2024年1月1日に発生した、石川県能登半島地震から1年1ヶ月が経ちました。さらに同年9月21日には記録的な大雨による甚大な豪雨被害が発生し、追い打ちをかける新たな被害を受け、いまだに連日の復旧作業が続いています。
ピースボート災害支援センター(PBV)は、地震発災翌日の1月2日から現地入りし、現在も輪島市と珠洲市に常駐して支援活動を行っています。
1年経った現地の声(動画)と、厳しい越冬に向けての取り組みについて、ご報告します。
<これまでの活動レポート>
⇒ 初動レポート
⇒ 発災から1か月レポート
⇒ 発災から2か月レポート
⇒ 発災から3か月レポート
⇒ 発災から4か月レポート
⇒ 発災から5か月レポート
⇒ 発災から半年レポート
⇒ 発災から7か月レポート
⇒ 発災から8か月レポート
⇒ 発災から9ヶ月レポート
⇒ 発災から10ヶ月レポート
⇒ 発災から11ヶ月レポート
⇒ 発災から1年まとめレポート
1年が経ち、現地の様子【動画】
能登半島地震発生から1年経ちましたが、未だ復旧の道半ばです。さらに9月に豪雨災害が発生し二重被災となった能登半島より、年が明けた2025年の現地の声を、動画でお伝えします。
能登に届く、さまざまなご支援
珠洲は毎年12月中旬頃から年末に雪が降ります。12月には、暖かく冬を迎えられるようにと、一般財団法人日本ふとん協会さま、一般財団法人Green Down Projectさまより、羽毛布団と毛布のセットをご寄付いただきました。
ご寄付いただいた布団セットは、避難所で生活されている方々にお届けすると、「これで安心して冬を迎えられる」「寒くて毛布を3枚掛けて寝ていたんだけど重たくて。これでゆっくり休める」と大変喜ばれていました。
また、輪島市の宅田町第2仮設団地では、電気ストーブとあったか絨毯をジャパネットたかたさまよりご提供いただき配布しました。
この宅田町第2団地は、9月に発生した豪雨災害において、地震で建設された仮設団地が床上浸水の大きな被害を受けた場所です。地震の避難先からここに入居して、新しい生活が始まった矢先の豪雨災害でした。そして、新生活のために揃えた家電などの家財が水浸しに。廃棄せざるをえない状況になってしまいました。
さらには仮設住宅の修繕工事のため、一時退去しまた避難所や他の地域などで避難生活をしなければなりませんでした。その修繕工事が完了し、12月26日に鍵の受け渡しがありやっと再入居ができるようになりました。
ストーブや絨毯を受け取った住民の方からは「ステキな正月を迎えられそう!」との声も聞こえてきました。少しでも暖かい空間で心穏やかに過ごせることを願っています。
仮設住宅へのムシロ配布・設置【輪島】
湿って重たい雪(ベタ雪)が降ると、それが固まって、路面がアイスバーンのように滑りやすくなります。PBVは、建設型仮設団地での雪対策として、輪島市と調整しながらムシロの調達と納入の調整を行いました。
納入当日は、輪島市役所や支所の職員さん、仮設団地の見守り支援を行う青年海外協力隊(JOCA)の皆さんと協力し、調達したムシロを配布・設置しました。
ムシロ敷きの作業中には、入居者の方からこんなお声をいただきました。「この間の雪の日、玄関を出たらすぐ滑って転んでしまって…。これで外に出るのが怖くなくなりそう!」。喜びや安心の声を聴き、私たちも温かい気持ちになりました。この活動が、輪島に暮らす皆さんの冬の生活を少しでも快適で安全なものにできたなら、とても嬉しいです。
「まちのの湯」の待合室設置【輪島】
もともと風の強い輪島市の町野では、秋以降さらに強い風が吹きつけ、入浴施設「まちのの湯」にも影響が……。テントが飛ばされそうな日が増え、これから訪れるドカ雪を思うと、スタッフも不安が募る毎日でした。
そんななか「みんなが集まれる場所を暖かくしたい!」という想いで、連携団体の CONNECT(
#コネクト )さんがコンテナの手配を引き受けてくれました!
