115回実施、約5,900名の方が参加。2021年度の講演・研修
PBVの活動の2本柱のひとつが「国内外の災害支援」。そしてもうひとつの柱が「防災・減災の取り組み」です。
支援活動と並行し、被災地での経験やノウハウを講演や研修会などの形で各地でお伝えしています。現在も新型コロナウィルスの影響を受けていますが、むしろこういった時だからこそ、以前に増して平時の取り組みの重要性が高まっていると感じます。「学ぶ場」「伝える機会」をなるべく減らさないように、オンラインツールの活用など、試行錯誤しながら続けてきました。
2021年度を振り返ってみると
講演や研修は、合計115回の実施を数え
約5900名もの方々にご参加いただきました。
ご参加いただいた方をはじめ、講師派遣の依頼をいただいた組織の皆さんに改めてお礼を申し上げます。
ここからは、2021年度の取り組みについて振り返っていきます。
【ボランティアトレーニング】
東日本大震災が発生した2011年から続けてきたのが、被災地で活躍できる災害ボランティアの育成を目的とした「災害ボランティア入門」や「災害ボランティア・リーダートレーニング」です。
2021年度は20回開催し、約400名にご参加いただきました。
新型コロナウィルスの影響で、以前のように”全国から災害ボランティアが被災地にかけつける”というのは難しい状況が続いています。しかし見方を変えるとそれぞれの地域で災害が起こった時に、市内や県内からの参加需要が高まっているとも言えます。
こんな背景もあり「地元の担い手を育成するための研修を開きたい」という依頼や相談がこれまでよりも増えています。2019年に台風被害にあった東松山市と袖ヶ浦市の両社会福祉協議会様からは「将来同じような災害が起こった時に対応出来るよう、地元の災害ボランティアを増やしたい」と災害ボランティア入門研修をご依頼いただきました。
【災害ボランティアセンター運営者研修・訓練】
災害ボランティアセンターの運営を担うのは、主に被災地の社会福祉協議会です。センター運営者の役割は多岐にわたることに加え、災害時という環境下でイレギュラーな事態にも対応しなければなりません。
災害時、より効果的に被災した住民を支援する為の「運営者研修」では、
- 実際の被災地の運営事例紹介
- PBVが独自開発した、災害ボランティアと被災者のニーズをマッチングを体験するカードゲーム「災害ボランティアセンターマッチングシミュレーションゲーム」
などを実施しています。
2021年度は研修を32回開催し、約1100名にご参加いただきました。
近年は、社会福祉協議会と行政や様々な組織が事前に協定を結び、災害VC(ボランティアセンター)運営を行う流れが活発化しています。そのことから研修の参加者は、社会福祉協議会の職員だけでなく、行政職員や地域の自治会役員、青年会議所、ロータリークラブなどからのご参加も各地で見受けられました。
また、研修会への講師派遣以外にも「災害VCを運営するためのマニュアル作成に関するアドバイザー就任」依頼など、被災地での実践経験やノウハウが強く求められていると感じています。
「被災者支援は、平時から協働する必要性がある」という理解が更に広まってきたように思います。
【避難所運営研修】
避難所の運営は、避難者が主体となることになっています。しかし、避難した人が健康的に尊厳を持って避難生活をおくるためには、行政や施設管理者、様々な専門性を持った組織との協力体制なしには実現出来ません。
PBVは「避難所開設から閉所までの一貫した避難所運営支援」や「コロナ禍における避難所運営支援」を実践してきた経験を持つ、数少ない団体の1つでもあります。
それらの経験に基づいて、避難所の課題や対策を伝える「避難所運営研修」を実施しています。これまでに講師派遣依頼をいただいた自治体や組織からのご紹介という形で依頼件数が増え、
2021年度は22回開催し、約1900名にご参加いただきました。
今後は、実際に避難所になる場所で避難生活を再現し、避難所運営の課題と改善を考える体験型の研修も検討しています。
【その他の講演など】
これらの他にも、様々な内容、形式での講演も行いました。
- 「食と栄養」
- 「コロナ禍での支援」
- 「屋根作業(雨漏りの応急処置いわゆる防水シート張り)の安全管理」
など、テーマは多岐にわたりました。
2021年度は41回開催し、約2400名にご参加いただきました。
その中には東京都在住外国人支援事業の一環として、東京に暮らす外国人の方々を対象とした研修も含んでいます。様々な国から集まった参加者は、日本の地震や水害に関する防災訓練を学ぶ機会がなかった方々ばかりでした。
- 家庭でのリスクの防止・軽減方法
- 避難手順
- 家庭での備蓄品
など、災害への備えの基本を、英語と日本語を交えて行いました。
「今の自分の防災対策は不十分だと分かってよかった」
と、今後の備えに前向きなコメントをいただきました。
【研修のオンライン化】
昨年に引き続きオンラインの研修依頼が多く、様々な形式で研修を行いました。
今年度の研修形式は、完全オンラインが約50%、受講者もしくは講師のどちらかがオンラインが約25%、会場集合が約25%でした。また、ZOOMでの参加が難しい場合は、YouTubeでの配信を視聴いただく対応も行いました。
【新しい試み】
2021年から「災害ボランティアセンターマッチングシミュレーションゲーム」キットを販売しています。
災害VCの中でも重要な役割となる「被災者の困りごと」と「ボランティア」のマッチング。これをカードゲームで学ぶ研修をキット化したものです。
現在(5/18)までに、全国の社会福祉協議会や大学、自治会、個人の方々に114セットを購入いただいています。キットは好評につき、増刷を検討しています。ご興味がありましたら、お気軽にお問い合わせください(training@pbv.or.jp)。
【今後に向けて】
より実践的、より効果的な人材育成を行うため、研修内容のバージョンアップに取り組んでいます。
- 災害ボランティアトレーニング
- 災害ボランティアセンター運営者研修
- 避難所運営者研修
具体的には、上記の研修に初級編から上級編までを設定することです。そうすることで、参加するたびに受講者はステップアップができ、より深く、より広い知識を得られることになります。
【講演・研修の依頼を検討されている方へ】
これからも様々な機会を通して、被災地からの生の情報をお伝えし、各地の防災減災の取り組みに寄与できればと思います。PBVのHPに掲載している内容以外にも、実施の目的や対象に合わせてアレンジが可能です。また会場での集合型の実施以外にもオンライン形式での実施も対応可能です。
今後も人同士が助け合える、災害に強い社会の実現に向けて、一つ一つ丁寧に取り組んで行きます。引き続き、よろしくお願いいたします。
PBV研修チーム一同