能登半島地震から1年 新年のご挨拶

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

1年前の2024年1月1日、震度7の石川県能登半島地震が発生しました。被害に遭われたすべての皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。また、大切な方を亡くされた皆さまに、お悔やみ申し上げます。

旧年中は、能登半島地震で被害に遭われた皆さまの支援と地域の回復のために尽力してまいりました。被災地に想いを寄せられた皆さまからの格別のご厚情を賜り、誠にありがとうございました。ご協力のおかげで、国内外での災害支援や、平時から防災への取り組みを続けることができました。

能登半島地震以降も、台風や7月の東北豪雨、さらには再び能登半島を襲った豪雨など、全国各地で災害が発生し、支援活動に取り組みました。海外ではチリ大規模火災、台湾・花蓮地震に続き、火山噴火や台風などの災害が発生しました。

2024年の支援活動の取り組みは、年末にオンライン報告会をおこない、アーカイブ視聴動画を1月31日まで公開しています。

本年も、皆さまからお預かりしたご支援や想いを受け止めながら、被害に遭われた方々への支援活動や、より災害に強い社会を創っていくために、スタッフ一同、努めてまいります。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

能登半島地震から1年

あの日から1年。能登半島では現在も引き続きPBVスタッフが、とくに被害の大きかった珠洲市と輪島市に常駐し、行政や社会福祉協議会、支援団体などと連携してさまざまな支援活動をおこなっています。

この1年の現地のようすと支援活動をまとめました。

 

地震発生

2024年1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登半島地震が発生しました。能登半島は2023年5月にも震度6強の地震に見舞われ、ピースボート災害支援センター(PBV)も支援に入っていた地域でした。

PBVは発災当日の1月1日に情報収集を開始。被害の大きさを受けてすぐに緊急支援募金を立ち上げました。翌1月2日には、先遣スタッフが現地入りし、発電機やガスボンベなどの物資を届けました。

断水や停電、通行止めなど、ライフラインの断絶が続くなか、1月3日からは随時、炊き出しや、物資配布を石川県珠洲市、輪島市などで実施していきました。

炊き出しは、発災から1ヵ月の間に合計4,000食以上を実施。とくに継続的に炊き出しをおこなっていた珠洲市では、8月30日の終了までに市内18カ所、167回、13,323食の炊き出しの提供をおこないました。さらに、炊き出し支援の調整までふくめると、10月30日までに申し出数718団体、53か所、1648回、延べ199,988食の支援をおこないました。

発災当初、珠洲市では6,000世帯のうち4,000〜5,000世帯が自宅に住めない状況と発表されました。物資支援については、指定避難所、自主避難所、車中泊をしている方々が避難している場所、孤立集落など複数箇所を巡回し水や食料、発電機やガスコンロ、ガスボンベ、カイロなどを配布しました。雪が積もり、昼夜問わず余震が続くなか、現地で活動する支援団体との情報交換や連携がとても重要でした。

また、能登半島地震では新プロジェクト「FOOBOUR(フーバー)」が始動しました。このプロジェクトでは災害時は炊き出しキッチンカー、平時は無人の移動フードバンクとして活動するトラックを使用。当初は炊き出しに活用され、4月以降は24時間自由に物資を取りに来られる場所として珠洲市に常設されています。

能登半島での支援活動と平行して、全国各地(東京・大阪・横浜・福岡)で街頭募金も実施しました。 

2月2日には、災害ボランティアの登録を開始しました。

珠洲市では2月15日から9月7日までにのべ674名のボランティアが活動に参加してくださり、炊き出し、地域支援拠点(物資配布、サロン)、家屋清掃、イベントなど継続的な支援活動ができました。また、現地に来てくださったミュージシャンのSUGIZOさんや、炊き出しの提供を申し出てくださる団体の方々をはじめ、多くの方にご協力いただきました。本当にありがとうございます。

