この度の豪雨災害により亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆さまに謹んでお悔やみを申し上げます。また、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。7月3日からの記録的な大雨(令和2年7月豪雨)により、九州や中部地方など広範囲に甚大な被害が発生しています。今後、さらなる被害が拡大しないことを祈っています。
PBVでは、被害に遭われた熊本県や大分県の被災地域で活動している現地団体と連携して、物資や活動に必要な資機材の提供などを実施しています。また、現地の行政機関や社会福祉協議会、支援団体間ネットワークなどの関係機関からの要請があった場合、支援活動を実施する準備が整っています。
・新型コロナ禍における避難所の環境改善および運営支援
・炊き出しなどの食事支援
・災害ボランティアセンターの運営支援
・被災家屋の清掃、壁・断熱材・床材剥がしを含む家屋保全および講習
また、PBVでは現地団体との連携や情報共有を重視しています。九州地方では、熊本や大分、福岡にある現地団体と連絡を取り合っています。特に被害の大きかった熊本では、くまもと災害ボランティア団体ネットワーク(KVOAD)や熊本県社会福祉協議会、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)などと被害状況や民間支援状況をオンラインミーティングで情報共有しています。特に、感染症のリスクがある中で、現地団体の外部支援の受け入れ方針を尊重したいと考えています。
PBVでは4月より、新型コロナウイルス感染症の影響もある中、毎年発生する自然災害によって、複合災害となってしまうことを懸念していました。
その取り組みとして、JVOADの避難生活改善に関する専門委員会の一員として、『新型コロナウイルス 避難生活お役立ちサポートブック』の作成に携わりました。サポートブックの作成には、避難所支援経験のある団体職員に加え感染予防の医師や専門家も参画しています。またその知見を共有するために、人道支援団体が集うジャパン・プラットフォーム(JPF)の国内災害ワーキンググループにて、サポートブックの勉強会も実施してきました。
特に、6月からは新型コロナ禍でも、被災地の支援を実施できるように「2020緊急支援チーム」を結成し、新型コロナウイルス感染症予防・感染拡大予防の研修も重ねてきました。また「PBV新型コロナウイルス影響下における災害支援ガイドライン」を作成し、スタッフは、毎日、体温や体調などを記録しています。また、感染予防のための衛生管理用品も事前に整備しています。
新型コロナウイルス感染が懸念される状況下でも、『人道憲章と人道支援における最低基準』(スフィアハンドブック)に基づき、「人々をさらなる危険にさらさないこと(権利保護)」を尊守し、人道支援の原則である被災者の「支援を受ける権利」を可能な限り実現するために尽力していきます。特に、災害によって被害を受けた人と支援を提供する人、双方ともに新型コロナウイルス感染症への罹患を予防し、社会的な感染拡大を防ぐと共に、被災地域への支援活動を検討していきます。
大変難しい状況ではありますが、被災地域の皆さんと共にこの危機を乗り越えたいと思います。
◆KVOAD 熊本県南豪雨災害に伴うボランティア活動について(7月6日)
◆PBV 2020 新型コロナウイルス×被災地 緊急支援募金
2020 年 07 月 30日改定
一般社団法人 ピースボート災害支援センター(PBV)
PBV 新型コロナウイルス影響下における災害支援ガイドライン Ver.2
1.基本方針
本ガイドラインは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染が懸念される状況下でも、『スフィアハンドブック:人道憲章と人道支援における最低基準2018』に基づき、「人々をさらなる危険にさらさないこと(権利保護)」を尊守し、人道支援の原則である被災者の「支援を受ける権利」を可能な限り実現するための指針である。特に、災害によって被害を受けた人と支援を提供する人、双方ともに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患することを予防し、感染拡大を防ぐとともに、被災地域への支援活動を実現していくためのものである。
2.事前準備
