2021年8月から続く、生活再建支援
2021年8月豪雨の発災から佐賀県大町町では、
- 町役場
- 災害ボランティアセンター(社会福祉協議会)
- NPOなどの支援団体
上記の三者連携体制を軸として、町内で被災した約330世帯、880人以上の在宅避難者に対し生活再建支援を継続しています。
「地域の支援拠点」を設置
町内で被害の大きかった地区の公民分館や防災拠点を活用し、在宅避難者に対する「地域の支援拠点」を3か所設置しました*。
それらの拠点は、
- 支援物資や炊出しの提供
- 家屋清掃や乾燥のための資機材の貸出し
をはじめ、被災後のさまざまな困りごとや相談などを、いつでも気軽に寄せられる場所として、各自治会と協働して開いてきました。
* 公民分館(下潟分館と中島分館)を支援拠点としての活用は、選挙投票所としての明渡しや建屋の改修工事に向けて、10月末をもって終了し、その後は大町町地域おこし協力隊が主として運営するPeri.(ペリドット)に統合しています。
支援拠点も復旧・修繕が必要
町内の被災された住民の拠り所となってきた支援拠点の公民分館もまた、被災していました。そのため、壁の消毒・乾燥を繰り返したりなど、復旧・修繕作業を継続しながらの運営をしました。
また2年前の水害のあとに購入した、テーブルや椅子、町内のイベントに活用してきた調理室の電化製品や厨房機器といった備品の多くも、今回の大雨によって再び水に浸かって使用できなくなっていました。
発災後すぐ先遣チームが訪れた中島分館の様子。
調理室には、浸水によって浮いた冷蔵庫が故障し使用できなくなり、傾いたまま置かれていました。(PBV撮影)
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復興に欠かせない、地域コミュニティ
まちの復興には、住民の集いや拠り所となる地域コミュニティがとても大切で、大きな役割を果たします。しかし、建物の改修工事の一部負担だけでなく、浸水してしまった備品も各被災地区の自治会費などによって捻出し再購入しなければなりません。
こうした状況をふまえPBVでは、ジャパンプラットフォームの助成金とラッシュジャパン合同会社からの寄付金を活用させていただき、公的な資金でまかなうことができない物品を提供しました。浸水した厨房機器や電化製品、住民が集うために欠かせないテーブルや椅子などです。被災地・被災者の一日でも早い生活再建をサポートするための拠点運営整備を行いました。
助成や寄付のご支援をくださった支援者の皆さんの想いもしっかりと伝えながら、各地区の役員の方々とともに、公民館の復旧・運営再開に向けて必要な備品選定の話し合いをじっくり行い、地区のニーズを聞きとります。(左:下潟分館にて:PBV撮影)
大町町内で、浸水被害に遭って一時営業停止せざるをえなくなった店舗は数多くあります。町のいち早い復旧のために、備品の購入先はできるだけ、町内の被災してしまった店舗にご協力をいただいています。(右:恵比須地区で電気屋を営む久本さん。恵比須地区の自治会で役員も務めていらっしゃいます。:PBV撮影)
今回の水害によって、中島分館でも厨房機器や電化製品、その他の備品のほとんどが水没しました。「地区の婦人会やイベントでまたみんなで調理ができるからとても嬉しい」と、地区を支える役員の方々の声と笑顔をいただきました。(左:PBV撮影)
家屋の清掃や乾燥作業だけでなく、家の断熱対策なども喫緊の課題。被災住民が家屋の復旧作業を継続できるように、ニーズと状況に合わせた資機材を住民に寄り添うPeri.へ必要な資機材や消耗品等を提供しました。(右:PBV撮影)
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公民分館の中には、現在も分館の床や壁などの修繕工事が続いている所もあります。
ある役員さんは、
「自分の家もまだまだこれからだから、今年もしばらくはまだ気が休まらないかなぁ。それでも、公民分館がどんどん直ってきて嬉しいね。これまで前の水害と新型コロナの影響とで約3年間地区行事がなかなか開催できなくて寂しい思いをしたから、“今年こそは”と楽しみにしているよ」
とお話されていました。
人と人との結びつきがつよい大町町。「おくんち」などのお祭りや餅つき大会といったイベントなど地域活動も盛んで、地域づくりのために地区の住民が自然と集い支え合うような、素敵な地縁が根づいています。
そんな地域で、公民分館は人と人を繋いできた歴史ある大切な場所。息の長い復旧・復興の道のりを少しずつ前に歩む皆さんとともに、地域コミュニティの再生へと一歩ずつ進んでいきたいです。