【実施レポート】福島子どもプロジェクト2025、地球一周クルーズで出会う新たな体験:後編

「福島子どもプロジェクト2025」を実施しています

国際NGO「ピースボート」、福島県南相馬の子どもたちに保養や教育を提供するNPO「南相馬こどものつばさ」、そしてピースボート災害支援センター(PBV)は、2011年から共同で「福島子どもプロジェクト」を続けています。

このプロジェクトは、東日本大震災と原発事故で被災した福島の子どもたちを対象とし、これまで100人をこえる中高生が世界を旅してきました。この夏は福島・南相馬から3名の中学生が参加し、ピースボートの「地球一周の船旅」に合流して旅をします。

 ⇒  福島子どもプロジェクト とは

 ⇒  前編はこちらから「【実施レポート】福島子どもプロジェクト2025、地球一周クルーズで出会う新たな体験:前編」

 

【12日目~】交流、発表……初めての経験たち

ピースボートの船旅には様々な人が乗船しているため、コミュニケーション・コーディネーター(CC)と呼ばれる通訳ボランティアがいます。この日「福島子どもプロジェクト」の3名は、日本語、英語、韓国語、中国語の通訳をしている方々と交流し、自分のことについて紹介したり、CCさんたちのお話を聞いたり、ゲームを通して楽しみました。


また、船に乗っている小さな子どもや、小学生、中学生などとも一緒に遊びます。大人たちと触れ合うことも多い日々ですが、この日はお兄さんお姉さんのように接する場面も見られました。

 

13日目に取り組んだのは、スライドや原稿づくり。船内では一日中いろんな企画がおこなわれており、「福島子どもプロジェクト」では翌日に『この旅を通して経験したこと』という自分たちが楽しかった・学んだことなどを話す予定のため、その準備です。大勢の人の前で話すという、貴重でありながらとても緊張する経験です。夜は、みんなで通し練習をし、それぞれが発表に向けての意気込みを伝え合って気合いをいれました。

発表本番は、準備の成果もあって堂々とした態度で3人とも頑張りました!

2日ほどで完成させた原稿やスライドとは思えない完成度で、それぞれがこの旅を通して感じたことや学んだことを伝えました。ハプニングがあったけれど、それを楽しめたこと。ハプニングのおかげで出会えた人や景色。言語の大切さを改めて実感したこと。そんな貴重な経験を、聞いてくださる方々に自らの声で届けることができました。

自分たちの発表以外の時間は、ほかの方の企画に参加したり、いろんなお話をしたり……。毎日盛りだくさんで、あっという間の時間が過ぎていきます。

 

16日目~:ピースボート災害支援センターとの学び

帰国を目前にして、ピースボート災害支援センター(PBV)のスタッフによるワークショップ「“ゆたかさ”はどうやって測るんだろう?」が行われました。

「そもそもゆたかさとはなにか?」
「日本はゆたかであるのか?」
そんなことを考える会です。

この会で、中学生たちは「1つの見方だけで判断しないこと」を学びました。

いろんな情報があるなかで、他人の意見に流されたり、1つの意見だけを取り入れたりするのではなく、広い視野をもって物事を捉え、様々な角度から考えることによって物の見方も変わっていく。物事を多面的な視点で考えて判断できる力の重要性を学ぶワークショップでした。

PBVのスタッフは、船内でほかにも様々な企画を実施しています。

・能登半島地震から1年半が経つ被災地の様子
・国際支援事業の現場から考える「私たちはどう支え合うのか」
・親が死ぬまでにしたい10のこと
・平和のための対話学
・徳島の過疎地の話

などなど、多岐にわたるテーマで講座を行いました。

また、ワークショップとして

「わたしはマジョリティ?マイノリティ?」
「ストリートチルドレンにお金をあげることは良いこと?悪いこと?」
「みんなと同じじゃなくてもいい 自分らしさを見つける方法って?」

なども実施。直接的な災害の話でなくとも、ともに生きること、ともに支え合うことについての企画を行いました。

 

船内では、いろんな人たちからいろんな学びの機会があります。「福島子どもプロジェクト」の中学生たちも、自身の興味にあわせて多くの方々と交流を持ちました。

企画だけでなく、日常の時間も大切です。この日はお世話になった方々とのフェアウェルディナーで、夕食を一緒にとりながら会話を楽しみました。

 

17日目~:そして、日本へ……

横浜港への到着を翌日にひかえた、船内生活最後の日。

寂しさを胸に、最後の船でやりたいことをやり尽くす1日となりました。レストランで仲良くなったスタッフさんと会話をしたり、アイスをたくさん食べたり。ランチもディナーもコース料理を堪能し、お腹がはち切れそうなほど食べました。

荷物の整理とともに思い出も整理して……ついに横浜港に到着です。

横浜から東京、そして福島県南相馬へ。それぞれが得た経験を胸に、子どもたちは保護者のもとへ帰り、18日間の旅を終えました。

 

彼らの傍で過ごしたピースボートのスタッフはこうつづっています。

「一緒に過ごした日々を振り返ると、毎日成長していく子どもたちだった。その成長を自身でも感じ、そしてそれを言語化し表現する力も身についていました。周りの多くの大人たちに「貴重な経験だ」と言われましたが、本当にそうです。ここで得たものを、南相馬に帰った今も、そしてこれからも、自分たちの思うように生かしていってください」

 

また会おう、世界!

 

 

※このレポートは、国際NGOピースボートの公式Facebookにて随時報告された内容を編集してお届けしています。