震災から2ヶ月・ボランティアコーディネーターが語る(2)

4月に入ってもまだまだ厳しい寒さが続いていた石巻ですが、県外から続々とボランティアがやってきていました。中でもピースボートは、毎週バスを借しきっ て数百人規模のボランティアを送り続けるというプロジェクトを始めます。ピースボートスタッフの上島安裕は、ゴールデンウィーク中には最大660人のボラ ンティアをオーガナイズしました。

3月末からボランティアの受け入れが始まって以降、ボランティアコーディネーターを務める上島安裕の携帯電話は、一日中鳴りっぱなしになりました。

まだまだたくさんの行方不明者がいる中、誰もが的確な情報が入手できずに困っていました。携帯電話はある程度つながるようになったものの、ガソリンがなく 移動手段が限られている状況は変わりません。自治体は被災者からの要請を受けて対応するのですが、要請をしに行くこともできない人たちがたくさんいまし た。

だからNGOのボランティアは、足で情報を集めました。炊き出しやデリバリー、物資の配布など被災者の方と接する機会に、どんなニーズがあるかを聞いて、 それを集約したのです。そうした情報は上島の所に集まってきます。そして他のNGOとも協力しながら、できる限り翌日に対応できる体制を作り上げていきま した。ニーズは時間単位でどんどん変わっていきます。それをどれだけ吸い上げて、どれだけ早く対応できるかが大事になってきました。上島は言います。

「支援体制を機能させるためには、個人の善意と情熱だけではなく、チームワークが大切です。例えば、ボランティアの中には待つことができない人もいまし た。ボランティアに来るような人はとても熱意があるので、何をしたら良いですか?とずっと聞いてくるんです。でも場合によっては情報がそろって、何をすべ きか決めるまでに時間をかけなくてはいけないこともある。ボランティアに求められるのは、自分がしたいことをするのではなくて、現地に必要とされる動きを することです。いろいろな人がバラバラに動いていても力になりませんから、ときには待つことも必要になってきます。ボランティアの仲間が言っていましたけ ど、『一人が100歩動くよりも、100人が一歩動いた方が大きな力になる』ということだと思います。今は炊き出し、掃除、デリバリー、倉庫管理などのカ テゴリーごとに責任者を立てて、連絡系統もしっかりできているので、その辺りはうまく機能していると思いますよ」

時間とともに、自衛隊は瓦礫の撤去やインフラの整備、NGOは食事や物資の提供という住み分けが進んでいきました。毎晩行なわれる自治体とNGOとの連絡 会では、最大のボランティアがいるピースボートに責任の重い仕事が回ってきます。また、自治体や他のNGOに人を派遣して、活動を手伝うということも毎日 のようにあります。

「例えば、ある避難所で市から派遣された栄養士の方が、一人で100人分の炊き出しを続けていました。その方が倒れたら100人が食べられなくなるという 大変な状況でした。そこでピースボートから6人を派遣して泊り込みで炊き出しをお手伝いました。そういう情報が毎日上げられてくるので、人数を割り振って 調整するというのも大切な仕事です」

そのため、ニーズがある限り、ボランティアの数を減らすわけにはいかないと言います。

「例えば、今日は炊き出しをやるけれど、明日はどうなるかわからないというわけにはいきません。ボランティアが減ってしまうと、中期的に責任を持った活動 がしにくくなってしまうので、これからもボランティアの人には継続的に来て欲しいですね。それから一度ボランティアに来た人は仕事の要領もわかっているの で、帰ってからもう一度来てもらえたらすごく助かります」