【実施レポート】福島子どもプロジェクト2026(後編)──沖縄・長崎・韓国、そして…

「福島子どもプロジェクト2026」を実施しています

国際NGO「ピースボート」、福島県南相馬の子どもたちに保養や教育を提供するNPO「南相馬こどものつばさ」、そしてピースボート災害支援センター(PBV)は、2011年から共同で「福島子どもプロジェクト」を続けています。

このプロジェクトは、東日本大震災と原発事故で被災した福島の子どもたちを対象とし、これまで100人をこえる中高生が各地を旅してきました。この夏は福島・南相馬から8名の中学生が参加し、ピースボートの「日本一周クルーズ2026年夏」に合流して12日間の旅をしました。

⇒  前編はこちらから「【実施レポート】福島子どもプロジェクト2026(前編)──広島での平和学習・台湾へ」

 

【8日目~】沖縄上陸

沖縄は、朝から強い日差しが照りつけ、まさに灼熱でした。

那覇港からバスで北上し、美ら海水族館へ。館内では大きな水槽を泳ぐ魚たちに大興奮。なかでも、ジンベイザメの「ジンタくん」は今年で飼育31年目を迎え、その大きさだけでなく、長年大切に育てられてきたことにも驚いていました。

その後は那覇市へ戻り、国際通りで自由行動です。また、那覇市ではちょうど夏祭りがあり、偶然にもピースボートの船上から花火を見ることができました。周りの建物や人に遮られることなく、花火とほぼ同じ目線の高さから眺めることができるのはクルーズならではの特別な体験でした。

旅も8日目となり、長い共同生活の中で友だち同士の気持ちがすれ違い、関係がぎくしゃくする場面も少しずつ見られるようになってきました。しかし、そのたびに相手の気持ちを考えようとしたり、自分たちで話し合って解決しようと努力したりする姿も見られます。親元を離れた約2週間の生活だからこそ、お互いをリスペクトしながら生活することの大切さを学び、一人ひとりが少しずつ成長していることを感じます。

そして9日目は、最後の船内研修日でした。

福島子どもプロジェクト主催のゲーム大会を開催すると、船内から17人の子どもたちが集まり、ジェスチャーゲームや〇×ゲームを行いました。初めは少し緊張していた子どもたちも、ゲームが進むにつれて自然と笑顔が増え、学年や学校を越えて交流し、盛り上がりました。

夕方からは洋上夏祭りが開催され、多くの乗船客が浴衣や甚平を着て盆踊りを踊るなど、夏らしく賑やかな雰囲気に包まれました。

 

【10日目~】長崎、韓国、そして…

10日目は長崎に上陸しました。

軍艦島に上陸する予定でしたが、台風の接近により周遊のみの見学となりました。しかし、長崎港の複雑な地形や、その地形を生かして発展してきた造船の歴史、世界遺産についてガイドさんから詳しく話を聞くことができ、子どもたちは真剣な表情で耳を傾けていました。「こんな小さな島にたくさんの人が住んでいたなんて信じられない」と驚く声も聞かれ、実際に目で見たからこその学びがあったようです。

その後、大浦天主堂を見学。かつてキリスト教が禁じられ、多くの人々が苦難を経験した歴史について学びました。一方で、子どもたちからは「初めて教会に来た」「きれいだった」「なんだか落ち着く雰囲気だった」などの声も聞かれ、歴史だけでなく建物の美しさや厳かな空気を体感していました。

11日目は韓国へ。たくさんのマンションが密集しているのが印象的で、子どもたちは「ズートピアの世界に来たみたい」と口を揃えて、驚いていました。

龍洞山公園、釜山タワー、そして「韓国のマチュピチュ」と呼ばれる甘川文化村、国際市場をめぐり、夜ご飯は本場の韓国料理である骨付きカルビをいただきました。「初めてサムギョプサルを知って、美味しかった」などたくさんの発見や感動があったようです。

いよいよ最終日となる12日目は、韓国から飛行機で帰国します。毎回集合時間に遅れてしまっていた子どもたちが、全員時間どおりに集合し、少しずつ成長していることを感じます。初めての飛行機に緊張しながらも、笑顔いっぱいで搭乗し、日本へと帰国しました。その後も新幹線や常磐線を乗り継ぎ、福島県の原ノ町駅へ到着。解散式を行い、12日間の旅を終えました。

