【発災から10ヶ月】2024年石川県能登半島地震、そして能登半島豪雨

2024年1月1日に発生した、石川県能登半島地震から10ヶ月が経ちました。しかし9月21日に記録的な大雨による甚大な豪雨被害が発生し、追い打ちをかける新たな被害に、連日の復旧作業が続いています。
 
ピースボート災害支援センター(PBV)は、地震発災翌日の1月2日から現地入りし、現在も輪島市と珠洲市に常駐して支援活動を行っています。

 

<能登半島地震 発災後の動き>

1月2日 PBVスタッフ数名を現地に派遣
1月3日 炊き出し、物資配布開始
2月2日 災害ボランティアの登録開始

<能登半島豪雨 発災後の動き>

9月21日  能登半島豪雨発生
9月22日  能登半島豪雨募金開始
               PBV現地スタッフにて各地で炊き出し、物資配布、避難所支援開始

※詳細な活動また先月までの活動のようすは、下記のレポートをご覧ください

 ⇒ 初動レポート
 ⇒ 発災から1か月レポート
 ⇒
発災から2か月レポート
 ⇒ 発災から3か月レポート
 ⇒ 発災から4か月レポート
 ⇒ 発災から5か月レポート
 ⇒ 発災から半年レポート
 ⇒ 発災から7か月レポート
 ⇒ 発災から8か月レポート
 ⇒ 発災から9ヶ月レポート

 

復旧にむけての動き

【珠洲市】9月25日 『FOOBOUR(フーバー)』の再開

珠洲市は、市内8カ所の河川が氾濫、土砂崩れにより4地区が孤立、約1700戸が断水。家屋をはじめ仮設住宅も浸水被害に遭い、街の景色がまた一変してしまいました。

被災者が24時間いつでも物資を受け取れるキッチンカー『FOOBOUR』。地震の支援のために5月より、物資調達が困難な珠洲市大谷地区に常設しており、地区内40~50世帯のうち30世帯に利用いただいていました。豪雨の影響で冷蔵・冷凍品が保存できず一時的に水のみを配布していましたが、25日に電気が通り、稼働を再開。その様子を動画にて配信しました。

※FOOBOUR(フーバー)とは
キッチンカーを使い、平時にはひとり親世帯に食料品や日用品を支給する「コミュニティフリッジ(公共の冷蔵庫)」として活用し、災害発生時には被災地に赴いて現地で食事の提供なども行うPBVの新プロジェクトです。
 ⇒ FOOBOUR公式サイト

 

【輪島市】10月6日 避難所にパーテーションを設置

避難所では、プライバシーを確保するために、パーティションを設置します。

一方で、パーティションには課題もあります。
避難所の運営に携わるスタッフが、避難所の様子をご紹介しました。

 

【輪島市】10月7日 入浴支援「まちのの湯」の再開

自衛隊の入浴支援終了を受け5月30日に輪島市町野町にオープンしていた「まちのの湯」。豪雨により泥だらけになり休止していましたが、地元の方や自衛隊、ボランティアの方により17日ぶりに再開しました。

不安な被災生活のなかでの交流の場でもあり、再開後には利用者から「お久しぶり」と笑顔が零れました。

 

さまざまな支援

【珠洲市】物資支援について

9月21日の水害で、珠洲市は現在も断水で自宅の水道から水が出ないお宅があります。浸水被害のあった珠洲市上戸地区にて、cafe&salon Anarchyさんのお店前をお借りして物資配布をしました。

配布時間40分前、準備をしていると住民さんが「楽しみで早く来ちゃったよ」「ここに来たら、誰かに会えるかなと思って」とちらほら集まってきます。椅子を並べると腰を下ろし、「最近どう?」「お宅はどこなの? 雨、大丈夫だった?」と会話が始まります。初めましての方とも、すぐに打ち解け、会話がはずみます。話していると、どこかで繋がっていることに気づくのも珠洲の地元ならでは。皆さんがそれぞれ、悲しいこと、辛いことを抱えながらも、なんとかがんばらなきゃねと、話していました。

「話してすっきりした」「楽しかった」「こうやって支援を続けてくれるのは本当にありがたい。まだ忘れられていないって思えることが心強い」と、笑顔で帰っていく住民さんの背中を見送り、支援者の支援が、住民さんの心を少しでも支えられていることを感じました。

 

【輪島市】食事支援について

「ごはんが届かない」。そんな声が、1月1日の地震後に多く聞かれました。

被災していろんなモノが足りないなか、不安だけは募っていきます。そんな時に届けられる食事に、どれほど心が救われることでしょうか。

食事がちゃんと行き届くように。
けれども多すぎて余ったりしないように。

支援において、とても重要だけれども、なかなか見えづらいもののひとつである「支援の調整」。この「調整」を重ねた上で実施が可能になる【食事支援の裏側】を動画にしました。

