【発災から8ヶ月】2024年石川県能登半島地震、継続支援中

2024年1月1日に発生した、石川県能登半島地震から8ヶ月経ちました。ピースボート災害支援センター(PBV)は発災直後に現地入りし、現在も珠洲市と輪島市にて現地の団体、関係機関、支援団体と連携しながら支援活動を継続しています。

この1ヶ月の支援をまとめました。

<発災後の動き>

1月2日 PBVスタッフ数名を現地に派遣
1月3日 炊き出し、物資配布開始
2月2日 災害ボランティアの登録開始

※詳細な活動また先月までの活動のようすは、下記のレポートをご覧ください

 ⇒ 初動レポート
 ⇒ 発災から1か月レポート
 ⇒
発災から2か月レポート
 ⇒ 発災から3か月レポート
 ⇒ 発災から4か月レポート
 ⇒ 発災から5か月レポート
 ⇒ 発災から半年レポート
 ⇒ 発災から7か月レポート

 

現在継続中の支援活動について

避難所、夏の暑さ対策(輪島市)

災害はいつ起こるか分からないため、避難所の環境は、季節によって必要なものが異なります。​
 
2024年能登半島地震は真冬の1月1日に発生したので、「寒さ」への対策が重要でした。避難所では冷気を遮断するため、
・屋根付きの段ボールハウス
・四角いテント
・布で仕切るタイプもの
などが設置されました。
 
 
 
上から順に寒さには強いものです。しかし避難生活が長期にわたり暑い時期になってくると、上から順に対応が難しくなります。またプライバシーの確保という面では、やはり布1枚よりもきちんと囲まれている方が安心感もあります。
「寒さ」「暑さ」そして「プライバシーの確保」。避難所内の住居スペースは、この3点を特に注意していなければいけません。

季節が移りゆく中で、改めてこの課題が浮き彫りになりました。
 
 

支援調整(輪島市)

「はい、支援調整窓口です」と電話に出るのは、輪島市にて能登半島地震の支援調整をしているPBVスタッフです。この「支援調整」とは、全国各地からの支援を、必要としている人に繋げる活動です。

今回お繋ぎしたのは、兵庫県からお越しの方々による炊き出し支援でした。これまでにも何度も炊き出しの支援を行ってくださっている方々です。
 

この日にお越しいただいた地区では、発災から半年が経って初めての炊き出しでした。

炊き出しといえば、やはり避難所が中心。ライフラインが復旧しない中、ご自宅で避難生活を続けておられる方には、なかなか炊き出しの支援が届いていませんでした。

その場に即席のキッチンを設置して、鉄板で次々とハンバーグを焼いていきます。
立ち上がる香ばしい匂いに食欲がそそられます。住民の方々の手を借りながら次々と盛り付けられ、同時に次々と近隣住民の方々が持ち帰っていきます。


「ここで炊き出しをやってくれるなんて初めてだから本当に嬉しいよ」
「正直いろいろ大変な状況が続いているけど、こういった支援はありがたいよ」
​などのお声を頂戴しました。
 
 

生活必需品の配布事業(輪島市)

輪島市にて仮設住宅に入居された皆様に、無償で生活必需品を提供しています。
 
仮設住宅に入居できるのは、自宅が半壊以上の被害を受けた世帯です。しかし仮設住宅には生活に必要となる家電類が整っておらず、ご自宅から持ち込むこともできないため、生活に必要な設備が不足しています。私たちは生活必需品を提供することで、入居後の生活をより快適にするサポートをしています。そうすることで生活再建に向けた負担を軽減し、より早い生活再建を目指しています。
 
提供する生活必需品には、掃除機、電子レンジ、炊飯器、電気ポット、石油ファンヒーター、扇風機、ドライヤー、こたつなどがあります。それぞれの生活に合わせて、必要な品物をお選びいただいています。
 

これらの品物は民間企業・団体および個人の皆さまのご寄付や認定NPO法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成金を活用して実施しています。また一部製品には、株式会社ニトリと株式会社クレディセゾンの共同支援枠組を使った「ニトリ商品」による支援物資も活用しています。
実施にあたっては、支援が行き届かない人が発生しないよう、JPFに加盟する団体の皆様や、石川県、輪島市などの行政機関およびJVOADなどの災害中間支援組織と事前協議を経て実施しております。​
 
