVスタッフ数名を現地に派遣
1月3日 炊き出し、物資配布開始
2月2日 災害ボランティアの登録開始

<能登半島豪雨 発災後の動き>

9月21日  能登半島豪雨発生
9月22日  能登半島豪雨募金開始
               PBV現地スタッフにて各地で炊き出し、物資配布、避難所支援開始

※詳細な活動また先月までの活動のようすは、下記のレポートをご覧ください

 ⇒ 初動レポート
 ⇒ 発災から1か月レポート
 ⇒
発災から2か月レポート
 ⇒ 発災から3か月レポート
 ⇒ 発災から4か月レポート
 ⇒ 発災から5か月レポート
 ⇒ 発災から半年レポート
 ⇒ 発災から7か月レポート
 ⇒ 発災から8か月レポート
 ⇒ 発災から9ヶ月レポート
 ⇒ 発災から10ヶ月レポート

 

復旧にむけての動き

11月、地震の影響で中断していた輪島港で、漁が再開されました。おなじく輪島市では、輪島塗の工程や漆芸作品が鑑賞できる漆芸美術館も再開しています。
 
 
 
また、珠洲市でも営業を再開している店舗の姿があります。世界農業遺産でもある「揚げ浜式製塩」による塩づくりをおこなっている珠洲製塩も、再開して営業を続けています。
 
 
いずれもまだまだ本来の営業に戻ったとは言えませんが、「仕事ができる」ということ自体が支えになるのかもしれません。こういった復旧・復興を感じるニュースは、私たち支援者にとっても元気をもらえる場面です。
ただ一方で、職を失った人、再開の目途が立たない人、考えても考えても答えが出ない人がたくさんいることも現実です。前に進むスピードには、差があります。
私たちPBVのように現地常駐・伴走型の支援では、一つひとつ、一人ひとりのスピードに丁寧に寄り添う姿勢を持ち続けたいと思います。
 

【珠洲市】秋田と能登を繋ぐ支援

昨年7月末~今年2月末まで、PBVが大雨支援に入っていた秋田市から素敵な支援が届きました。
今回の支援プロジェクトを立ち上げてくださった秋田市のお菓子屋さんは、昨年の秋田市水害時に被災され、その際にたくさんの支援をいただきとても心強かったので、今度は自分たちが能登への支援をしたいとご連絡をいただきました。
 
この支援、『分かち合うおやつ 秋田⇔能登』のプロジェクトとは…
 
 
秋田の8店舗のお菓子屋さんでプロジェクトを立ち上げ、それぞれの店舗の焼き菓子を提供
 ↓
8店舗合同焼き菓子BOXを秋田市民の方々が2箱購入し、一箱は持ち帰る
 ↓
残り一箱分が珠洲に送られ、被災された方々に食べていただく
 ↓
珠洲にお届けいただいた『分かち合うおやつ』はPBVでお預かりをし、珠洲の方にお届けする
 
という流れです。
 
お菓子をお渡しした皆さんからは、「秋田からはるばる!こんなに素敵なお菓子をいただき嬉しい」「こんなおしゃれなお菓子、久しぶりにいただいた」「今もまだ応援してくれる人がいるのは嬉しいね。がんばらないとね」と、喜びの声。
 
そして、その後にお家で召し上がった方からは、「とってもおいしかった!」「元気が出た!」と言葉をいただきました。なかには、ご支援いただいたお店に直接電話をして、感謝の言葉をお伝えした方もいらっしゃるとのこと。
 
 
 
 
8店舗のお菓子屋さん、そして焼き菓子BOXを購入いただいた方々の温かい思いが詰まった支援。距離は離れているけれど、想いのこもった同じお菓子をいただき、心を寄せ合うことができる支援。ご支援いただいたお店、秋田の方々の思いとともに、珠洲の方々に元気と笑顔もお届けいただきました。
 
マザー食堂savu.さま、空の木ガーデンさま、さとう菓子店さま、つむぐさま、ホタルビ堂さま、菓子クロさま、Mlabさま、goute ritoさま、秋田市民の皆さま、ありがとうございました。
 
今回、ご支援のご提案をいただいた秋田市楢山のマザー食堂savu.さんは、PBVが秋田市内で実施していた地域支援拠点でのサロンにもご協力をいただき、手作りお菓子の提供やおいしいコーヒーを淹れていただき、住民さんたちがホッとできる場を一緒に作ってくださいました。
その時のご縁が、他の被災地での支援に繋がったことも私たちとしては、とても嬉しく、心強く感じました。 
 
  
 

【珠洲市】グリーンコープさんによる衣類のリサイクル市

グリーンコープさん主催の衣類のリサイクル市のお手伝いをしました。
 
 
開始前から会場の前は長蛇の列。「どんなお洋服があるの?」「家族の分もあるかしら?」とワクワクが伝わります。会場の広さから、人数制限をしながら入場しました。「欲しいものがなくなってしまったら悲しいな…」と呟く住民さんの声に応えるように、少なくなったら、どんどんと補充をしてくださるグリーンコープさん。その姿を見て、住民さんたちも安心してお買い物を楽しまれているようでした。
「冬服が少なかったから助かった。これで、冬を乗り切れる!」「珠洲は洋服を買えるところがないから、困っていたんだよね」「こんな風にたくさんの中から、好きなものを選んで買いものしたのは、久しぶり!楽しかった!」と、満面の笑みでお話しされていました。
 
