先日、ピースボートで引越しをお手伝いした、石巻のライブハウス「La Strada」。
立町通り商店街に移転し、開店準備を進めていましたが先日7月2日、ついに再開です
当日は、ピースボートと、ピースボートの支援活動にスタッフを派遣してくれているロフトプロジェクトからのお祝いを持って駆けつけました。
徐々にお店の明かりが灯り始めた立町通りを進んでいくと、どこからともなくベースの音がうっすらと聞こえてきます。
キャンドルの灯る階段を、ヘビーなスピーカーや音響機材を運んだことを思い出しつつ上りきり扉を開けると、強烈なギターサウンドが耳に飛び込んできます。
この日出演したのは、地元や仙台などで活動するアマチュアバンドや音楽家の方々。アマチュアと言っても、中には某超有名バンドのデビュウ前にメンバーとしてプレイしていた方などもおり、実力は折り紙つき。
客席からはいてもたっても居られず踊りだす人も
出来ることならば全ての出演者の写真と感想を紹介したいところではありますが、スペースの関係もあるので、以下のフォトギャラリーでご覧下さい
ステージの裏では、笑顔で卓(ミキサー)を操作するオーナーの相澤さん。
そして店内はプレイヤーとお客さんの熱気で灼熱に
団扇であおぎ、冷えたビールで冷却を図りますが、流れ出る汗は止まりません。
熱気にほだされたお客さんや出演者たちは、幕間を見計らって表で小休止。
そこでは、
「いやー、全然ダメだな。練習が足らねえ。」
「ギター触んの3ヶ月ぶりだもんなー。」
「次はちゃんと練習して来いよ」
なんて、自分たちの演奏を反省しきり。
そんな会話も、ラ・ストラーダが再開をしたからこそ聞けること。
僕もなんだかとても嬉しくなって、反省会を兼ねた談笑の途中をパシャっと一枚。
みなさんいい笑顔です
一服を終え店内に戻ると、真っ暗。
停電かと思い目を凝らして見ると、この日出演したひとりの誕生日。
祝いのケーキは、音楽家らしく鍵盤と音符がデコレーションされています。
お父さんとお母さんに連れられて来ていた子どもたちも、振舞われたケーキをほお張りながら演奏を聴いて大満足で帰っていきました。
ステージでは、まだまだ演奏が続きます。
この日のトリは、仙台から演奏に訪れていたユニット「ソニド・デル・ビエント」
スペイン語で「風の音」を意味するこのユニットは、南米の縦笛ケーナとキーボードで幻想的な音楽を紡ぎだします。
南米アンデスの民俗音楽を思わせる不思議な音色が会場を包み、ビブラートを利かせたケーナの音が切れると、会場からは大きな拍手と歓声が
全ての演奏が終わった後は、出演者、お客さん、スタッフのみんなが協力しながら片付けをして、打ち上げ
ラ・ストラーダの再開を祝いグラスを傾けます。
これからこの場所で、沢山の音楽家たちが素敵な音を奏で続けていくのでしょう。
3月に僕たちが訪れた時は真っ暗だったラ・ストラーダ前のこの通りにも、再開を果たしたお店が増え、それに比例するように飲みに出る人たちも多くなってきました。
地元の方曰く「被災前よりも賑わってんじゃないかな(笑)」とのこと。
こうして沢山のお店が開いて行くことは喜ぶべきことですが、一方で、被災から4ヶ月が経とうとしている今、非被災地から聞こえる「そろそろ自立を」という声には不安を感じている地元の人たちも多く、「これだけ何もかも破壊されて、たった3ヶ月で自立を、と言われても無理だ」と言います。
僕らも当然ながら「被災者の自立」を意識しながら支援活動を続けていますが、現場に居る者の認識としては、「まだまだ」というのが実感です。
ようやく灯り始めた復興の火を、支援の撤退・縮小で消してしまわないよう、現場に即した息の長い支援の手が必要とされています。
ALL PHOTOS BY [ YOSHINORI UENO ]