- 事務所への出勤は、テレワークや時差出勤制度を整備し、3 密状態の通勤・勤務を回避するほか、出張や会議などでの面会や会合は控え、Web 会議ツールを積極的に活用し参加する。
- 事務所内は常時換気に努め、通勤・勤務時は、マスクの着用、石鹸と流水を用いた手洗いと手指消毒の徹底する。設備や備品はアルコール(濃度 60%~95%)や次亜塩素酸ナトリウム溶液(濃度 0.05~0.1%)、もしくは独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)が新型コロナウイルスに対して有効と報告した界面活性剤 を用いて清拭消毒を毎日行う。
- 全てのスタッフは、毎日の体温測定結果に加え、厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き」に記載されている、発熱、呼吸器症状(咳嗽、咽頭痛、鼻汁、鼻閉など)、頭痛、倦怠感、消化器症状(下痢、嘔吐など)、嗅覚障害、味覚障害などの有無を記録し、事務局は毎日それを把握する。
- 全てのスタッフは、勤務中および勤務時間外における行動履歴と接触履歴(について各自記録し、自身が感染者もしくは濃厚接触者となった場合は、感染症法に基づき保健所が行う積極的疫学調査に協力する。
- 全てのスタッフは、勤務時間外においても感染対策を徹底して行い、3 密を避けるなど、ハイリスクな行動を控え、被災地域への派遣に備える。
- スタッフに発熱や風邪症状が見られる場合は、厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安」に従い、当該スタッフは自宅待機とし、呼吸困難、倦怠感、高熱等の強い症状のいずれかがある、基礎疾患などのリスク因子がある、比較的軽い風邪の症状が4日以上続くなどした場合は、帰国者・接触者相談センターなどに相談の上、医師の診断を受ける。
- わずかでも体調が優れないと感じた場合や、発熱や風邪症状には当てはまらない症状が見られる場合においても、当該スタッフは自宅療養もしくは在宅勤務とし、必要に応じて適切な医療機関を受診する。
- 新型コロナウイルス感染症と診断されたスタッフについては、入院もしくは宿泊・自宅療養を経て、厚生労働省の定める退院基準・宿泊療養等の解除基準を満たした後、 4 週間は健康観察を行う。
- スタッフが濃厚接触者と同居している場合は、厚生労働省の「ご家族に新型コロナウイルス感染が疑われる場合 家庭内でご注意いただきたいこと ~8 つのポイント~」に従い感染対策を徹底した上で、不要不急の外出は避け、疑わしい症状がある際は出勤しない。
- JVOAD が発行する「災害対応ガイドライン_別紙チェックリスト」に基づいて支援活動に必要な衛生管理用品などを事前に準備する。
- 「PBV 新型コロナウイルス影響下における支援活動を理解するための研修」(以下:PBV 感染予防研修)を行い、被災地域への支援に備える。
【PBV 感染予防研修内容】
・人道支援の行動規範
・被災地・被災者への理解
・支援者としての心構えと関わり方
・被災地での支援活動内容
・災害ボランティアセンターと家屋保全活動
・避難生活と避難所への理解と避難所運営サポート
・被災地での心理社会的支援
・新型コロナウイルス感染症と感染予防
・避難生活での感染拡大予防と環境改善のポイント
・JVOAD「新型コロナウイルス 避難生活お役立ちサポートブック」
・JVOAD「新型コロナウイルスの感染が懸念される状況下におけるボランティアNPO 等
の災害対応ガイドライン」
・わが家の災害対応ワークショップ
・災害ボランティア入門講座
・災害ボランティア・リーダートレーンニング
・災害ボランティアセンター・マッチングシミュレーションゲーム
・サイコロジカル・ファーストエイド(PFA)
3.活動検討
- 都道府県および市区町村に設置された新型コロナウイルス感染症に関する対策本部などの発表情報、被災地域およびその周辺における感染者の発生状況や医療機関の逼迫状況に加え、高齢化率などの地域特性を踏まえた上で、支援の必要性・緊急性に基づき人員や活動内容を検討する。
- 現地から示された外部支援の受け入れ方針を尊重し、後方支援が望まれる状況においては、活動に必要となる資機材や衛生管理用品の送付をはじめ、災害支援のノウハウや関連資料の提供、情報発信など、物的支援と情報支援を主軸とした活動を優先する。
- スタッフの派遣については、原則として、緊急事態宣言が解除されている被災地域を対象に、現地の行政や社会福祉協議会、支援団体間ネットワークなどの関係機関・団体からの要請に基づき、感染拡大防止に配慮した派遣計画を立てる。