さらに、運搬と設置には災害NGO結とONETEAMのメンバーが力を貸してくれ、おかげで無事に広くて安心な待合室が完成しました。
風から守られたこの新しい空間は、今日も笑顔と温もりであふれています。
「おーい、出たぞー!」
「また明日ねー!」
「今夜のつまみは何やー?」
「おとーちゃん、今日は長湯やなー!」
風呂上がりのぽかぽかした体で、弾む会話。そんな日常の風景が何よりもうれしいです。そして、「ここをどんな待合室にしようかね」と、住民の皆さんとの楽しい打ち合わせも。町野への想いとぬくもりの詰まった待合室となりました。
また、寒波襲来に備えて雪への備えが進められました。地元スタッフの皆さんも集まってくれて雪掻き。さらに、町野町に常駐してくださっている DRT JAPAN の黒澤さんも、重機を駆使して駐車場の雪かきに加勢してくださいました。
幸いにも今回の寒波は予想よりも積雪が少なく、一同少し胸をなでおろしましたが、それでも、寒さ厳しいこの季節、これからも油断せずに備えを続けます。
災害ボランティアセンターでの運営支援【珠洲】
PBVは、2023年5月に珠洲市で起きた地震の時に、災害ボランティアセンターの運営支援に入りました。それをきっかけに、2024年1月の能登半島地震でも、珠洲市災害ボランティアセンターの運営支援に携わらせていただいています。
1月から珠洲市災害ボランティアセンターに住民さんから依頼があったニーズ件数は、計7200件以上。そのうち、屋根のブルーシート張りなどの高所作業、倒壊家屋からの車両救出や貴重品出し、家屋の壁床対応など技術系ニーズとして分類されるニーズが約3300件。PBVでは、技術系ニーズの調整、管理などの役割を担わせていただき、社会福祉協議会、連携団体と共に活動をしてきました。
そして、珠洲市災害ボランティアセンターでは、住民さんとお話しする中で、家屋清掃の話だけでなく、住民さんの今後の生活サポートに繋げられるような支援も心掛けています。
「ご飯は食べれていますか。眠れていますか」
「精神的に疲れているかも。不安を抱えているかも」
継続的なサポートが必要な場合は、同じく社会福祉協議会が珠洲市から委託を受け生活サポートをしているささえ愛センターに繋ぎます。ボランティアセンターのみで完結するのではなく、その他の支援が必要な場合は、全ての支援の可能性を検討し、適切な支援に繋げられるようにします。この連携ができることが、住民さんへのスムーズな支援に繋がっていくと感じています。
珠洲市災害ボランティアセンターのスタッフさんは、住民さんへの丁寧な対応はもちろんですが、来てくれるボランティアさんへの感謝の気持ちも忘れません。今年最後の活動日まで、毎日、スタッフ一同、ボランティアバスが見えなくなるまで手を振って見送る姿に、ボランティアセンタースタッフの暖かさを感じました。
珠洲市災害ボランティアセンターの運営に携わる社協職員、全国から応援に来られる応援社協職員、連携団体、そしてボランティアの皆さん。みんな、一日でも早く被災された方に安心して生活ができる環境を取り戻してほしいと願って支援を続けています。
保存食の支援【珠洲】
1月に入り、珠洲市内でも10~30㎝程、積雪しました。
除雪が難しい箇所や、積雪によりさらなる土砂災害、倒木被害が予測される場所が残っているのが現状です。地震と水害の被害で道路の修繕が完了せず、迂回路や応急的に補修して通行できるようにしている道路もあるからです。
住民さんからは「大谷地区は、海沿いはあまり雪は積もらないけれど、買い物など行くには山の中の峠を通らないといけない。その道が細くて積雪もするから心配」「輪島に抜ける迂回路も開通したけれど、道も細くて、岸壁がむき出しでちょっと怖い」との声があがります。
積雪による孤立が心配される大谷地区の方へ、もしもの時の保存食として、パルシステムさんより、缶詰やスープなどの食品のご支援をいただきました。「家でも備蓄をしないといけないなって思っていたから助かる」と皆さん喜ばれていました。
昨年から引き続き、大谷町波の花デイサービス駐車場をお借りして、無人食料支援トラック『FooBour(フーバー)』を常駐し、食品、生活雑貨などの支援も継続しています。
また、少しずつ生活が戻り始めてはいるものの、「一人になると涙が出てきてしまう」と不安や悲しみを抱えている方もいます。少しでも笑顔で楽しく過ごせるように、気分転換ができるようにと、珠洲市支え合いセンターや災害看護学会と共に、毎週1回、お茶会を継続しています。
みんなで集まって、お茶を飲みながらお話をする。お互いに元気そうな顔を見れることでほっと安心し、笑顔がこぼれます。「また来週ね!」と来た時よりも皆さん元気になって帰られます。今後も、住民さん同士で楽しみながらお茶会が続けていけたらと考えています。
今後の活動予定
現在、毎日のようにいくつもの関連団体と、被災者状況の共有や課題、解決方法を話し合いながら活動を進めています。
これまでの活動のようすを40以上のメディア(新聞・ラジオ・ネットニュース・配信番組など)で取り上げていただいています。動画・写真・インタビューなどにて紹介されており、アーカイブもご覧いただけます。
⇒ メディア掲載情報はこちらよりご覧ください。
今後も引き続き、中期的な支援のために、被災者の生活再建に関わる「コミュニティ形成(サロンの実施など)」や「避難所運営サポート」「備品の提供(仮設備品支援など)」に力を入れていきます。
そのほか状況に応じて、「被災家屋の応急対応・保全」「災害支援のノウハウ提供や支援調整」「災害ボランティアセンター運営サポート」など、地元の団体や関係機関、支援団体と連携し、現地のニーズに合わせた支援活動を実施していきます。
長期的なご支援をお願いいたします
能登半島地震の支援のために珠洲市と輪島市に常駐し、さまざまな支援を行っていた体制をベースとし、9月21日の豪雨直後からすぐに行政、社協、支援者による三者会議を開催しました。それまでにも連携をしてきた現場の関係団体らは、チームに分かれて被害情報の把握と共有、断水地区への水や簡易トイレなどの物資支援など、協力して支援活動を進めています。
しかし、2度にわたる災害による被害は大きく、復旧は長期に渡る見通しです。
「2024年能登半島豪雨 緊急支援募金」
「2024年石川県能登半島地震 緊急支援募金」ご寄付はこちらから
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今後の長期にわたる支援は、継続的に支えてくださる「災害支援サポーター(マンスリーサポーター)」のお力が大きな助けとなります。ぜひ、長期的なサポートにご協力お願いします!
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