【実施レポート】福島子どもプロジェクト2026(前編)──広島での平和学習・台湾へ

「福島子どもプロジェクト2026」を実施しています

国際NGO「ピースボート」、福島県南相馬の子どもたちに保養や教育を提供するNPO「南相馬こどものつばさ」、そしてピースボート災害支援センター(PBV)は、2011年から共同で「福島子どもプロジェクト」を続けています。

このプロジェクトは、東日本大震災と原発事故で被災した福島の子どもたちを対象とし、これまで100人をこえる中高生が各地を旅してきました。この夏は福島・南相馬から8名の中学生が参加し、ピースボートの「日本一周クルーズ2026年夏」に合流して12日間の旅をしました。

  福島子どもプロジェクト とは

 

【初日~】旅の始まり

朝6時に駅へ集合し、出発式を行った後、常磐線と新幹線を乗り継いで約5時間の長距離移動。新幹線の写真を撮ったり、車窓から見える東京スカイツリーに夢中になったりと、それぞれが旅の始まりを楽しんでいる様子です。

そして、ピースボートの船を目の前にした瞬間、「大きい!」と驚きの声が上がり、目を輝かせる子どもたちの姿がとても印象的でした。船内ツアーでは「ここで何をしようかな」と想像を膨らませながら、船内を探検。出航式では、中学3年生の泉田康貴さんが代表スピーチを担当。多くの人に見守られる中でも堂々と話す姿は、とても立派で頼もしく感じられます。

夕食では、クルーを相手に英語で注文することに挑戦。まだ緊張している様子も見られましたが、自分から名前を聞いてみるなど、一歩踏み出そうとする姿もありました。

2日目は、一日船内研修でした。船内新聞を読んで「ここに行こうかな」と積極的にイベントへ参加する声が聞こえます。

印象的だったのは、参加者の酒井千代乃さんと泉田紗希さんが、船内で出会ったお客様に「人生で大切にしていること」「若いうちにやっておくとよいこと」を自ら質問したことです。人生経験の豊富な方のお話に真剣に耳を傾け、新しい価値観に触れることができました。世代を超えて交流できることも、ピースボートならではの貴重な学びです。

また、翌日の広島寄港を前に、当時5歳で被爆された花垣ルミさんの体験談を聞き、子どもたちは「平和とは何か」について考えました。「戦争がない世界」「生き方が全く違う人とも笑い合える世界」など、それぞれが自分なりの平和を言葉にしていました。

 

【3日目~】広島への上陸、平和学習

暑いなか、平和記念公園と原爆資料館を訪れました。

まずは慰霊碑に手を合わせ、その後、被爆当時の地下部分が現存するレストハウス(旧燃料会館)へ。当時たまたま地下にいたことで命が助かった方の証言や展示を見学し、被爆の実態について学びました。

お昼に広島名物の麺の入ったお好み焼きを食べてお腹いっぱいになったあとは、原爆ドームへ。教科書で見ていた建物を実際に目の前にし、その存在感や歴史の重みを肌で感じました。

その後、原爆資料館では、被爆者の遺品や再現映像などを自由に見学しました。音声ガイドを真剣に聞き、初めて目にする資料に、子どもたちはさまざまな感情を抱き、中には胸が苦しくなり、言葉を失う子もいました。

最後に、公園の木の根元へ水を注ぎ、原爆で亡くなられた方々への祈りを捧げました。

船に戻った後の夜の会では、「何が印象に残ったか」を一人ひとりが共有しました。「爆発を再現した映像」「熱線の恐ろしさ」「遺品や手紙」「放射線による白血病などの健康被害」などが挙げられ、「つらくて思い出したくない」という率直な感想もありました。また、「放射線」という言葉から東日本大震災の原発事故を思い浮かべる子もおり、福島と広島を結び付けながら、これからさらに放射線について学びを深めていきたいと感じました。

