昨年末より実験的に始めていた仮設住宅支援が本格的に動き始めました。石巻市の仮設住宅団地に、花壇(プランター)とベンチを設置しようというもの。今年最初の現地レポートは、仮設住宅のコミュニティづくりに向けた新プロジェクトの様子から。
1月7日、南境。この日、ピースボートのボランティアは、石巻市にある約130の仮設住宅団地のひとつに向かいました。現在、石巻市では7,000戸弱の仮設住宅で、また民間借り上げ住宅いわゆる「みなし仮設」でも多くの方々が生活しています。
集落全体が津波被害を受け、コミュニティがそのまま移動した雄勝や牡鹿半島とは異なり、本庁地区(旧石巻市)の仮設住宅団地には、様々な地区から被災者の方々が移転してきました。住み慣れない場所で、知り合いも少ない。こういった場所でまず求められるのは、隣近所の方々と気軽に触れ合える空間をつくることです。
ピースボートでは、「仮設きずな新聞」の発行と配達を通して、生活情報やイベント情報の提供を続けてきました。そこに新たに加わったのが、プランターやベンチの設置プロジェクト。その団地に暮らす皆さんと一緒に、楽しくお喋りしながら手づくりしています。
こちらは昨年12/24のクリスマスイブ。サンタ帽を被った子どもたちも参加。
残念ながら、団地の敷地内で、各世帯が使うことができるスペースは非常に限られています。自由に花壇を作ったりはできませんが、殺風景な仮設住宅の周辺にプランターと花を植えていくだけでも生活には彩りが加わります。自分たちが作ったベンチであれば愛着も沸くもの。完成したばかりのベンチの座り心地を確かめながらひと休み、会話もはずみます。
生活用品がないから物資を届ける。泥に埋まった建物をきれいにする。震災以降、これまで行ってきた支援はある意味ニーズが分かりやすいものでした。しかし、これからの支援には、目には見えないものが増えてきます。これまで以上に、しっかりとコミュニケーションを取り、一人ひとり関係を作りながら進めていくことが大切になってきます。
花壇とベンチ。
小さな生活の変化の積み重ねが、少しずつコミュニティを形作っていってくれることを願っています。
photo:Shoichi Suzuki