5月26日と27日に開催された全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)主催の「第5回 災害時の連携を考える全国フォーラム」に参加しました。
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コロナ禍の災害支援のあり方を考える~JVOAD全国フォーラム➀~
コロナ禍の災害支援のあり方を考える~JVOAD全国フォーラム➁~
企業が多く登壇した「分科会セッション1-5:コロナ禍においても、頻発する災害、被災地の様々な社会課題に対する企業の向き合い方を考える【備え】 」では、2020年7月豪雨災害の際に、それぞれがどのような支援を行ったかが報告されました。
例えば、セキュリティー事業を行っているセコムは、大分県のNPO法人リエラにAEDのオンラインパッケージを提供しました。熊本県では19か所の仮設団地に22台のAEDを提供し、近隣の事務所で勤務している社員が現場へ訪れ、救命救急講習なども行いました。全国に支店があるからこそ、人の移動を最小限に抑えた支援ができていました。現在、熊本県球磨村の269世帯を対象に、災害時などに利用できる「セコム安否確認サービス」の提供を準備しています。人員投入型の支援はなかなか難しいですが、自社のサービスや商品を提供することで支援に繋がればと考えており、どんな支援が必要なのかはJVOADの情報共有会議などで得ていました。JVOADが企業と被災地を繋げています。
その他にも多くの企業が登壇し、主に自社のサービスを被災地支援に繋げている取り組みを紹介しました。それぞれの企業が多様な事業を展開しており、自社のサービスや資金などを被災地への支援にしたいと考えています。ですが、何をどのくらい支援したらいいのかの情報はなかなか集められず、歯がゆい思いをしている企業も多くあります。そんなときにJVOADが積極的に支援者と被災地をマッチングすることによって、それぞれの強みを活かした支援を届け、お互いにとってより良い支援を模索することができます。PBVとしてもこのプラットフォームを利用して、多くの企業と多くの支援を行えるようにしていきたいと考えています。
また、外国人在住者と宗教施設の可能性に関する分科会では、災害時のための新しい人材育成や、宗教施設が避難所の役割を担える可能性について報告がありました。
NPO法人CWS JAPANが新宿在住の外国人に防災意識に関するアンケートを実施しました。新宿は留学生などの若い外国人が多い一方、日本人の独居高齢者世帯が多い地域です。この場所で外国人の防災意識を高め、周りとのコミュニティが形成されていれば、彼らが有事の際の担い手として、高齢者と一緒に逃げられるのではないかと考えています。
新宿区は人口の1割が外国人で約35,000人が暮らしています。その9割がアジア出身です。アンケートに回答した外国人の中で、「災害時の準備や避難場所を確認している」と回答した人は40%、「地域の防災訓練に参加したことがない」と回答した人は83%でした。なんとなく災害の準備はしていますが、多言語化されていなかったり、住んでいる場所でのコミュニティとの繋がりがなかったりするので、地域の防災訓練への参加はしずらくなっているのが現状です。彼らの情報収集手段の大半がFacebookなので、外国人の参加を促すには、FBなどで英語含め多言語で呼びかけることが必要です。
他にも、近年では人道支援における宗教施設の可能性も示唆されています。宗教施設は地域ごとに多様に存在していますが、その地域に奉仕をする役割もあります。これがなかなか周知されていないので、有事の際に宗教施設に頼る人があまりいませんが、宗教施設が避難所の役割を担ったケースがいくつもあります。
例えば、日本福音ルーテル健軍教会は熊本地震の際に1ヶ月半自主避難所として独自で運営を行っていました。1日平均40人ほどが生活をしており、1日3食の提供、地域の御用聞き、物資配布、生活再建相談、医療相談、メンタルケア、奨学金事業の設立など、行政や社協の支援は一切受けずに運営を行っていました。指定の福祉避難所は受け入れられる定員に限りがありますが、こういった宗教施設が二次避難所や福祉避難所のような役割を担ってくれることは、地域の障がい者や高齢者、外国人にとっていい場所になりうると感じました。また、豊島区大塚にあるマスジド大塚では災害時にハラル食品の提供を行っており、多様な住民が身を寄せる避難所で、それぞれにあった食事を提供できる可能性が広がっています。
各地にさまざまな宗教施設があるので、考え方の違いからすぐに一致団結することは難しいかもしれませんが、手を取り合えるところから手を取り、災害時に備えていけたら良いとと思います。
その他にもさまざまな分科会に参加し、災害発生時に活躍するアクターの多さを改めて感じました。また、昨年のコロナ禍での大規模支援となった2020年7月豪雨での学びを活かし、今後、大きな災害が発生したときに何ができるのかより具体的に議論されていたのが印象的でした。
2020年7月豪雨ははじめてのコロナ禍の災害支援として、各団体が試行錯誤をしながらなんとか支援を行ってきました。ですが、本来の災害支援ならできていたけれど、コロナ禍で諦めなければいけないことも数多くありました。今後そういったことが1つでも減らせるように、PBVでもさまざまな支援のあり方を模索し続けていきます。