東日本大震災では、多くの方が通勤で使っている電車などの公共交通機関が利用できない事態となり、帰宅できずに駅が大変混雑したり、長い道のりを歩いて帰宅される方が大勢いました。
東京都では、2013年に帰宅困難者対策条例を施行して、災害時にはむやみに移動を開始しないように都民に呼びかけました。それに伴い、事業者の取り組みとして事業所内に従業員を留まらせ、最低3日分の水や食料などの備蓄に努めるように勧めています。
以降、多くの企業や事業所が災害対策の見直しを行ってきました。買い揃えた防災備蓄品の消費期限は、3年から5年のものが多く定期的に入れ替えの時期を迎えます。一方で、企業の担当者からは、備蓄品を入れ替える際に大量の食品を廃棄せざるを得ないという悩みも耳にしました。
幸いにして使わなかった備蓄品も新品のまま破棄してしまうのは、もったいない!
そこで、PBVでは2015年から防災備蓄品の販売と共に、大量に廃棄される予定の備蓄品を防災教育や国際協力に活かす「Safety bankプロジェクト」を開始しました。企業に蓄えてある備蓄品は、定期的に循環する社会資源と考えることができるはずです。備蓄品を入れ替えるタイミングで必要なくなった物を次に活かすことは、企業にとっても破棄するコストが削減でき、社会貢献にもなるため一石二鳥にも三鳥にもなります。
PBVの出身母体である国際NGOピースボートは、30年以上も国際交流の船旅を続けるなかで世界中にネットワークを持っています。人と人との交流を通じて、これまでに世界各地で難民や被災地支援、貧困対策、地雷廃絶など多様な社会問題にも取り組んできています。いくつかの地域に対しては、日本国内で楽器や文房具、福祉用具などの支援物資を集め、必要な方たちに届ける活動も行ってきました。これらのネットワークを活用できるのは、PBVの強みの一つでもあります。
今回は、日本全国に40ヶ所の支部がある「日本モーターボート競走会」から消費期限を迎える前の乾パンやアルファ米を約1万食ご提供いただき、2017年1月に発生した南米チリの大規模山火事被災者支援を行っている現地カウンターパートナーのCODEFF(チリ動植物保護協会)届けました。支援物資を積み込んだピースボートの本船は横浜から出航し、2月12日には予定通りチリのバルパライソ港に入港しました。無事現地受け入れ団体へ1万食の食料をお渡しすることが出来ました。このプロジェクトを実施するに当たり、受け入れ先として以前から繋がりがあったチリの日系人コミュニティと連携をとりながら行いました。
※【チリ】 史上最悪の森林火災への支援のブログはこちら
追記(2017年5月30日)
現地カウンターパートナーのCODEFF(チリ動植物保護協会)より支援物資の提供先が変更になった旨の連絡を受けました。届けた物資は山火事支援の物資としてサンチャゴの物資倉庫にてセット組を行いましたが、現地での物資ニーズが充足しているという情報のため一旦待機をさせました。その後、5月中旬に発生したチリ北部コキンボ州、アタカマ州での大雨による洪水被災者からの支援要請を受け、LA HIGUERA(ラ・イゲラ)という街の被災者の元に届けられました。修正して報告させて頂きます。
災害への備えが、社会の好循環につながるような提案をこれからも続けていきます。
企業の防災備蓄を次に活かそうとお考えの方は、是非お問い合せください。