 

コミュニティ支援「浴衣配布&撮影会」(珠洲市)

​珠洲市では引き続き、地域支援拠点でのコミュニティ支援など、住民さんの生活、気持ちに寄り添った支援を続けていきます。

コミュニティ支援にあたってはたくさんの企業さま、連携団体よりご協力をいただいており、先日は、日本財団さま、香取慎吾さんがディレクションを行うブランドJANTJE_ONTEMBAAR(ヤンチェ_オンテンバール)さまより、浴衣のご支援いただきました。
浴衣を配布するだけでなく、珠洲のみなさんに楽しいひとときを過ごしていただけたらと思い、配布した浴衣を着ての撮影会を企画しました。
 
当日、来られた方々は色鮮やかな浴衣を前に「わぁ!」という歓声とともに笑顔が溢れます。
浴衣のカラーは2種類。帯は男性3色、女性4色。組み合わせも、それぞれの方の好みで選べます。「どっちの色がいいかな」「こっちも素敵だし……迷っちゃう」と、浴衣と帯の色合わせもとても楽しそうでした。お友達と「どっちの方が似合う?」と相談したり、カップルでお揃いの浴衣を選んだり。また、小学生からも「着てみたい!」との声があり、大人用の浴衣でしたが、着付けの際に工夫をし、小学生の子どもたちも浴衣を身にまとい、満面の笑みです。
 
 
 
そして、浴衣を選んだら着替え、PBVスタッフプロカメラマンによる撮影へ。最初は、カメラを前に少し緊張気味でしたが、カメラマンの声かけで、色々なポーズを取ったり、楽しみながら、表情も柔らかくにこやかになっていきました。
撮影したとっておきの写真は、その場で印刷をしてプレゼントしました。
 
 
「このまま浴衣で帰ってみんなに見せる!」と浴衣のまま帰られる方がいたり、「今度のお祭りに、この浴衣着ていくわ!」との声もあり、皆さまととても喜ばれていました。まだまだ元の生活に近づくまでには時間がかかりますが、日常の中に楽しい時間、笑顔になれる時間ができたらと思っています。
この度、たくさんの浴衣をご支援いただいた、日本財団さま、JANTJE_ONTEMBAAR(ヤンチェ_オンテンバール)さま、ありがとうございました。
 
 

災害支援拠点での支援物資配布(珠洲市)

PBVでは2月から災害支援拠点を設置し、支援物資の配布を実施しています。
配布している物資は、たくさんの企業さま、連携団体からご支援をいただいています。ありがとうございます。

そして現在も、グリーンコープさん、コネクト さんからは、補助食品のご支援を長期にわたり継続していただいてます。
避難生活では、たんぱく質源や野菜などからのビタミン、ミネラル、カルシウムなどが不足しがちです。さらに長期的な避難となると、健康面への影響が心配されます。グリーンコープさんからは、納豆、豆腐、ヨーグルト、牛乳、煮物・煮魚のお惣菜など冷蔵品のご支援を、3月から毎週いただいております。美味しく安全な食品に、住民さんたちにとても喜ばれています。

『どれも美味しくて、栄養も取れてとても助かる』
『避難生活では調理ができず、子どもたちの栄養が足りないのではと心配していたので、牛乳、ヨーグルト、納豆など、とても助かっています』
『こんなに長く続けてくれるのがうれしい。まだ料理できる環境が整っていないので』
との声がたくさんありました。

 

また、大谷町波の花デイサービスセンター駐車場では、5月初めより継続して無人物資配布車両「フーバー」を設置しており、常にグリーンコープさんの冷蔵品を入れさせていただいています。

「フーバー」は、登録(無料)いただいた方に、黄色のトラックのカードキーをお渡しし、24時間いつでもトラック内の物資を必要な時に取りに来れるという支援です。

車両内には、簡単に食べられたり栄養が取れる食品、生活に必要な消耗品などを、週1~2回補充。子育て世代のご家族から、年配の方まで、約30世帯の住民さんにご登録いただき、1週間に約40名の方がご利用されています。5月6日の開始から現在までにご利用いただいた方は、延べ350名以上です。