 

【輪島市】家電支援について

自宅が半壊以上の被害を受け、仮設住宅で暮らしがはじまった被災者の方々。多くの家財を失い、また自宅から仮設住宅に持ち込むこともできず、身のまわりの必要なものをそろえるのも簡単なことではありません。掃除機、電子レンジ、炊飯器、扇風機、ファンヒーター、ドライヤー…。それぞれの生活にあわせて必要なものをお選びいただき、生活再建のサポートを行っています。

「買うものも増えるし、買いに行くのも(大変)…。助かります」

これらの品物は民間企業・団体および個人の皆さまのご寄付や認定NPO法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成金を活用して実施しています。また一部製品には、株式会社ニトリと株式会社クレディセゾンの共同支援枠組を使った「ニトリ商品」による支援物資も活用しています。

実施にあたっては、支援が行き届かない人が発生しないよう、JPFに加盟する団体の皆様や、石川県、輪島市などの行政機関およびJVOADなどの災害中間支援組織と事前協議を経て実施しています。

 

各地から届くあたたかなサポート

【珠洲市】千葉からの新米

9月初旬にカーネーションをご支援いただいた千葉県笹子園芸さんより、千葉の新米をいただきました。

珠洲の住民さんとぜひ一緒にいただけたらと、新米パーティをすることに。旧正院保育所で実施しているサロン時に、お昼ご飯に合わせていただいた新米を炊飯しました。新米が炊けるいいにおいに、「そうだ、お漬物もってくる」という住民の方も。炊き立ての新米はを口にした皆さんからは「おいしい!!」と笑みがこぼれます。全員がおかわりをいただきました。  

翌週はさらにたくさんの住民さんが手作りのお漬物やごはんのお供を持ち寄ってくださり、豪華な食卓になりました。
「新米をいただけるなんて幸せ」「こうやってみんなで食べると楽しいね」「おいしいのと楽しいのとで、食べすぎちゃう」ととても喜ばれていました。

他の地域でも、新米を小分けにしてお配りすると、「今年初の新米、嬉しい」「今夜炊いて食べるね」と喜んでいただき、食べられた方からは「とてもおいしかった!新米をいただけるなんてもったいない(※有難いという意味)」との声をいただきました。

【珠洲市】LUSHより癒しのグッズ

LUSHさんよりボディーソープなどのセットをいただきました。
 
 
1月の発災から、お家の片付けと子育てを両立してこられたお母さんたちに、ほっと一息癒しの時間を過ごしていただけたらと思い、保育所にお届けしました。
 
 
その後、町中で保育所にお子さんが通っているお母さんにお会いすると、
「いただいて早速使わせてもらいました。とってもいい香りで、リラックスできました」
「いい香りで贅沢な気分になって、元気をもらいました」
「子どももとっても喜んでいて、一緒にお風呂を楽しんでます」
と皆さん、笑顔でお話ししてくださいました。
また、ボディーソープは、支援拠点の物資配布でも住民さんにお配りしています。LUSHさんのボディーソープを初めて使ってみたという80代男性は、「こんなにいい匂いのせっけんは初めてだよ。泡もしっかり立つし、気持ちよかったよ」とのこと。
発災から10カ月以上たち、さらに水害にも見舞われ、心も体もがんばりすぎてしまっている住民さんの心をリラックスさせてくれています。

 

今後の活動予定

現在、毎日のようにいくつもの関連団体と、被災者状況の共有や課題、解決方法を話し合いながら活動を進めています。

これまでの活動のようすを40以上のメディア(新聞・ラジオ・ネットニュース・配信番組など)で取り上げていただいています。動画・写真・インタビューなどにて紹介されており、アーカイブもご覧いただけます。
 ⇒ メディア掲載情報はこちらよりご覧ください。

今後も引き続き、中期的な支援のために、被災者の生活再建に関わる「コミュニティ形成(サロンの実施など)」「避難所運営サポート」「備品の提供(仮設備品支援など)」に力を入れていきます。

そのほか状況に応じて、「被災家屋の応急対応・保全」「災害支援のノウハウ提供や支援調整」「災害ボランティアセンター運営サポート」など、地元の団体や関係機関、支援団体と連携し、現地のニーズに合わせた支援活動を実施していきます。

 

長期的なご支援をお願いいたします

能登半島地震の支援のために珠洲市と輪島市に常駐し、さまざまな支援を行っていた体制をベースとし、9月21日の豪雨直後からすぐに行政、社協、支援者による三者会議を開催しました。それまでにも連携をしてきた現場の関係団体らは、チームに分かれて被害情報の把握と共有、断水地区への水や簡易トイレなどの物資支援など、協力して支援活動を進めています。
しかし、2度にわたる災害による被害は大きく、復旧は長期に渡る見通しです。

「2024年能登半島豪雨 緊急支援募金」
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