遅くなりましたが、昨年11月から今年4月にかけて行った、ニューヨークでのハリケーン・サンディ災害支援の活動レポートです。現在のオクラホマでの竜巻被害にもつながる話なので、アメリカの災害支援の枠組みなども合わせてご紹介します。
ハリケーン・サンディへの支援は第一期(11/12-12/16)の「緊急支援」、第二期(1/21-4/15)の「ボランティアコーディネート」の二つのステージで行いました。
瓦礫撤去などの清掃に参加した第一期の活動はすでに当ブログでもご紹介しましたが、ニューヨークでの復旧作業はその後も続きました。現地パートナーのWCC(World Cares Center)は引き続きボランティアを募集し、これらの復旧作業に当たろうとしていましたが、その運営を担う中長期スタッフが不足、ボランティアの受け入れ体制が十分に整いませんでした。
「ひと・もの・かね・情報」という4つの支援方法がありますが、今回再度「ひと」を派遣することに決めたのは、WCCから非常に強いリクエストがあったから。第二期では、二人のバイリンガルのボランティア・リーダーが約3ヶ月に渡り、ボランティア・コーディネートのサポートなどを行いました。
WCCのボランティアと、Rockaway地区を担当したロビン・ルイス(写真右)
ニューヨーク市は、約2万世帯の電気・ガス・水道を無料で復旧していましたが、それほか必要な家の修繕費用などは公的な補償が限られています。民間の保険で補償を受けようとする家庭が多いようですが、その保険も「ハリケーン」「スーパーストーム」「洪水」などの種類が分かれているため「対象外」と認定されるケースもたくさん耳にしました。FEMA(Federal Emergency Management Agency/連邦緊急事態管理庁)によってカバーされる場合もありますが、それでもそこから漏れる家庭がたくさんある、という状況でした。
現地では、教会やNGO、地域の団体、ボランティアが、公助や保険でカバーできない分野を積極的にサポートします。1月からWCCに合流したPBVのボランティアリーダー、ロビン・ルイスと勝田里穂が参加した現場での活動は、瓦礫撤去とカビ対策というものでした。
半壊した家1軒1軒に入り家財道具や泥を運び出し、壊れた壁をはがし危険を取り除きます。もちろん修繕して暮らし続ける人もいるので、支柱の腐敗を防ぐために防カビ剤を拭きかけて家を守ります。
ロビンはRochaway地区、里穂はStaten island地区を担当。地区ごとにコーディネータがいますが、彼らは調整に忙しくボランティアと一緒に現場に出ることは物理的に難しい状況でした。一方、春休みや週末休みには学生など最大で70人ほどのボランティアが集まりますが、そのほとんどが作業は初めてという初心者。10人ほどのグループをその日の活動場所に連れて行き、注意事項や作業の手順を伝えると、また次のグループを現場に連れて行く。1日の作業で少し段取りを覚えたボランティアですが、数日間続けて通ってくれるのは稀なケースです。ボランティア・リーダーは、毎日新しいボランティアを受け入れて、彼らの活動環境を整える要を担いました。
約3ヶ月間、RochawayとStaten islandの二地区で作業を完了させた建物だけで「165」。
ボランティア人数が少なく現場を他人に任せられる日には、ロビンと里穂はこういったデータ記録や整理といった事務作業もこなしました。人手が少ない中では、作業した場所や個人情報の記録メモなどがすぐに山積みになりますが、効果的な支援のためにはこういった裏方のデスクワークも大事な活動です。
文字通り走り回る毎日でしたが、ニューヨークを象徴するような多民族・多人種のボランティアとともに作業できたことは大きな刺激になったようです。また、「日本から来たボランティアです」という言葉に涙する被災住民の姿や、3月11日14時46分にアメリカ人ボランティアらと一緒に東日本大震災への追悼ができたことなど、様々な出会いや嬉しいエピソードもたくさんあったそうです。
海外での災害支援の場合、「なんでわざわざ外国の・・・」と言われることがあります。ただ、東日本大震災で多くのインターナショナル・ボランティアが来日しましたが、「国籍は関係なく、困っている時に自分が役立てるなら」と参加してくれた彼らの言葉にそれ以上の理由はありませんでした。私たちも、その姿勢を持ち続けてこれからの災害救援を続けていきたいと思います。
最後に、募金やプロジェクトへのアドバイスなど、ハリケーン・サンディの支援活動にご協力いただいた皆様に心より御礼申し上げます。