ピースボート災害ボランティアセンター(以下、PBV)では、地元の方々と共に「元気な石巻」をつくっていくため、来る6月2日(土)ソーシャルコミュニティースペース「ピースボートセンターいしのまき」をオープンさせることになりました。
今回は、開設までの背景やオープン後の活動展望、そしてセンターの中身をご紹介します!
この一年間、震災や津波に起因する様々な問題に対応して、「災害ボランティア」という人の手で出来る数多くの支援を行ってきました。一度に大量に人手を必要とする活動が変化していく中で見えてきたのは、少子高齢化や中心市街地の空洞化、人口流出による過疎化など、石巻に限らず日本の地方都市が共通して抱えている課題でした。それらは震災の前からの課題ですが、現在はそれが震災によって表面化し、さらに深刻になっているといえます。
「ピースボートセンターいしのまき」は、地域の皆さん、特に次世代を担う若者たちが、自由に集い、学び、表現し、交流を深めることのできる『場』を提供することによって、震災前からの地方都市の課題とも向き合い、新たな復興を目指す拠点になっていきたいと考えています。
そんな「ピースボートセンターいしのまき」に選んだのは、石巻駅から徒歩10分の寿町通り商店街内、PBVの石巻本部『廣山』の向かい。通称『アリス』と呼ばれる建物です。お隣は「石巻商工会議所」、向かいにはピアノや楽器販売の「サルコヤ」さんがあります。ここは、去年の川開き祭りの際には『いしのまき こどもひろば』として賑わいを見せた場所でもあります。
川開き祭り後は、活動に使う道具や自転車等を保管する場所として使用されていました。
今回、ソーシャルコミュニティースペースとして使用することになり、ゴールデンウィークから大改造計画が始動!大工や電気工事等の経験を持つ技術系専門ボランティアと共に、現在も準備を進めています。
長年工務店を経営をしていた技術ボランティアの山下さんが、イメージを形にしていってくれます。
このあたりの建物の多くは1階部分が津波により浸水したエリアです。アリスも1階の天井まで津波が来ました。一度清掃は行っていたものの、人が集まる場所として使用するには、床にこびりついていたり、壁の裏にまで入り込んだヘドロをキレイにしなければいけません。骨の折れる作業ですが、ボランティアで一所懸命磨きました。
蛍光灯の交換や拭き取りも念入りに。
津波で壊れてしまったり、傷んでしまった壁も新しく作り直し、少しずつ空間が変化していきます。技術ボランティアの高橋さん。最初はアシスタントとして参加した彼女も、作業を重ねる間に「本職でいける!」と山下さんからのお墨付きが(笑)根気のいる作業ながらも、楽しく準備を進めていきます。
連休後半には、頼もしい助っ人が大阪から合流。昨年から石巻だけでなく和歌山でも災害支援に携わってくれた、塗装工の桝さんと大工の松井さんです。さすがは本職の皆さん、プロの技が光ります。
作業開始から10日、生まれ変わったアリスがこちら。まだ工事途中とはいえ、見違えるような空間に!
イベントスペースとしても使用出来るようにステージも用意しました。今から、地元の人と一緒にどんな企画をやろうかと想像が膨らみます。
インターネットラジオ用の放送スタジオも設置。商店街に面した地の利を活かした公開収録や生放送も検討中。地元の若者世代と一緒に石巻の魅力を開拓し、ネットラジオやUstreamといったメディアを使って、内外に発信していきます。
壁一面に備え付けられた大容量の木製ラック。イベントのチラシやコミュニティ誌を置いたり、パソコンを設置したりして、会話の弾む空間にしたいと考えています。船越レディースの雄勝石ネックレスなど、地元の方々による復興グッズの販売コーナーとしても使えそうですね。
他にもコミュニティ紙の編集部やギャラリー等を設置する予定です。
現在は、6月2日のオープンに向けて鋭意準備中!オープンまでの間もほぼ毎日作業していますので、地元の皆さんも、ボランティアの皆さんも、お近くにお越しの際はぜひ遊びに来てください!
photo by Junichi Matsumura, Akiko Iwamoto, Shoichi Suzuki