- 先遣調査が必要な場合には、単独では行わず、PBV が加盟する支援団体間ネットワークと協働し行う。
- 直接的な被災により、現地の関係機関・団体から支援要請を出すことが困難な状況に陥っていると判断した場合や、災害の規模を踏まえ、地域住民を中心とした助け合いだけでは対応が難しいと考えられる場合は、支援団体間ネットワークと協議の上、スタッフの派遣を検討する。
4.現地派遣
- PBV 感染予防研修受講修了スタッフの中から、現地のニーズに即した者を派遣する。
- 派遣するスタッフは原則として、緊急事態宣言が解除されている地域に、通勤および居住している者とする。
- 派遣するスタッフは、派遣前の10日間に、発熱、呼吸器症状(咳嗽、咽頭痛、鼻汁、鼻閉など)、頭痛、倦怠感、消化器症状(下痢、嘔吐など)、嗅覚障害、味覚障害などの症状が、いずれも見られなかった者に限る。
- 新型コロナウイルス感染症と診断されたスタッフの派遣については、厚生労働省の定める退院基準・宿泊療養等の解除基準を満たした後、4 週間の健康観察を終えた者に限る。
- 濃厚接触者と判断されたスタッフは、検査により陰性となった場合においても、保健所からの自宅待機要請に従う。健康観察期間中に疑わしい症状が見られなかった者に限り派遣する。
- 濃厚接触者と同居しているスタッフの派遣については、健康観察期間中の同居者に疑わしい症状が見られず、同居者が自宅待機を終えた場合とする。
- 支援地域の新型コロナウイルス感染症に関する一般的な相談窓口、帰国者・接触者相談センター、医療機関や地域外来・検査センターなどの情報を収集し、被災都道府県に設置された保健医療調整本部などの関係機関と連携できるよう、予め調整を行う。
5.現地活動
- 対策
・フィジカル・ディスタンシング(身体的距離の確保)に務める。
・マスクの着用を基本とし、熱中症対策も行う。
・エタノール(濃度 60~95%)を常時携行し、こまめな手洗いと手指消毒を行う。
・JVOAD「新型コロナウイルス 避難生活お役立ちサポートブック(第 2 版)」を参考に、適切な個人防護具と衛生管理用品を使用し、基本的な感染対策を徹底する。
- 拠点
・宿泊場所や事務所など、固定の拠点を確保する。
・宿泊場所では、少人数・個別空間を確保できるよう、環境を整える。
- 移動
・公共交通機関の使用は可能な限り避ける。
・レンタカーなど特定の車両を確保し、車両の入れ替えは必要最小限とする。
・他組織車両への PBV スタッフの同乗や、PBV 車両への他組織スタッフの同乗は必要最小限とする。
・都道府県をまたぐ不必要な移動は行わない。
・スタッフの交代は必要最小限とする。
- 物品調達
・感染拡大防止と、地域住民との競合を避けるため、被災地域やその周辺での物品調達は必要最小限とする。ただし現地の経済状況の回復具合などを考慮し適宜検討する。
- 健康管理
・毎日体温、症状の有無などについて健康状態を記録し、事務局に報告する。
・現地における行動履歴と接触履歴を各自記録し、保管する。
・原則として 1 週間に一日以上の休みをとる。
・わずかでも体調に異変がある場合は、活動を強行せず、宿泊拠点にて療養・待機する。
・発熱症状が見られる場合は、関係各所へ共有・相談の上、速やかに対応する。
・感染者もしくは濃厚接触者と判断された際は、現地対応機関の指示に従う。
- サポート体制
・派遣スタッフに対し、JVOAD 避難生活改善に関する専門委員会のアドバイザーや、感染症および公衆衛生などの保健医療専門家への相談体制を確保する。
・心理的・身体的負担が大きいスタッフは、支援先に影響を与えないよう配慮し、現地支援活動から離脱できるよう業務調整を行う。
・派遣を終えたスタッフに対し面談を行い、現地での活動や生活などを振り返り、心理的負担に配慮する。
6.ボランティア募集に関して
- 被災地域外で活動するボランティア募集を優先して行う。
- 関係機関と協議の上、PBV の現地ボランティアを募集することになった場合には、現地における必要性や緊急性、新型コロナウイルス感染症の流行状況を考慮し、慎重に行う。
- 現地ボランティアを募集する際は、PBV が支援活動を実施している市区町村在住者を対象とする。
- 当該市区町村内からの参加だけでは対応が困難な場合は、関係機関と協議の上、状況に応じた参加条件を設定し、ボランティア募集の対象エリアを広げる。