【石巻】ピースボートの客船が6年ぶりに石巻寄港

8月21日、ピースボートの客船「オーシャンドリーム号」が、6年ぶりに石巻港に寄港しました。今回は、日本一周クルーズの最後の寄港地として、石巻によりました。

 

石巻工業港に入港した船は、大漁旗によるお出迎えと雄勝町伊達の黒船太鼓の歓迎を受けました。1100名の乗客を乗せた船は、ゆっくり着岸していきます。岸壁には、客船誘致に力を入れている石巻市、女川町、東松島市、松島町、大崎市の物産店が立ち並びました。船から降りてきた乗客を、各市町のゆるキャラやシージェッター海斗が出迎えてくれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

今回の寄港では、石巻で初めて「オーシャンドリーム号」の船内見学会を行いました。石巻近隣の皆さんが、400名以上来船してれました。船内では、特別企画として舞台『イシノマキにいた時間』と吉俣良ミニリサイタル「明子さんの被爆ピアノ」が行われました。

 

東日本大震災後、石巻での災害ボランティアをテーマにした舞台『イシノマキにいた時間』。舞台を熱演した、福島カツシゲさん、石倉良信さん、田口智也さんは、それぞれ石巻での災害ボランティアにも関わり、その後も定期的石巻を訪れています。2011年から全国30都市で公演されたこの舞台を、初めて観劇する方もいらっしゃいましたが、何度も舞台を観てきた方もいました。

 

 

 

舞台には、クスっと笑える場面が散りばめられて、会場からも時折笑い声が響いていました。そして、その当時、支援活動を続けていたボランティアたちは、「いつまで?どんな支援を?誰のために?」活動を続けているのか、多くの葛藤を抱えていました。簡単には割り切れない想いを吐露するセリフに、目頭を拭う姿も見られました。作曲家・吉俣良さんがこの舞台のために作曲した曲「添歩み(そゆみ)」の生演奏を聴きながら、舞台は終演しました。

 

震災から8年以上が経ち、変化したものも、変わらないであるものもあったかもしれません。それぞれ、多様な受け止め方があり、舞台が終わってからも多くの方が出演者の皆さんに声をかけているのが印象的でした。

 

 

 

この日本一周クルーズでは、平和と音楽の船旅がひとつのテーマでもありました。8月6日と9日にそれぞれ広島、長崎に寄港しました。広島から、「明子さんの被爆ピアノ」を乗せ、各寄港地や船内で演奏会を開催してきました。「明子さんの被爆ピアノ」は、広島で19歳のときに被爆して亡くなった米国生まれの河本明子さんが愛用していたピアノです。

 

 

石巻では、大河ドラマや映画などで数多くのサウンドトラックを手掛けてきた吉俣良さんによるミニリサイタルも行われました。明子さんのピアノと吉俣さんのストーリーに心を打たれながら、ピアノ優しい音色に耳を傾けました。原爆の体験、震災の体験、それらをどのように記憶してつないでいくのか感じられる時間になりました。

 

 

 

 

写真:鈴木省一