「スーパーがなくなってしまったので、とても助かっている」
「食べるものがなかった時に、あそこ(フーバー)に行けば何かいただけるかもと、足を運んでいる。それがとても今の生活での安心に繋がっています」
「最初は、うまく(車両の)鍵を開けられるか、利用できるか心配でお友達と一緒に通っていたけど、最近は不安もなく、一人で自分の行きたい時間に行って物資をいただいている。カードでピッてするだけだから簡単でラク!都会の人になったみたいで楽しい!」
「あの黄色い車(フーバー)をみると、なぜかホッと安心する」

活用されている住民さんたちからも、嬉しい言葉をいただいています。

現在も仮設住宅がまだ建設中の為、避難所や在宅避難されている方が多い大谷地区。地域に1軒あったスーパーも被災され、買い物は車で40~50分、細い山道の迂回路を通って市内中心部まで出ないといけません。途中、解体業者や仮設建設業者の大きなトラック、重機とのすれ違いもあり、運転するのも怖いという住民の方もいます。

モノとしての支援はもちろんですが、住民さんたちの健康面、そして、栄養が取れる食事があるという安心、心身面でのサポートにも繋がっています。

引き続き、大谷の方々の生活の支えに少しでもなれるよう、無人物資配布車両「フーバー」を継続していきます。フーバーに置いている食品、生活雑貨等は、たくさんの企業、連携団体にご協力をいただいております。ありがとうございます。

 

その他の活動

「福島子どもプロジェクト2024」実施

南相馬の子どもたちに保養や教育を提供するNPO「南相馬こどものつばさ」、国際NGOピースボート、そしてPBVが共同で実施をしている「福島子どもプロジェクト」が、今年も実施されました。

このプロジェクトの対象は、震災と原発事故で被災した福島の子どもたち。これまで100人をこえる中高生がピースボートのコーディネートするクルーズやスタディツアーに参加し、世界を旅してきました。今夏はピースボートのショートクルーズに乗船し、6日目に金沢港に到着。バスで輪島市に移動しました。

「テレビで見ていた街の様子とは違い、復興はまだまだ進んでいない」

地震で倒壊した家屋や避難所となっている学校、仮設住宅などを見て衝撃を受けていました。他にも海岸線が隆起している様子を見たり、PBVが運営している入浴施設「まちのの湯」を見たりと、子どもたちは、1月1日の地震の被害を実際に目の当たりにしました。

その後、PBVスタッフから災害支援に関する話を聞きました。

発災直後からこれまで
​・どのような支援を行なってきたのか?
・被災されている方がどんな想いで今、過ごされているのか?
・今後の課題​
などをお伝えしました。

また実際に段ボールベッドに座ってみたりなどの体験もしました。



​「不便でも良いからもう一度輪島市に帰って来たい」という被災者の声から「新しい街作りをする」という目標があることを知った子どもたち。能登視察で知った復興支援の進め方やコミュニティでの生活の仕方。それらを南相馬市の復興、そして次に災害が起こった際に実践していきたいと思ったと感じたようです。また大人になったらまた能登に戻ってきて復興支援に関わりたいとも。
​そんな子どもたちを、とても心強く感じた夏の1日でした。

※本プロジェクトはラッシュジャパン合同会社様より、助成を受けて実施しています。
※このレポートは、NGOピースボートの公式Facebookにて報告された内容を、抜粋してお届けしています。

 

今後の支援予定

現在、毎日のようにいくつもの関連団体と、被災者状況の共有や課題、解決方法を話し合いながら活動を進めています。

これまでの活動のようすを40以上のメディア(新聞・ラジオ・ネットニュース・配信番組など)で取り上げていただいています。動画・写真・インタビューなどにて紹介されており、アーカイブもご覧いただけます。
 ⇒ メディア掲載情報はこちらよりご覧ください。

今後も引き続き、中期的な支援のために、被災者の生活再建に関わる「コミュニティ形成(サロンの実施など)」「避難所運営サポート」「備品の提供(仮設備品支援など)」に力を入れていきます。

そのほか状況に応じて、「被災家屋の応急対応・保全」「災害支援のノウハウ提供や支援調整」「災害ボランティアセンター運営サポート」など、地元の団体や関係機関、支援団体と連携し、現地のニーズに合わせた支援活動を実施していきます。

 

長期的なご支援をお願いいたします

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