【台風15・19号 千葉支援】先行きの見えない不安を抱えて

昨年の9月に台風15号が千葉県を襲ってから、3月で半年を迎えます。
時間が経つにつれて、厳しい現状も見えてきました。

 

関東地方に上陸したものとしては観測史上最強クラスの勢力で千葉県に上陸し、特に強風によって76,000以上の家屋が被害を受けました。PBVが活動している鋸南町(きょなんまち)では、2,510戸が被災し、全世帯の68.4%にものぼります。強風は、屋根や瓦を吹き飛ばし、飛来物となって家々に直撃しました。

 

 

 

破損してしまった屋根を応急的に雨漏りなどから守るために、支援団体や自衛隊などでブルーシートを貼る作業が続きました。うえから町を見下ろすと、応急的に貼られたブルーシートが点在して、青いバンドエイドが貼られた感じで痛々しいです。

 

 

 

1カ月後の10月には台風19号が、またもや関東地方を襲い、ようやく設置できた応急処置も飛ばされてしまいました。たたみ掛けるように災害に見舞われました。その後も、住民は厳しい状況に置かれています。屋根の本工事を希望する住民は多くいます。工事の後の相談やアフターフォローを考えると、地元の信頼できる工務店などの事業者に依頼したいという思いもあります。しかし、屋根の修理ができる事業者も限られているため、本修理をするのに数年待ちの状況が続いています。具体的にいつ、屋根の修繕ができるのか先行きの見えない不安を抱えています。

 

多くのお宅は応急的にブルーシートが貼られていますが、それらは時間が経つとどんどん劣化していきます。再度雨漏りが発生したり、気づかないうちに、カビが繁殖していることもあります。時には、雨漏りの音で眠れない、風でブルーシートがはためく音が怖いといった声も耳にします。

 

ある40代の住民さんは、「家から出かけたり、帰ってきたりする時に、家が視界に入らないようにしいる。ブルーシートが貼られている自宅を目にすると、とても気が滅入ってしまう」と言っていました。

 

まだ本格的な修理が終えられない住民さんは、「台風の時、瓦が隣の家に飛んで、破損させてしまいました。お隣は、無事に修理が終わっているので、またもし、瓦が飛んだりシートが飛んだりして傷つけてしまったら、本当に申し訳なく思う」と不安な思いを口にしていました。

 

 

 

 

 

 

現場では、これまでの被災地で屋根補修の活動経験のある「コミサポひろしま」や、地元の若者が中心となって立ち上がった団体「Revive」などの支援団体と混成チームをつくり、100軒近いお宅で応急的な屋根の補修を行ってきました。早く劣化が進んでしまうブルーシートに変えて、シルバーシートやルーフィング(防水シート)などの建材を使って、少しでも耐久性のある方法を模索しながら、活動を続けてきました。

 

 

 

 

今後もこの活動は長期化することが想定されるので、地元の団体や個人にも技術を伝えながら、地元の方達を中心により継続的に支援できるように努めています。

 

南房総にある鋸南町は、観光客に人気のある鋸山(のこぎりやま)があり、春が近づくにつれて桜などの花々が見所を迎えます。海岸からは、晴れた日には富士山が見え、夕日も綺麗です。これから町が元気になっていくためにも、多くの方に訪れて欲しい場所です。

 

 

 

◆台風15号・19号被害 緊急支援募金