2月17日からは、各所に「地域支援拠点」を定期的に設置しました。この拠点では、水や災害時用トイレなどの支援物資の配布、支援情報の提供に加え、住民の方々のお困りごと・相談を伺いました。毎回約200名、多いときには最大約500名の住民の方々が訪れ、被災者同士が、再会を喜んだり、役立つ情報を教え合うなど、“つながりの場”として機能していました。

輪島市では、5月30日より入浴支援を開始しました。44か所の避難所で850人以上の方が長期にわたる避難生活を続け、水道が復旧していない在宅避難者もいるなか、自衛隊による入浴支援が5月28日に終了。この状況をうけ、「まちのの湯」という仮設入浴施設を設置しました。地元住民6名にスタッフとして働いていただき、雇用創出にもつながりました。 

また、避難所での長期的な生活の支援も行いました。輪島市ではピーク時には最大167か所の避難所が開設され、12,800人以上が避難していました。自治体職員も、自身や家族が被災しているなか、過酷な環境で災害対応に奔走していました。避難所の支援や物資・食事の手配、罹災証明の発行、インフラの整備、多様な機関との調整、問い合わせの対応など、その業務量は膨大です。

元日に震災が起きて以降、暑い夏やふたたびやってくる厳しい冬など、季節や復興時期に応じて避難所のサポート内容も変わります。

PBVは市からの要請を受け、市域全体の避難所・避難生活のアドバイザー・実行団体として職員の方々と共に取り組みました。食事の準備や提供、住民の情報把握と提供、業務用エアコン設置やトイレ掃除など、安心してより健康的に避難生活が送れるように環境の改善を行っていきました。

また仮設住宅に入居された方々には、無償で生活必需品を提供する支援をおこなっています。仮設住宅に入居した際には、生活に必要となる家電類が整っていないため、掃除機、電子レンジ、炊飯器、電気ポット、石油ファンヒーター、扇風機、ドライヤー、こたつなどを企業と連携して提供し、入居後の生活をより快適にするサポートをしています。

※これらの品物は民間企業・団体および個人の皆さまのご寄付や認定NPO法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成金、株式会社ニトリと株式会社クレディセゾンの共同支援を活用しています。

そのほか、浄水装置の設置や、国内外からの視察受け入れなど、多岐にわたる支援を展開しました。

 

9月21日、能登半島豪雨発生

追い打ちをかけるように、9月21日には記録的な大雨による被害が発生しました。常駐していたPBVスタッフは安全を確保しながらすぐに支援活動を開始しました。

《珠洲市で実施した豪雨支援》
・災害ボランティアセンターでの技術系団体のマッチング
・避難所まわりの環境整備(清掃)
・FOOBOUR(フーバー)での物資提供
・食事、生活用品の配布および給水支援
・食事等の支援調整
など

《輪島市で実施した豪雨支援》
・避難所の開設や避難者の受け入れ
・水や食料品、生活物資の配布
・通信環境の整備
・施設復旧の為の泥出し、清掃
・仮設入浴施設の運営
・仮設住宅入居者へ対する家電提供
・食事等の支援調整
など

「さすがに心が折れました」「もう、笑うしかない」など、住民の方から辛い声が聞こえてきます。それでも立ち止まることはできません。豪雨被害によって一時中断していた『FOOBOUR(フーバー)』の再開(9月25日・珠洲市)や、入浴支援「まちのの湯」の再開(10月7日・輪島市)など、一歩ずつ、支援体制を再構築しています。

 

全国から届くあたたかなサポートも、とても力になりました。

 ↑ 千葉の新米のお届け(千葉県笹子園芸さんより)

 ↑ ボディソープなど癒しのグッズ(LUSHさんより)

 ↑ 『分かち合うおやつ』プロジェクト(秋田市8店舗のお菓子屋さんより)

11月22日の発表によれば、能登半島地震の災害関連死は235人に達し、当時大きな衝撃を与えた2016年熊本地震(222人)を超えました。この数字は、震災の大きさと復興の厳しさを物語っています。