親元を離れて仲間と協力しながら共同生活を送り、本当によく頑張りました。送り出してくださった保護者の皆さま、船内で温かく接してくださった乗船者やお友だち、関係者の皆さま、本当にありがとうございました。たくさんの方々の支えがあったからこそ、この12日間の旅を無事に終えることができました。心より感謝申し上げます。

 

終了後の声

※「福島子どもプロジェクト2026」の参加者8名と、親御さんの声より、一部抜粋して掲載いたします。

参加者より

「出発日当日、早朝に起こされ眠い目をこすりながら期待と不安で胸がいっぱいでした。しかし、原町駅に着くと、メンバーみんながいて、不安はなく期待のほうが大きくなりました。
船のなかでは、毎日いろんなイベントが行われていて時間があっという間に過ぎていきました。青い海、青い空、白い雲、まるで夢のようでした。僕はあの水平線の光景を忘れることはないでしょう。」

「今回このような貴重な体験をさせて頂きありがとうございました。旅の中ではケンカもしたけど大変いい思い出ができました。同時に、集団で行動、親のいない生活の大変さもわかりました。この体験を胸に一歩ずつ大人になっていきたいと思います。」

「広島の原爆ドーム平和記念資料館、平和記念公園を見て原爆のこわさを知りました。家に帰ってからお母さんに『八月六日まえに手を合わせてこられたことが良かったね』といわれ貴重な経験ができたことを知り、広島に行けて良かったです。」

「旅が始まる前から広島の平和記念資料館に行きたいと思っていました。原爆が落ちた時やその後に人々はどんなことを思って、その人たちに何があったのかに興味があったからです。自分には想像もできなかったことが、平和資料館に行ったことで学べました。今までは、昔おきた出来事くらいにしか思ってなかったけど、実際に広島に行ってきた事で戦争の見方が変わって、自分も成長したように感じました。」

「広島に行き、戦争という悲惨さを学んできました。とても悲しくなり、とても腹が立つ光景でした。広島、長崎と二つの県に落ちてきて、すごく最悪な日なんだと気づきました」

「台湾などの海外は日本語をしゃべれる人が全然いないと思っていました。ですが、台湾のお茶を買うところで、台湾のお金がなくて困っていると、店員から「日本円でも大丈夫ですよ」と言ってくれて、日本人のようにすごく上手に日本語を話していてとても感動しました。」

「新しい友達ができたことが思い出です。一緒に船の中を歩き回ったり、ご飯を食べたりしてくれて、本当に嬉しかったです。だから船をおりるのは嫌だったけど、船をおりた後に寄港地の写真を送ってくれたりしました。こんな素敵な出会いの機会をくれた親に感謝します。」

ご家族より

「震災以降に生まれた子供達ですが、このような貴重な学びの場を継続的に支援・提供してくださっている皆様、参加中に関わってくださった全ての方に感謝いたします。」

「福島県のことを伝える発表も、緊張しながらもうまくできたと、ただもう少しこうした方が良かったと反省点も教えてくれたので、成長を感じました。
南相馬から一緒に行った子達以外の子とも仲良くできて、いろんなコミュニケーションがとれたことは、すごくいい経験にもなったと思います。」

「引っ込み思案な性格なので、自分の意見を伝えることができるのか心配しつつ見送りました。帰宅後、話を聞いている中で驚いた事は、船内でインタビューに応じたという事です。突然の質問にもしっかり答える事ができた事で自己肯定感が高まった様子です。自分の好きなオシャレを前面に出し、友だちと遊びに行き、とても生き生きとしています。」

「出発する時は緊張しながら出発をして行きましたが、帰って来た時の姿は少し成長を感じました。たくさんの思い出を作る貴重な経験をさせていただき感謝いたします。」

「外国での観光や買い物など、普段ではなかなかできない経験も娘にとってかけがえのない学びになったと思います。帰ってきた娘の表情を見て、本当に特別な経験をしてきたのだと実感しました。親としてこんなに嬉しいことはありません。」

※このレポートは、おもに国際NGOピースボートの公式Facebookにて随時報告された内容を、抜粋・編集してお届けしています

福島子どもプロジェクト:
https://peaceboat.org/projects/fukushima_youth.html