翌日、広島を離れ、1日船内で過ごしました。

船内には毎日さまざまな企画が用意されており、それぞれが興味のある企画を選びました。

ある子どもたちは、海洋プラスチックごみをアクセサリーなどに生まれ変わらせる「オーシャン・アップサイクル・プロジェクト」の企画に参加しました。実際に海に流れ着いたプラスチックごみがどのように新たな価値を持つ製品へと生まれ変わるのかを学び、海洋ごみ問題の深刻さを考えさせられる時間となりました。

そして、乗船してからずっと楽しみにしていたプールにも入りました。「プールなのに海水なの!?」と驚きながら、「しょっぱい!」「目に入ると痛い!」と愚痴を言いつつも大はしゃぎでした。

19時からはウェルカムパーティーが開催され、浴衣や制服など、それぞれお気に入りの服装で参加しました。音楽やダンスで会場は大盛り上がりとなり、子どもたちも最初は少し緊張していたものの、自然と笑顔になり、積極的に楽しむ姿を見ることができました。

5日目は、前日の「オーシャン・アップサイクル・プロジェクト」の企画をきっかけに、朝から海洋プラスチックを使ったピンバッジ作りに挑戦しました。海洋プラスチックが世界に一つだけの新しい形に生まれ変わるアップサイクルを、楽しみながら学ぶことができたようです。

また、英会話教室に行く子たちもいて、英語で話しかけたり、文法について質問したりと、英語を学ぶ意欲が感じられました。

そして、「福島県の魅力紹介」を子どもたちがプレゼンテーションするという企画があります。100名を超える乗船者にご来場いただき、事前学習として福島県や南相馬市について調べて準備してきた内容を、8人全員が無事に発表することができました。

発表後には、「福島に行ってみたくなったよ」など、船内のたくさんの方たちから温かいお声がけをいただきました。子どもたちにとって、自分たちの言葉で福島の魅力を伝え、それが誰かの心に届いたことを実感できる、とても貴重な経験になったと思います。

一日の終わりには、10代が集まる交流イベントにも参加。学校や住んでいる場所を越えて交流し、とても充実した一日となりました。

【6日目~】初海外・台湾へ

待ちに待った台湾上陸。

最初に訪れたのは古い街並みが残る「十分」です。子どもたちはランタンにそれぞれの願いを書き、空へ飛ばします。「新人戦で勝てますように」「元気に過ごせますように」など、一人ひとりの思いが込められたランタンが空へ舞い上がっていきました。

その後は、「十分」の街並みを楽しみながらお土産探しへ。本場の台湾タピオカを味わったり、家族へのお土産を選んだりと、それぞれ思い思いの時間を過ごしました。

平渓線の列車では、車窓から台湾の自然を満喫し、続いて訪れたのは「九份」。昼食では、みんなで大皿料理を囲みました。日本ではあまり見かけない料理に最初は戸惑う様子もありましたが、一口食べると「美味しい!」と、おかわりをする子もいました。

食後はガイドさんの案内で九份の街を散策。日本との違いについて、「トイレットペーパーが流せないこと」「放し飼いの犬や猫が多いこと」「いろいろなにおいが混ざっていること」など、台湾ならではの発見をしていました。

翌日は、船内で過ごします。

午前中はプールに入り、午後は特別に操舵室を見学させていただきました。

実際に操縦桿に触らせてもらったほか、巨大な船をどのように操縦しているのかを航海士さんから教えていただきました。床が透明なガラスになっている場所では、停船する際に船の真下を確認しながら操船することや、安全に航海するために多くの方々が連携して働いていることを知り、貴重な学びの時間となりました。

 

初めての体験に溢れる日々を経て、旅の後半は、沖縄、長崎、韓国へ向かいます。

⇒  後編はこちらから「【実施レポート】福島子どもプロジェクト2026(後編)──沖縄・長崎・韓国、そして…」

 

※このレポートは、おもに国際NGOピースボートの公式Facebookにて随時報告された内容を、抜粋・編集してお届けしています

 

▶福島子どもプロジェクト:
https://peaceboat.org/projects/fukushima_youth.html