 
また、お買い物のあとには、七尾市のパパンさんのパンと飲み物もお土産に。「お昼ご飯にお家でいただこう」と、みなさん満点の笑顔で帰られました。
 
なんと2時間で約300名の方に来訪いただきました。今までPBVの物資配布やサロンに来られていた懐かしい住民さんたちとの再会もあり、互いに元気をもらえた一日でした。
 
グリーンコープさん、衣類の支援に等にご協力いただいたグリーンコープ会員の皆さま。ありがとうございました。笑顔がたくさんあふれ、心も満たされるイベントとなりました。
 

【珠洲市・輪島市】継続的な支援と、復旧・復興にむけて

珠洲市

珠洲市の大谷地区では引き続き、被災者が24時間いつでも物資を受け取れるキッチンカー『FOOBOUR(フーバー)』が稼働を続けています。(写真はFOOBOURに食品などの物資を補充するスタッフ)

周辺には、食料や日用品の買い物ができる場所はありません。輪島方面のスーパー(珠洲市街地に出るよりも近い)に抜ける国道249号線は、まだ一部区間が通行止めで、復旧作業が続いています。車で珠洲市内に抜けるにも、土砂で狭くなった山道を片道1時間近くも走らなければいけません。
高齢の住民のなかには、解体作業の大きなトラックが行き交う山道の運転を不安に思う人もいます。これから雪が降ればなおさらです。
 
 
 
地震からもうすぐ1年。しかし、9月の能登半島豪雨の影響で仮設住宅の建設スケジュールが遅れ、いまも避難所での生活を余儀なくされている人がいます。水道の復旧がまだの避難所では、現在も給水による避難生活が続いています。
 
 
季節が移り、食料品や消耗品に加え、再び冬物の物資や備品も必要になってしまいました。
PBV現地スタッフは珠洲市に常駐し、FOOBOURへの食料の補充や、避難所への物資輸送の活動を続けています。
 
 

輪島市

11月22日の発表で、能登半島地震の災害関連死は235人となり、当時非常に大きな衝撃を与えた熊本地震(2016)の222人を超えました。1月の地震からの復旧・復興の先がようやく見えてきた矢先の、9月の豪雨被害。
ここ輪島市では、物理的にも精神的にも大きな負担がのしかかっています。
 
避難所から仮設住宅等の次の住まいに移った人もあれば、豪雨の浸水被害で仮設住宅から避難所生活に逆戻りした人もいます。建設や豪雨浸水の復旧工事が急がれる仮設住宅ですが、豪雨の被災者向けにも追加で必要になる状況です。
 
 
PBVでは、避難所担当職員の人手も限られることから、輪島市からの要請を受ける形で複数の避難所の運営サポートを行っています。グリーンコープさんやCONNECT(#コネクト)さんによる継続的な物資提供も大きな力になっています。
 
 
町野町では、町民アルバイトの力も借りて、「まちのの湯」の運営を継続。利用者は、町民、工事関係者、行政職員など1日に70~100人が汗を流しています。5月30日のオープン以降、豪雨による中断期間もありましたが、これまでに延べ約15,000人にご利用いただきました。
 
 
 
PBVは引き続き輪島市にて、現地に寄り添った支援を継続していきます。
 
 

 

今後の活動予定

現在、毎日のようにいくつもの関連団体と、被災者状況の共有や課題、解決方法を話し合いながら活動を進めています。

これまでの活動のようすを40以上のメディア(新聞・ラジオ・ネットニュース・配信番組など)で取り上げていただいています。動画・写真・インタビューなどにて紹介されており、アーカイブもご覧いただけます。
 ⇒ メディア掲載情報はこちらよりご覧ください。

今後も引き続き、中期的な支援のために、被災者の生活再建に関わる「コミュニティ形成(サロンの実施など)」「避難所運営サポート」「備品の提供(仮設備品支援など)」に力を入れていきます。

そのほか状況に応じて、「被災家屋の応急対応・保全」「災害支援のノウハウ提供や支援調整」「災害ボランティアセンター運営サポート」など、地元の団体や関係機関、支援団体と連携し、現地のニーズに合わせた支援活動を実施していきます。

 

長期的なご支援をお願いいたします

能登半島地震の支援のために珠洲市と輪島市に常駐し、さまざまな支援を行っていた体制をベースとし、9月21日の豪雨直後からすぐに行政、社協、支援者による三者会議を開催しました。それまでにも連携をしてきた現場の関係団体らは、チームに分かれて被害情報の把握と共有、断水地区への水や簡易トイレなどの物資支援など、協力して支援活動を進めています。
しかし、2度にわたる災害による被害は大きく、復旧は長期に渡る見通しです。

「2024年能登半島豪雨 緊急支援募金」
「2024年石川県能登半島地震 緊急支援募金」ご寄付は
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今後の長期にわたる支援は、継続的に支えてくださる「災害支援サポーター(マンスリーサポーター)」のお力が大きな助けとなります。ぜひ、長期的なサポートにご協力お願いします!

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