災害ボランティアセンター事例・豆知識 〜Vol.2〜

 

 

こんにちは。防災・減災教育担当の遠藤です。

PBVはこれまで、全国25カ所以上の被災地にて災害ボランティアセンター(災害VC)の運営をサポートしてきました。その経験をもとに、社会福祉協議会の職員の皆さんにお届けしたい内容を盛り込んで、事例や豆知識をシリーズでお伝えしています。

 

前回(「災害ボランティアセンター 事例・豆知識〜Vol.1〜」)は、そもそも災害時に社会福祉協議会が運営する「災害VC運営サポートってなに?」という視点から、災害VCの機能をみてきました。

 

 

今回のテーマは「困りごと(ニーズ)の把握」について

 

地震や水害などで被災した家屋は、家財の搬出や泥の撤去などが必要となることがあります。その際、災害ボランティアを派遣する災害VCの存在は大きな助けになります。

 

PBVはこれまで災害VCの運営サポートとしてお困りごと(ニーズ)の把握や災害ボランティアとのマッチングのお手伝いをおこなってきました。

 

 

しかし活動する上で、どの被災地域でも毎回「ある課題」に直面してきました。

 

それは…

 

「被災世帯が多くあるのに相談件数が少ない」ことです。

 

普通に考えると家屋に被害があれば、様々な困りごとがあるだろうと想像できると思います。ですが、実は困りごとがあっても災害VCへの支援依頼に繋がっていないことが多々あります。

 

家族や親戚の手を借りて片付けたという世帯もあるのですが、「頼めない」人も多くいるのです。

 

 

なぜ「頼めない」のか?

 

ではどんな理由で「頼めない」のでしょうか?

被災者からお聞きした声を紹介します。

 

【災害VCを把握していなかった】

 「地域外に一時的に避難していたので、災害VCの存在を知らなかった」

 「被災後に無理がたたって入院中だった」

 「ボランティアが何をできるのかよくわからなかった」

 

【ボランティア依頼への抵抗感がある

 「他のお宅の方が大変だろうから、うちも被害があるけれど頼めない」

 「人様のお世話になるのが気が引ける」

 「見知らぬ他人を家の中に入れたくない」

 

ほかにも家主さんが認知症や精神疾患を患っていて現状把握が困難なケースなどもあります。

 

このようなSOSを出さない、出せない方々をそのまま放置していたらどうなるでしょうか?

 

例えば、あるご家庭では、

  • 家族だけで炎天下の中、何日も泥だらけになりながら片付け作業。ある日心身の限界を迎えて入院してしまいました。
  • 持病を持っている方が衛生環境、ストレス、疲労などが引き金となり、心筋梗塞や脳卒中などの命に関わるケースもありました。
  • 復旧作業を途中であきらめて不衛生な状態のまま住み続け、2か月経ってもかろうじて寝床だけを確保している高齢のご夫婦もいました。

 

  • 被災後、自分ではどうすることもできず、先祖代々続いた家を手放さざるを得なくなってしまった方もいます。

 


 

課題に対する解決法は?

 

このような状況に陥る前に、どのようにニーズ把握をすればよいでしょうか。そのヒントとして2012年に内閣府が調査した、災害VCの運営にあたって被災者のニーズを把握した方法について紹介します。

 

 

様々なニーズの把握方法がありますが、中でも大きな割合を占めるのが、

 

②「自治会・町内会関係者を通じた把握」

③「民生児童委員等を通じた把握」

⑤「地元ボランティア関係者を通じた把握」

 

などの地域の繋がりによって把握したケースです。

 

自治会、町内会、民生委員のような普段から地域を気にかけている存在は、災害時とても心強いです。

平時から災害時に困りそうな人を把握しているため、直接災害VCの存在を伝えてくたれり、また被災された方々にとっても、見ず知らずの人よりも安心して悩みを話すことができます。

 

また④の「ローラー作戦」のように、災害VC職員が地域一帯の聞き取り訪問をする際に、地域で活動している方たちに同行してもらうことで、被災者の状況をより深く知ることもできます。

 

 

災害ボランティアを頼めずに取り残される人を少なくする取り組みには、地域の繋がりが大切です。残念ながら災害VCを開設して待っているだけでは、なかなか被災者の困りごとを把握するのは難しいからです。

 

まず平時から地域住民と「災害VCはどのような機能をもち、被災者にどのように役立つか」を理解してもらい、繋がり・協力体制を構築することが重要になってきます。

 

平時から地域の方たちと研修や話合いを重ねて役割分担を明確にしていたある災害VCは、発災直後から自治会や民生委員とともにニーズの聞き取り調査をし、早い段階で多くのニーズを把握できました。

実際に地域の方と現地調査に同行した際に、沢山きいた言葉。

 

「あんた一人でがんばっちゃダメ!、ボランティアさんにたのまんといかんよ!!!」

 

その一言が、災害時にSOSを出せない人たちにとって、救いになるはずです。

 

 

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PBVは「関係者の共通認識から始まる災害VC運営」をテーマとした研修やその他、防災・減災に係る様々な研修・講演に対して講師派遣を行っています。​

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