「福島子どもプロジェクト2025」を実施しています
国際NGO「ピースボート」、福島県南相馬の子どもたちに保養や教育を提供するNPO「南相馬こどものつばさ」、そしてピースボート災害支援センター(PBV)は、2011年から共同で「福島子どもプロジェクト」を続けています。
このプロジェクトは、東日本大震災と原発事故で被災した福島の子どもたちを対象とし、これまで100人をこえる中高生が世界を旅してきました。この夏は福島・南相馬から3名の中学生が参加し、ピースボートの「地球一周の船旅」に合流して旅をします。
⇒ 福島子どもプロジェクト とは
【初日~】日本を出発、さっそくトラブルが……
日本を出発してピースボート「地球一周の船旅」に合流するため、アラスカへと向かいます。まずは飛行機で香港へ。
と、いきたいところでしたが、台風の影響により飛行機が飛び立ったのは4時間後……。急遽、予定していなかった香港での宿泊となります。不安の多い移動のなか、自分から発言したり提案したりと行動し、トラブルにも「楽しもう」と対応していました。
翌日は香港のダウンタウンへと繰り出し、電車の乗り方に苦戦しながらも、現地の人に教えてもらいながらなんとか移動します。香港料理を食べ、アートミュージアムや海を訪れ、日本との文化や景色の違いを体感します。旅の仲間と「これがすき」「ここがすごい」と感想を共有したり、英語を使って道を尋ねたりと、初めての経験をしながら次はカナダのバンクーバーへ向かいました。
【3日目~】船旅への合流に向けて、アラスカへ
3日目には、バンクーバーからシアトルを経由し、船との合流地・アラスカ州シトカへ向かいます。シトカは肌寒くて少し雨模様でしたが、長旅の空腹にピザやタコスを英語で注文し、美味しく食べました。
4日目は歴史深い街であるシトカを散策。トーテムを見て回るツアーに参加したあと、博物館でトーテムの歴史や作り方、実際に当時住んでいた人たちが身につけていたものについてなどたくさんのことを学びました。
お店での注文やスーパーでの買い物といった日常的な場面で英語を話す機会が増え、1日の振り返りの時間では「もっとこうやって英語で会話したい!」と具体的な目標がそれぞれ見つかったようです。
【5日目~】船への合流、新たな学びの出会いの旅へ
福島を旅立って5日目の7月25日、やっとアラスカで船に合流することができました。
参加する中学生たちも慣れない環境のなか頑張り、ついに乗船です。
乗船後、避難訓練や船の生活の流れについての確認を終えると、ご飯を食べたり卓球をしたりとそれぞれの時間を過ごします。やっと落ち着いて規則正しい生活が送れそうです。
7月26日は、船内で「福島こどもプロジェクト」の3人がおこなう『南相馬について』をテーマにした発表に向けて、朝から打ち合わせをしたり準備に取り組みました。旅をより有意義なものへと導く「水先案内人」として乗船されている各界の著名人の方々とお話をしたり、船内でおこなわれている様々な企画に参加をするなど、様々な方たちとたくさん言葉を交わしました。
午後はアラスカの氷山を見て、初めての景色に感動し、陸地ではない船ならではの旅を楽しみます。
旅の7日目となる7月27日は、朝は船内テレビ「くるナビ」に出演。海ではイルカを見ることもできました。
午後は、船内での企画に参加したり、水先案内人の講演を聞いたり、それぞれの学びを深めます。
8日目、船はアラスカ州スワードに寄港しました。
ここでは犬ぞり体験を行い、14匹の犬に引かれて15分ほどの距離を走りました。曲がったり下ったりの道では思わず叫びながらも、終始みんな楽しみました。
【9日目~】「福島こどもプロジェクト」発表
そして9日目、ついに「福島こどもプロジェクト」発表の日です。
『南相馬について』知ってもらうために、船に合流してからもスライドや原稿の最終調整を行ったり、練習をしたりと頑張っていました。会場は満席!座れない方もちらほらいるほど、多くの方が集まりました。
自己紹介では、自分の名前を4ヶ国語で話すことに挑戦。アドリブをいれたり、聞いている人を巻き込んだり、さまざまな発表スキルも垣間見えます。会場からの拍手をもらいながら、南相馬市の文化や歴史、自然などについての発表を通して、南相馬市の魅力を伝えることができました。
そして、旅も10日目を迎えます。
発表を終えた翌日はバルーンアートを教えてもらったり、長崎出身の方の戦争時の話を聞いたりしました。
『南相馬について』の発表の反響もあり、船内では多くの人に声をかけられました。自分たちの住んでいる街や地域のことを知ってもらう、いいきっかけになったと実感したことでしょう。
11日目の7月31日には、スペイン語の勉強や、ボッチャ(※障害者スポーツのひとつ)などに挑戦。
そして、ピースボート災害支援センターのスタッフとも学ぶ機会を持ちました。「会話と対話」について考える時間を過ごし、『対話』とは、「どうしてそう思ったのか?」というように相手の考えや意見を訊くことだと学びました。
まもなく8月。明日は、戦争や歴史、文化、言語などのテーマについてのお話を聞く予定です。
※このレポートは、国際NGOピースボートの公式Facebookにて随時報告された内容を、抜粋・編集してお届けしています。