そのような状況のなかでも、地震の影響で中断していた輪島港で、漁が再開されました。おなじく輪島市では、輪島塗の工程や漆芸作品が鑑賞できる漆芸美術館も再開。 また、珠洲市でも営業を再開している店舗が見られます。国の重要無形民俗文化財にも指定された「揚げ浜式製塩」による塩づくりをおこなう珠洲製塩も、再開して営業を続けています。

このような復旧・復興を感じるニュースは、私たち支援者にとっても大きな励みになります。 

しかし一方で、職を失った方々や、再開の目途が立たない事業を抱える方々が数多くいるのも現実です。年末から続く厳しい冷え込みに備え、避難所に布団を届けるなど、北陸の冬に向けた支援活動も行っています。

PBVは現地に常駐し、伴走型の支援を行うことで、一つひとつ、一人ひとりの状況やペースに丁寧に寄り添う姿勢を持ち続けたいと考えています。

能登半島地震・豪雨の被災地では、まだまだ長期的な支援が必要です。今後も息長く被災地を支えて下さる方を募集しています。継続的にサポートいただける月額支援制度「災害支援サポーター」の日頃からの支えのおかげで運営が安定し、発災時もすぐに活動を開始することができ、また、報道が少なくなって以降も支援を継続することができています。

誰もが被災した時に支援の手を差し伸べられる社会を育てていくために、継続的な支援活動を実施する支えとなっていただける「災害支援サポーター」にぜひご参加いただき、一緒に災害に強い社会を作っていくことができたらとても嬉しいです。

◆災害支援サポーターとは…

 

そして、私たちの活動は、多くの企業・団体・個人の皆さまからのご支援や協働、連携によって支えられています。一人ひとりの皆さまに心よりの感謝を申し上げます。


<能登半島地震 協力企業・団体>
 ※五十音順

あいコープ共生会、生活協同組合あいコープみやぎ、社会保険労務士法人アスミル、アミタホールディングス株式会社、株式会社イースト、伊藤工業株式会社、いわき市議会創世会、NTT DATA BUSINESS SOLUTIONS、エバーグリーンパーク、大町町下潟公民分館、カナディアン・アカデミー、社会福祉法人国立市社会福祉協議会、株式会社クラシード、株式会社クラダシ、ゲストハウスきち、株式会社小鳥の森ゴルフパーク、サライナ在日モンゴル人故郷会、サントリーホールディングス株式会社、サンボーズ株式会社、JAPAN CMC株式会社社会福祉法人新宿区社会福祉協議会、宗教法人真如苑、末日聖徒イエス・キリスト教会、ソウルフラワー震災基金、株式会社ダイコウニシニホン、一般財団法人デロイト トーマツ ウェルビーイング財団、東京海上日動火災保険株式会社 Share Happiness 倶楽部、トモに能登の未来へ保護者の会一同、中村工務店株式会社、日本財団、株式会社働きかた研究所、パルシステム生活協同組合連合会、認定特定非営利活動法人ハンズオン東京、飛行船復興支援プロジェクトスマイルtoスマイル、避難の協同センター、株式会社フローリッシュ、一般社団法人螢火、株式会社ボーダレス・ジャパン、箭田まちづくり推進協議会、Yahoo!基金株式会社 四ツ橋組、株式会社ライフキャリアcircle、LINEヤフー株式会社、ラッシュジャパン合同会社、株式会社良知経営、株式会社ランディックス、ロバート・ウォルターズ・ジャパン輪島ルシェ、一般社団法人FI Lab Square、株式会社UDN SPORTS、MySOUL8 Yoga Schoo、PONANT

 

また、これらPBV災害支援の活動は以下の企業団体などの皆さまによって支えられています。
 ⇒ 協力企業・団体一覧

 

PBVは今後も、残念ながら毎年発生してしまう災害に対して、災害の規模や報道などの社会的注目に関わらず、必要な支援の手をすぐに届けたいと考えています。

皆さまのご支援を力に、本年も、被災地に寄り添った支援を行って参ります。また、災害に備えた防災活動にもいっそう力を入れてまいります。今後ともPBVを応援していただければ幸いです。

 

2025年1月1日
ピースボート災害支援センター スタッフ一同