災害支援の現場に関わっていると、「被災地から被災地へ」、そんな言葉を耳にすることがあります。
東日本大震災以降も、毎年のように風水害や地震災害が発生し、災害が発生するたびに東北からも多くの支援の手が日本各地に届けられています。被災の体験は、災害の規模や種類、地域などによって多様です。それでも、自らの被災体験の実感から、他の地域の被災者の生活を想像し、支援を受けてきた恩返しの意味も込めて、手を差し伸べようとする方たちが多くいらっしゃいます。PBVが災害支援を開始するとき、石巻の皆さんは、支援募金に協力くださり、時にはボランティアとしても駆けつけてくれます。
2018年は、西日本豪雨や北海道胆振東部地震など大きな災害が多発しました。この間ご支援いただいている石巻の皆さんに向けて、3月3日に活動報告会を行いました。報告会には、2011年当時に一緒に石巻で活動された方や飲食店、街づくり会社、石巻専修大学の教員などの方に参加いただきました。
はじめに、PBVスタッフから西日本豪雨や北海道胆振東部地震の被害概要や実施している支援内容を紹介しました。そして、石巻からボランティアとして参加した山脇歩子さんと永沼悠斗さんにもその体験を共有してもらいました。
山脇歩子さんは、鹿児島県出身です。2016年の熊本地震のボランティアに参加したのをきっかけに、その後、ピースボートセンターいしのまきの職員になりました。石巻では、漁業を手伝いながら漁村の留学体験ができる「イマ、ココ プロジェクト。」の担当しています。個性あふれる漁師さんと丁寧に関係を作りながら、参加する多くの若者を漁村で受け入れています。
山脇さんは、熊本地震で避難所の支援に関わっていた経験から西日本豪雨の被災地となった岡山県倉敷市の避難所運営のサポートとして現地に入りました。避難所となっていた小学校では、市役所職員と共に、避難所の生活環境の改善に取り組んでいきました。特に、山脇さんが大切にしていたのは、避難されている方の顔やお名前を覚えて、一人ひとりと関係を築いていくこと。山脇さんの人柄があふれるボランティア活動の報告でした。
もう一人の報告者は、石巻の大川小学校の卒業生で、今は大学で福祉や防災を学んでいる永沼悠斗さん。永沼さんは大川小学校の語り部や伝承の活動の合間を縫って、愛媛県西予市に向かいました。災害支援団体のOPEN JAPANの活動に加わり、ボランティア活動をする傍らで大切な出会いもありました。現地で出会った石巻出身で被災地で重機での支援を行っている萬代さんとは、震災の語り活動と支援者としての取り組みを熱心に話し合いました。永沼さんは、東日本大震災では完全に自宅を流されてしまったために、実は今回初めて被災家屋の清掃活動を行いました。分かっているつもりだったことも、身に染みて感じることができ、自分事になる瞬間でした。地域の方たちとも交流することができ、語り部として活動している自らの体験も西予市で被災された方たちと共有することができました。
支援する、支援される関係は、巡っていきます。
時には手を差し伸べ、時には差し伸べられた手を握ります。
そんな循環を感じられるような報告会でした。