宮城県石巻市で、「浜の暮らし体験」とも言える“イマ、ココ プロジェクト。”が始まりました。
今日のレポートは、その活動の現場から。
“イマ、ココ プロジェクト。”は、震災被害と担い手不足に悩む牡鹿半島などの浜で、継続して漁師さんらの生活再建を後押ししたいと立ち上げたもの。今年2月から取り組んでいた「おらほの浜体験」をバージョンアップさせた内容です。
2012年2月、体験ボランティアプログラム「おらほの浜体験」の様子。
養殖の再開などで復興と安定した生活を目指す浜では、「手伝ってほしいけど、給料を払う余裕がないし、若い世代も外に出てしまって、誰に頼めば人が集まるのか分からない」という悩みがあります。また、都会に暮らす若者たちからは、「浜での生活や漁業の体験は魅力的だし、被災地の復興も応援したい。ただ、東北沿岸部には宿が少なく、見つかっても何日も滞在する金銭的な余裕はないし、そもそもどこを探せばいいか分からない」といった声が聞かれます。
プロジェクトの最大の特徴は、参加者と受け入れ側のお互いが、無償でそれらのサービスを提供し交換し合う仕組み。参加者は無償で1日約7時間の労働力を提供、受け入れ側は食事や宿泊場所を提供します。「『やりたい』をカタチに!」が合言葉のピースボートセンターいしのまきの役割は、そのマッチング。単に作業を手伝う従来のボランティアとも、給料を受け取るアルバイトとも違い、好奇心が人の流れを作り出す新しい動きにつながればと思っています。
ということで、来年1月からの一般公募開始に先駆けて、まずは長期ボランティアとスタッフが体験。
10月31日から11月3日までの4日間、牡鹿半島・福貴浦浜での様子です。
浜での作業は早朝からスタート。この日は、午前6時から!
冬の気配の混じった冷たい空気の中、沖に向けて船を出すと、眼前には紺碧の海と息を飲むような朝焼けが広がっていました。
福貴浦浜の漁師、阿部浩之さん。
今回、ワカメの種付け作業の人手を求めてプロジェクトに応募しました。
牡蠣養殖が盛んだった福貴浦浜ですが、津波で大きな被害を受け、収入を補うため、収穫までの期間ば短いワカメの養殖にも取り組み始めました。
繊細なワカメの種付け作業ですが、短期間に進めるには少しでも人手を確保したいという理由で、今回のプロジェクトに応募してくださいました。
ワカメの種を養殖用のロープにつけていくだけの単純な作業ですが、阿部さんをはじめ、漁師の皆さんの表情は真剣そのもの。それもそのはず、この種付けの出来不出来で、収穫量やワカメの品質が左右されます。
参加者も引き締まった表情で作業。30分もあれば初心者でも慣れてきて、誰でも十分に手伝うことができました。
午前中の作業が終わり、船から降りると・・・
仲間の漁師さんが牡蠣を焼き、ムール貝を蒸していました。目の前の海で、そして獲れたての海の幸でつくる昼ごはん。都会では味わえない新鮮なご馳走の数々も、プロジェクトの楽しみのひとつですね。
午後の作業も終え、夕方になると宿泊場所へ移動。
提供してもらったのは福貴浦会館という施設。地元の公民館のような場所です。
夕ごはんは、漁師さんがくれた魚。皆で調理に挑戦!今回は、共同の宿泊場所だったため、参加者同士が交流しながら和気あいあいとした夕食づくりになりました。
(後半に続く)