【発災から半年】2024年石川県能登半島地震、継続支援中

2024年1月1日に発生した、石川県能登半島地震から半年が経ちました。ピースボート災害支援センター(PBV)は発災直後に現地入りし、現在も珠洲市と輪島市にて現地の団体、関係機関、支援団体と連携しながら支援活動を継続しています。

発災から半年を迎えるにあたり、これまで継続して行っている支援について、とくにあまりご報告できていなかった輪島市での活動を中心にをまとめました。

<発災後の動き>

1月2日 PBVスタッフ数名を現地に派遣
1月3日 炊き出し、物資配布開始
2月2日 災害ボランティアの登録開始

※詳細な活動また先月までの活動のようすは、下記のレポートをご覧ください
 ⇒ 発災から5か月レポート

 

現在継続中の支援活動について

実は知られてない支援調整の大切さ(輪島市)

PBVスタッフは、避難所をまわりながら市職員や住民のリーダーさんとコミュニケーションをとりながら環境整備を行っています。
​避難所では避難者数が変動するため食数の把握やさりげない会話の中でニーズを把握していきます。
 
よく起こる被災地の課題の中に、多種多様な支援の申し出が届きそれを受け止めきれないことがあります。様々な団体や企業、個人から、炊き出しをしたい、物資を提供できる、マッサージができるよ、など多くの支援の申し出が届きます。
多くの人々が被災された方たちの力になりたいと想いを寄せて、とても有難く嬉しいことです。ただ、その問い合わせが、それぞれの避難所や市役所の様々な部署にきたらどうでしょうか。たとえば、炊き出しが自衛隊の食事支援と重なってしまうこともあります。支援の申し出と必要としているところのニーズと調整するだけでも一苦労です。支援を困っている方たちに繋ぎたくても、混乱してしまいます。
そこで、市役所職員の負担を減らしながら避難所運営をサポートするために、各種支援調整窓口を一本化し、調整業務を支援しています。
目立たない地道な作業ですが、支援を最大限活かすために重要な役割です。
 
 
 

食事の提供&調整~みんなに食事を届けたい!~(輪島市)

能登半島地震の難しさは、半島という地形も大きく影響しているだろうと現地スタッフは言います。
発災当初、土砂崩れや道路の寸断によって道路状況も悪く、大規模な食事を提供できる事業者も被災しており、なかなか食事が行き届きませんでした。多くの被災者が1か月以上かんぱんやおせんべい、アルファ化米、カップ麺だけで飢えをしのいでいました。
 
 
災害関連死をださないためにも生命維持から健康維持の段階へ切り替え、みんなに食事を届けようと、行政職員の皆さんと知恵を絞りながら少しずつ改善していきました。実は、災害救助法では被災者1人1日当たり1,230円以内(2023年6月時点)で食事を提供できることになっています。
事業者に手配するお弁当やおにぎり、パン、そして自衛隊の食事支援や民間の炊き出しがあっても十分な食数が足りず行き届かない状況でした。そこで地元の飲食店有志の方たちと協力し、災害救助法を活用して食事を提供するなど工夫し、様々な方法を実施しました。
 
一次的ではありますが、商いが難しくなった地元の方たちにとっても雇用創出の一助にも繋がります。他にも、生活協同組合など日ごろから協力関係にある企業・団体の方々にも協力していただき、4月からようやく3食の食事を市域全体に届けることができるようになりました。
 
 

災害対応にあたる自治体職員をサポート(輪島市)

大規模な災害が発生すると、被災者の生活や命を守るために最前線に立つのが自治体職員や関係機関の方たちです。
避難所の支援や物資・食事の手配、罹災証明の発行、インフラの整備、多様な機関との調整、問い合わせの対応など、その業務量は膨大です。
自治体の職員自身も、家族も被災しているなか、心身ともに過酷な環境下で災害対応に奔走しています。
そこで総務省を中心に、日本全国の自治体から応援職員が交代しながら支援にやってきます。輪島市では、ピーク時には最大167か所の避難所、12,800人以上が避難所に避難していました。その対応となると想像を絶する規模です。
 
 
日本全国でみると毎年各地で災害は発生していますが、一つの自治体からするとめったに起こることではありません。そのため、行政職員といえど避難所運営の経験を持っている職員は少数です。
PBVはこれまで多くの被災地で避難所の運営に携わってきました。それらの経験を活かして、輪島市では市からの要請を受け、市域全体の避難所・避難生活のアドバイザー・実行団体として職員の方々と共に動き悩みながら様々な支援活動を続けています。
 
(写真:鈴木省一​)
 

そのほかの支援(珠洲市・輪島市)

​上記のほかに、キッチンカーを利用した取り組み(珠洲市)、支援拠点の運営(珠洲市)、入浴支援(輪島市)、避難所への家電支援(輪島市)などを継続しています。活動については過去レポートをご覧ください。
 
 

最近の能登半島での動き

「公費解体」の周知

能登半島地震では、発生後から街の風景に大きな変化がないことがよく指摘されます。最大の理由は、倒壊した家屋が解体されなかったためです。

石川県では約2万2,000棟の「公費解体」(所有者全員の同意がなくても市町村の判断で解体・撤去する)が想定されていますが、5月26日までに完了したのは346棟でした。
5月28日、倒壊や焼失などで建物としての機能が失われている場合に「公費解体」ができると、環境省と法務省が関係自治体に通知しました。従来よりも踏み込んだ運用を明示することで、公費解体が進むかもしれません。

 

能登半島地震報告会&企業の支援について

6月に入り、3日には3石川県珠洲市や輪島市で震度5強の大きな揺れを観測しました。
珠洲市で支援活動をおこなっているPBVスタッフの大塩は取材に対し、「今回の地震は建物への被害よりも、精神的な影響の方が大きい」とコメントしました。

長期化する避難生活や支援活動のためには、様々な角度からの継続的な支援が必要です。
発災からちょうど半年となる7月1日には、企業の災害支援に焦点を当て、【PBV報告】「能登半島地震から半年 企業はどう関われるのか?」を開催しています。


※アーカイブURLは後日公開します。

 

今後の支援予定

現在、毎日のようにいくつもの関連団体と、被災者状況の共有や課題、解決方法を話し合いながら活動を進めています。

これまでの活動のようすを30以上のメディア(新聞・ラジオ・ネットニュース・配信番組など)で取り上げていただいています。動画・写真・インタビューなどにて紹介されており、アーカイブもご覧いただけます。
 ⇒ メディア掲載情報はこちらよりご覧ください。

今後は中期的な支援のために、被災者の生活再建に関わる「コミュニティ形成(サロンの実施など)」「備品の提供(仮設備品支援など)」に力を入れていきます。

そのほか状況に応じて、「被災家屋の応急対応・保全」「避難所運営サポート」「災害支援のノウハウ提供や支援調整」「災害ボランティアセンター運営サポート」など、地元の団体や関係機関、支援団体と連携し、現地のニーズに合わせた支援活動を検討していきます。

 

長期的なご支援をお願いいたします

「2024年石川県能登半島地震 緊急支援募金」ご寄付はこちらから

 

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今後の長期にわたる支援は、継続的に支えてくださる「災害支援サポーター(マンスリーサポーター)」のお力が大きな助けとなります。ぜひ、長期的なサポートにご協力お願いします!

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