災害が発生した時、1人で避難が難しい住民に対して優先的に支援の手が回るように各市町村に事前に登録できる「災害時要援護者制度」をご存知でしょうか?
高齢者世帯、要介護者、障害者、難病患者、妊婦、5歳未満の乳幼児のほか、日本語に不慣れな外国人なども対象とされています。
また、同時に大きな災害のときに、言語面から情報に取り残されてしまう外国人のサポートを目的とした語学ボランティアの募集をしている自治体もあります。
PBVが56の国と地域からインターナショナル・ボランティアの受け入れができたのは、語学サポートのバイリンガル・ボランティアの存在があったから。
先日、「多文化共生と防災・減災を考える町歩き」でもご紹介した通り、東京の23区の中でも新宿は最も外国人人口の割合が高い地域。登録だけでも、実に114の国と地域の国籍の人が暮らしています。昼間に働いている人の国籍を加えると、もっと多くなるのかもしれません。
東京都では日本語に加え、英語、中国語、韓国語での情報発信を務めようとしていますが、すべての言語の対応までは間に合いません。国際交流協会やNGO、ボランティアなど、民間の団体が「自分がやるべき」と自主的に動かなければ、「誰かがやってくれる」ことはありません。
東京都国際交流委員会では、「どこに行けば炊き出しをもらえるのか」「届出はどこの窓口に行けばいいのか」といった約60の項目について、「災害時の外国人支援 Q&Aマニュアル」を発行して、WEBで閲覧できるようになっています。
昨年までは、やさしい日本語、英語、中国語、韓国・朝鮮語、タガログ語の5言語でしたが、今年になってタイ語、スペイン語が加わり、7言語でのマニュアル が完成しました。もともと国際交流の船旅でラテンアメリカの国々を訪問することが多いピースボートでは、普段の業務からスペイン語を必要とすることも多 く、今回スペイン語の翻訳をお手伝いさせていただきました。
東日本大震災では、ラテンアメリカ各国の駐日大使たちも石巻を訪問。物資を届けたり、避難所を回ったりしながらボランティアに参加していただきました。
もちろん、このマニュアルが、言語数、内容のすべてをカバーできているわけではありませんし、届出の窓口がわかっても、その窓口の対応が日本語のみでは行き詰ってしまうこともあるでしょう。それでも、こういった一つひとつの具体的な言語サポートの積み重ねで助かる命もあるかもしれません。
「情報」は、「ヒト」「モノ」「カネ」と並ぶ、災害支援を行う上で大切な柱だと思っています。発災時、皆さんの近くに「情報」で困っている外国人がいるかもしれません。ぜひ、「災害時の外国人支援 Q&Aマニュアル」なども活用して、あなたにできる情報ボランティアに役立ててください。