【防災減災】国内で初めて、災害VCのシミュレーションゲーム発売開始

被災地では公的な支援では担いきれない分野を、社会福祉協議会(社協)が運営する災害ボランティアセンター(災害VC)が中心となり、個人のボランティアや支援団体と協働しながら、被災者を支えてきました。東日本大震災以降、PBVではこの10年間、数多くの被災地で、災害VCの運営支援をおこなってきました。これらの災害VCの運営支援経験をなんとか、社協の職員や災害VC運営を担う地域の方達に還元していこうと取り組んできました。

 

 

 

被災地以外でも、講演や研修などを通じて、全国各地の社協職員とお話できる機会があります。徐々に、社協の担当職員が感じている課題感も見てきました。全国に約1,700ある市区町村社協にとっては、被災地での中長期の支援を経験したり、ノウハウを蓄積する機会が限られています。また社協職員は、平時には災害VCの担当以外にも地域福祉を実践し、高齢者や障がい者へのサービスなど、その業務は多岐に渡ります。同じ組織の職員の中でも、災害対応の認識や知識、経験の差がある中で、事前に共通認識を持つことも課題の一つでした。そして実際、災害時には手探りで災害VCを立ち上げ、毎日発生する目の前の出来事に追われがちになってしまいます。

 

そこで、2017年から2019年の3年間は、赤い羽根福祉基金の助成を頂いて「全国の各市区町村の災害ボランティアセンターが、「被災者中心」「地元主体」「協働」を実現できる災害VCの仕組みづくり・人材育成」に力を入れてきました。災害ボランティアの育成や災害VC訓練・研修など全国各地で多様な研修メニューを142回実施し、6137人が参加してくれました。

 

その中から生まれたのが、災害VC運営の担い手になる方達が楽しく、でも真剣に学べる機会をつくる「災害ボランティアセンター マッチングシミュレーションゲーム(災害VC MSG)」です。災害VC運営の3原則と言われる「被災者中心」「地元主体」「協働」の共通理解やボランティアとニーズのマッチング、臨機応変な対応をグループディスカッション形式のワークショップで学んでいきます。さらに、PBVスタッフが現場の経験をもとに、事例を紹介し解説していきます。

 

 

「災害ボランティアセンター マッチングシミュレーションゲーム(災害VC MSG)」の内容詳細は、特設ぺージでご覧いただけます。

 

災害VC運営者向けに特化した研修を初めて作成したので、実際に研修を行った方達にアンケート調査とヒアリングを行いプログラム評価も実施しました。受講した社協職員を中心にアンケートを310人に配布し、117人から回答を得ました。プログラム評価から得られた結果の一部を紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

受講された社協職員の皆さんのコメント

 

「カードゲームによる災害ボランティアセンターの運営についての学習が斬新でわかりやすかったです」

「実際に被災地支援に行ったことがないので、カードゲームでマッチング体験を行ったことで、少しイメージすることができました」

「沢山の実践事例が聞けて、社会福祉協議会としての役割や協働の重要性が理解できました」

「実践さながらのスピード感やハプニングも織り交ぜてあり、実践的な内容でした。災害時の社協や多職種の動きを知ることができました。それぞれの職種の考え方なども学べました」

「研修で事前に知り合うことで、災害時には円滑なコミュニケーションがとれると感じました」

「災害ボランティアセンターの限界が支援の限界にならないように、平常時から様々な機関・団体等と連携、話し合いの場が必要だと改めて感じることができました」

 

 

実際に災害ボランティアセンターの担当をされている亀山市社会福祉協議会の豊田夏美さんには、研修を依頼されるまでの課題感や経緯を伺いました。

研修依頼者の声 社会福祉法人亀山市社会福祉協議会(三重県)

https://pbv.or.jp/seminar/client_voice/105/

 

 

まだまだ、改善の余地は様々ありますが、おおむね好評をいただきました。

そして、社協の内部研修や、一緒に災害VC運営に携わる地域の方達、登録ボランティア向けの研修のために、「災害ボランティアセンター マッチングシミュレーションゲーム(災害VC MSG)」を独自で開催したいという声をいただき、マッチングシミュレーションゲームのセットを販売することになりました。ゲームで使用するカードや地図の他に、進行を補佐し理解を深めるためのガイドブック事例解説集もWEBサイトで公開しています。事例解説集には、PBVスタッフが現場で体験し見聞きした困難さや好事例なども掲載しています。

 

 

これからも、災害支援の経験を平時の備えに可能な限り活かし、全国の社会福祉協議会の職員の皆さんと共に、それぞれの地域を支えられるよう活動を続けていきたいと思います。研修のご依頼など、いつでもお問合せください。

 

◆「災害ボランティアセンター マッチングシミュレーションゲーム(災害VC MSG)」のご依頼はコチラから

◆多彩なメニュー防災減災研修

 

 

赤い羽根福祉基金:2017年度から2019年度「全国の各市区町村の災害ボランティアセンターが、「被災者中心」「地元主体」「協働」を実現できる災害VCの仕組みづくり・人材育成事業」