千葉から学ぶ、被災家屋の対応事例集が完成

この度、防水シート張りにまつわる工法と安全管理について記載した事例集が完成しました。こちらの事例集では、災害発生時に支援活動を行う「支援者」の皆さまへ向けて、実際の被災地で施行されてきた防水シート張りの工法や安全管理などの概要を紹介しています。

 

 

 

2019年台風15号19号で、千葉県鋸南町では、家の屋根が飛ぶ被害が相次ぎました。被災家屋の応急処置すら、職人さんだけでは対応が間に合わず、地元のボランティアを中心に、長年災害支援現場に関りを持っていた他の団体と協力し、ブルーシート展張の育成講座を始め、今では多くの担い手が育成されました。しかし、修繕工事には1年から2年近く待機期間があることが多く、千葉では、現在もなお、ブルーシート展張のニーズが後を途絶えません。

 

近年は豪雨や台風がなども頻度を増し、屋根修繕の需要はどこの地域でも高まっています。先日発生した東北沖地震でも、福島県などを中心に屋根が落ちてしまい、ブルーシート展張のニーズが発生しています。

今回の事例集では、初めて災害に見舞われた町の方や、消防団の方、社協さんたちが、実際に部ブルーシート展張のニーズが発生した場合に、なんの資器材を使えばいいのか、どの縄のほうが耐久性があるのか、応急処置で使用するときと、家屋修繕までその家で凌ぐ場合は、何を利用したほうがいいのか、これまでの私たちの知識をたくさん詰め込んでいます。
また、屋根での作業は命の危険を伴います。最低限どんな安全管理が必要なのか、自分を守るために大切なことも記載しています。

 

 

 

この事例集はPBVを始め、さまざまな団体に聞き取りをして作成しました。被災地によってニーズは異なってくると思いますので、その被災者に寄り添った支援の形を、この事例集を参考にしていただけたらと思います。

また、2月13日に発生した福島県沖地震の影響で、家屋の屋根の損傷被害が多数出ており、ブルーシート展張のニーズが出ています。現在は、千葉でブルーシート展張をしているPBVスタッフを期間をわけて派遣し、地元で屋根の応急処置が出来るように人材育成に力を入れています。詳しい支援内容に関しては、以下のブログをご覧ください。

2021年福島県沖地震の支援について

 

 

 

作成は、認定NPO法人全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)が設置する、家屋保全に関わる「技術系専門委員会」がおこないました。PBV事務局長の上島も専門委員として参加しています。
また作成にあたり、これまで屋根への防水シート張りを実施してきた皆さまにご協力・ご助言を頂きながら完成に至りました。
誠にありがとうございました。この事例集が支援に関わる皆さまの一助となれば幸いです。

事例集はこちら

▼作成にあたりご協力頂いた皆さま(敬称略、五十音順)
【専門委員】
阿部由紀 (社会福祉法人 石巻市社会福祉協議会)
上島安裕 (一般社団法人 ピースボート災害支援センター)
小川耕平 (社会福祉法人 全国社会福祉協議会)
小林直樹 (災害支援団体 風組関東)
肥田 浩 (一般社団法人 OPEN JAPAN)
松山文紀 (震災がつなぐ全国ネットワーク)

【協力者】
赤池博美 (災害ボランティア 愛・知・人)
植田啓介 (災害支援団体 Revive)
川村勇太 (一般社団法人 ピースボート災害支援センター)
木家浩司 (一般社団法人 プロボノ消防志)
黒澤 司 (DRT Japan (技術系災害ボランティアネットワーク))
小玉幸浩 (コミサポひろしま)
小林直樹 (災害支援団体 風組関東)
鈴木 暢 (災害エキスパートファーム(DEF))
中島武志 (特定非営利活動法人 災害救援レスキューアシスト)
林 和夫 (災害支援チーム 集結))
松本祐樹 (一般社団法人 BIG UP 大阪)
武藤勝行 (日本警察消防スポーツ連盟 BORDERLESS FIRE)

※この事例集はCenter for Disaster Philanthropyと特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成によって作成されました。