「ポストはどこなの?」

石巻市の仮設住宅運営管理室のホームページでも公開されている、仮設住宅の団地別周辺地図。「仮設きずな新聞」を配布する中で、住民の皆さんから聞いた「困った」の声に対してボランティアが自主的に作成を始めたものです。

 

仮設きずな新聞」の配布を始めたのは、昨年10月のこと。本庁と呼ばれる旧石巻市エリアの仮設団地には、異なる地域から住む家を失った方々が集まっています。新聞の情報にも、各種地域相談会・説明会の案内や予防接種のスケジュールなど、インターネットを持たない世帯の皆さんにも手にとっていただける生活情報の掲載を心がけてきました。

ボランティアはもちろん、別の土地での仮設住宅暮らしをする苦労を実体験では知りません。記事にどういった情報を盛り込むべきか、新聞を渡す際に住民の方々から聞いた悩みや相談からアイデアが浮かぶといったことがたくさんあります。


上記地図の開成エリア「石巻トゥモロービジネスタウン」近くの仮設住宅。

 

団地別の周辺地図の作成を思い付いたのは、上記のように新しい土地での仮設生活が始まったある住民の方から「この辺のポストはどこにあるの?」と聞かれたことがきっかけ。「きずな新聞」の配布を行うボランティアから、「本庁という広範囲の括りではなく、団地ごとの生活情報地図があれば役立つんじゃないかな?」と声が上がりました。もそれを聞いていた別のボランティアから、「私、地図づくりが本職の仕事でした!」と。

さて、団地・エリアごとに担当者を分け、いざ取り掛かることになりましたが、そこからが大変です。巡回バスは時刻表はあっても、バス停の名前やその周辺にある施設やお店の情報を知らないので、「どこで何ができるのか」が分からない状態。バス停を含め、ポストや公衆電話の場所を、ひとつずつ足を使って調べました。

 

すべてオリジナルで作った団地ごとの地図は、「きずな新聞」とともに、対象の団地で希望される方々にはお渡ししてきましたが、巡回バスの「バス停の場所・時刻表・地図」がセットになった情報は特に役立ってくれたようです。

一気にすべての団地とは行きませんが、現在の開成エリア、開北・水押・中里エリアに加え、日和山下、大橋エリアなど、最終的には6エリアぐらいまでの完成を目指しています。


仮設支援チームは、毎晩遅くまで意見を出し合います。

 

「こういうものがあったらいいのに。」誰もがよく考えることですよね。
そこで「じゃあ、自分たちでやろう!」と思えるかどうかが、ボランティアにとって大切なこと。そもそも「ボランティア」という言葉自体が、「自主的・自発的」という意味ですから。

 

仮設住宅支援も、まだまだ進化しそうですね。

 

photo:Mitsutoshi Nakamura