防災・減災への取り組み

-過去の災害に学び、人と人が支えあえる社会を-

好循環を生み出す減災のサイクル

私たちは、自然災害の発生自体を止める術を持ちません。しかしながら、過去の災害から学ぶことで、次の被害を最小限にするための努力はできます。地域の防災を考える時、お互いが支え合えるコミュニティと外からの支援を効果的に力に変える仕組みが必要です。そのためには、日頃からの防災教育など、事例に基づいた実践的な想像力を養うことが大切でしょう。また、災害発生からの応急対応に始まり、復旧・復興、次の災害における被害抑止や被害軽減といった取り組みを、個別ばらばらではなく一連の流れとして受け止め、実行することが具体的な減災へ道のりと言えます。この考え方は「減災サイクル」(Disaster Management Cycle)と呼ばれ、国際的にも取り入れられています。

減災サイクル

災害ボランティア・トレーニング

東日本大震災では、多数のボランティアが被災地での活動をし、復興への大きな後押しになりました。この経験や課題を共有し、今後の地域防災や広域災害での救援活動に活かすための人材育成の取り組みを行っています。初めてボランティアに参加する側にとっては「何を準備したらいいの?」「専門性のない私が参加してもかえって迷惑をかけるのでは?」などの戸惑いがあったり、高齢化が進む地域では現場で動けるボランティアの数が確保できないなどの悩みがあるのも事実。これらの課題にきちんと向き合うためにも、東日本大震災をはじめ各地で実施してきた災害支援の経験を共有することが大切だと、全国で「災害ボランティア・トレーニング」を行なっています。

防災教育

災害大国と言われる日本では、今後も南海トラフ地震や首都直下地震など大規模震災が想定され、また毎年のように台風や集中豪雨による水害が発生しています。日本全国、どの地域でも災害が起こる可能性があります。災害に備えるためには、自分自身の事として考え、家族や地域の状況に合わせて具体的にイメージしながら対応を検討する必要があります。また、これまでの災害の経験や教訓を知ることも有益です。PBVでは、ワークショップや講演、イベント、冊子を通して災害対応を検討する事や被災地に訪れるプログラムなど、多様な防災教育に取り組んでいます。

社会貢献と備え「Safety bank(セーフティバンク)」

災害に備えることは、自分自身や家族を守る事に繋がります。さらに、PBVでは災害への備えが、社会に好循環を生み出す新しい仕組み作りに取り組んでいます。災害支援経験や被災者の声をもとに、自分や家族、会社の安全を守る「防災グッズ」や「防災備蓄品」の提案を行っています。その収益の1%は社会貢献活動を行っているNPOの応援になります。また、企業などで消費期限の近づいた災害備蓄食は破棄される前に回収し、国際NGOピースボートが実施する国際協力に活用しています。

支援をつなげるネットワーク

日本では、近い将来の大規模災害の発生も予想されています。台風や大雪などの毎年の風水害に対して、地域での防災・減災を担うボランティアを育成するとともに、そのボランティアが大規模災害時には地域を越えて助け合える仕組みづくりを目指しています。また、災害時には公的機関と民間がお互いに連携・協働することも大切なことから、平時から様々なネットワークに参加し「顔の見える関係」を築くため、防災訓練や研修にも積極的に参加しています。

PBVの加盟ネットワーク

世界での防災・減災の取り組み

世界各地のパートナーと連携しながら国や地域を越えて災害の教訓を共有し、その学びを活かす災害に強い人や社会づくりを進めています。2014年に国際NGOピースボートは、国連防災機関(UNDRR)の推進する、世界防災キャンペーン「Making Cities Resilient: My City is Getting Ready」の公式パートナーとなりました。2015年に開催された第3回国連防災世界会議では、市民セクターの中心的な役割を担いました。災害に強い人や社会づくりを進めています。