コロナ禍の災害支援のあり方を考える~JVOAD全国フォーラム②~

前回のブログに引き続き、今回は、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)主催「第5回 災害時の連携を考える全国フォーラム」の2日目のセッションの報告です。この日、PBVからは2つの分科会に登壇しました。

分科会セッション3-2:技術系支援の理解と協働の事例(東日本大震災から10年を踏まえて)【分野】/川村勇太が登壇しました
分科会3-2では、行政、社協、NPOといった異なる立場から復旧・復興活動に関わってきたパネリスト達が、とりわけ家屋保全に関する技術系(床下、屋根上、重機などの専門スキル)支援が必要とされる際の連携の重要性や、これから取り組んでいくべき課題点を話し合いました。
被災した地域によっては、社協や行政の職員の災害対応経験が不足していたり、専門的技術を要する場面で適切な支援ができる人材が身近にいないなど、社協や一般ボランティアだけでは手に負えない場面は少なからず起こります。パネリストがそれぞれ災害対応にあたった東日本大震災、台風19号被害、2020年7月豪雨災害の現場でも、専門的な技術ノウハウをもった支援団体と積極的に連携することで、住民ニーズへの対応の効率化・円滑化を図りました。
PBVでは、2019年の台風15号・19号被害を受けた千葉県にて、地元の支援活動の担い手を増やす取り組みに力を入れています。自らも被災した経験をもち、支援に培ってきたスタッフの川村は、ブルーシート張りなどの技術系講習・OJTについて紹介しました。引き続きコロナ禍で起こる災害に備え、平時から専門性やノウハウをもった支援団体との連携体制をつくり、地元が地元を支える仕組みを強化していくことが重要です。

 

 

分科会セッション4-1:「”技術系支援の担い手を増やすために(技術系の理解と平時の働きかけ)~技術系といっても実際は福祉支援~」【分野】/事務局長・上島安裕がコーディネーターを務めました

分科会4-1では、家屋保全に関する技術系支援の新たな担い手の育成への取り組みを共有し合い、平時からの三者連携や担い手育成を強化していく重要性について話し合いました。
冒頭にて上島より、社会課題に対して地域の支え合う力がより脆弱化している現状や、技術系団体の役割やその支援があたえる効果について整理しました。とりわけ、技術系支援を行える新たな人材を各地域に増やし支える取り組みが重要だと強調しました。
パネリスト達は、それぞれが技術系支援を効率的に行うための取り組みを紹介し合いました。NPOでは消防士を中心とした地域住民に技術系支援を担うための研修・OJTを実施しています。社協は職員たちの現場のコーディネートやマネージメントのスキルを身に着けるための仕組づくりに尽力しています。国としては、行政職員が災害時に三者連携を円滑に行えるように研修体制を整えたりなど、行政や、社協、NPOが担うことのできる役割はそれぞれ異なります。お互いがどんな支援をできるのかを”平時から知る”ことで、災害時に迅速で円滑な対応に繋がります。
現状では技術系支援のノウハウを提供できるNPOの数はまだ限られているものの、こうした支援を担える人材の重要性は自然災害が頻発する中で、より高まっています。都道府県域や市区町村域での三者連携を発展させていくことは急務ですが、その中で、地域の新たな技術系支援の担い手を増やしていくためのサポート体制を構築していくことも不可欠です。