【ウクライナ人道支援】ルーマニアへ行ってきました

国際事業コーディネーターの鈴木郁乃です。
昨日7月24日でちょうどウクライナ侵攻開始から5ヶ月が経ちました。
ウクライナから故郷を追われて国内外で避難している方々は、ウクライナ国内では630万人、ヨーロッパ内は580万人にのぼり、依然として多くの方の命や生活、尊厳が危機に面しています。(2022年7月20日時点:国連発表)。

6月21〜30日まで、ウクライナの隣国・ルーマニアに行ってきました。

今回のルーマニア派遣の主な目的は、

  • 現地NGOと、現状・課題の確認*
  • ウクライナ支援活動の調整*
  • 今後のウクライナ支援に向けた情報収集*

です。

*本事業は、ジャパン・プラットフォーム、パルシステム生活協同組合連合会、真如苑、ことの海基金、ステートレス、中村工務店(以上敬称略)をはじめ、多くの企業や団体、個人の皆様からお預かりしたご寄付や助成金によって実施しています。あたたかいご支援に、心より感謝申し上げます。

 

今回のブログは以下の4つをレポートします。

  1. 支援物資の確認のため、クルージュ=ナポカへ
  2. がん患者とその家族から話を伺う
  3. 日常を奪われた人びとへ、必要とされている支援を継続的に
  4. NPJカフェにてウクライナ支援の活動を報告しました!

 


 

 

支援物資の確認のため、クルージュ=ナポカへ

まず訪問したのは、ルーマニア北部に位置する都市・クルージュ=ナポカ。ここでは、PATRIR(Peace Action Training and Reserch Insitute of Romania:現地NGO)と共に実施している、ウクライナ国内へ届ける物資の積み込みを確認しました​。

ウクライナ行きのトラックに積み込んだのは、​
​・ウクライナ各地の病院から要請のあった医薬品​
・パスタや小麦粉、パスタソース、お茶や塩などの食品​
・紙おむつや洗剤などの日用品​
​などです。​

​PATRIRは2月末の軍事侵攻開始後から、ウクライナに支援物資を届け続けているNGOです。「届ける」といっても、最近はガソリン代の高騰や道路事情の悪化などもあり、簡単に届けられるわけではありません。ウクライナ国内の団体とも連絡を取り合いながら、安全第一でより早く、そしてより確実に物資を届けられるよう日々、工夫を重ねています。​
PBVの物資を積んだトラックは、訪問した日の夕方にキーウに向けて出発しました。ウクライナの首都キーウ到着後、医薬品は直接病院へ。これまで食糧や医薬品合計およそ200トンを届けました。また、6月末までにイルピン、スームィ、ハルキウの3箇所の病院に医薬品を届けています。これらの食料や日用品は、現地NGOの協力のもと物資を必要とする世帯に届けられます。​

 


 

がん患者とその家族から話を伺う

戦争によってウクライナ国内に暮らすがん患者の多くが、治療の中断・中止を余儀なくされています。PBVはウクライナ緊急支援事業の一環として、ルーマニアに拠点を置くYCE(Youth Cancer Europe:現地NGO)と協働で支援事業を行っています。​ひとりでも多くのがん患者が安心して必要な治療を受けられるよう、ヨーロッパ各地の病院への転院手続きの支援を行っています。YCEでは、6月末までに230名の患者さんの転院と、その家族の生活を支援しています。

YCE(現地NGO)の支援でルーマニアに逃れてきた、がん患者さん、患者さんの家族、そしてYCEのスタッフに話を伺いました。避難時の様子や現在の生活、患者さんとYCEとのコミュニケーションなどです。​

​「がん」と「戦争」だけでなく、「言葉や文化の異なる国での治療生活」。これらの大きな困難を抱えて暮らす人々に、きめ細やかな支援を継続していくために、まだまだ支援を続ける必要があることを実感しました。

 


 

日常を奪われた人びとへ、必要とされている支援を継続的に

侵攻がはじまって以降3月中旬に派遣された当時(詳しくは、現地から開催した緊急レポートのアーカイブ動画をご覧ください)と比べて感じた変化は、
・比較的難民が多く到達した地域には、その地域でコミュニティが生まれつつある
・徐々に、持続的に難民をサポートできる体制が整ってきている
という点です。
また、難民の方々のなかには、難民として様々なサポートを受けつつ、自分たちでも他の難民の方々にできることをしたい、仕事やボランティア活動で社会に役立ちたい、と希望する方が多くいることも印象的でした。
戦闘が長期化することによって、多くの人々が恐怖や不安の中で暮らす生活を強いられているなか、命を守る事は第一ですが、それに加えて、生活や尊厳をいち早く取り戻すには、まだまだ多くのサポートが必要だと改めて感じました。

PBVも、今後とも複数のNGOと協力し、ウクライナ国内に暮らす人々、そして国内・国外の避難民の方々が、少しでも安心・安全な生活が送れるように、多岐にわたる支援を実施していきます。

皆さまの引き続きのご支援を、どうぞよろしくお願いいたします!


写真またはURLをタップして、募金の窓口など詳細ページへ飛びます

https://pbv.or.jp/donate/2022_ukraine

 


 

NPJカフェにてウクライナ支援の活動を報告しました!

非暴力平和隊・日本(NPJ)が開催したオンラインイベント「ウクライナ人道支援の現在」にて、現地の支援活動の様子や課題をお話させていただきました。(アーカイブが公開されていますので、こちらまたは以下の画像をタップしていただくと、Youtubeへジャンプします。)

 

他団体の皆さんとの意見交換の時間では今後のウクライナ支援の展望などについてじっくり向き合う貴重なお時間を頂きました。NPJの方々に心から感謝申し上げます。

テレビや新聞などのメディアでは、ウクライナ侵攻開始直後の2月末以降と比べてだんだん報道が少なくなっています。こういった時こそ現場の声や支援の必要性について発信していきたいと思っています。イベントでの報告発表や、メディア取材、募金チラシの設置など、ご依頼やお声がけをぜひお待ちしております。

(HP下部の、お問い合わせ先E-mail、TELよりお気軽にご連絡ください。)