【九州北部豪雨】 現地レポート3 ~ボランティア募集延長~

 

九州北部豪雨の災害から約3ヶ月が経ちました。

 

大きな災害が起こると、発生直後の被害の大きさや死傷者数などを中心に、多くの報道がなされ注目を集めます。しかし、数週間すると報道も少なくなり、被災地域の外からは「もう復旧したんでしょ?」、「もう大丈夫なんじゃないの?」、「まだボランティアや支援が必要なの?」という声をチラホラ耳にすることがあります。

 

今回の豪雨災害は、「まるで津波のようだ」と言われるほど、広域に渡り大きな被害をもたらしています。人生を左右するような出来事に見舞われた被災者にとっては、住む場所の再建や仕事の継続、地域作りなど、その後に生活を取り戻していく過程の方が、長く地道に続く道のりなのです。そして、その歩みは一口に被災地といっても地域や個人ごとに異なります。

 

 

未だ復旧の見通しがたたない山間部の被害状況。流された車両もそのままに。

処理できないままの流木や電信柱

 

PBVが9月から関わっている福岡県朝倉市は、今回の豪雨災害で多大な被害を受けた自治体の一つです。河川の氾濫や土砂災害による被害は、山間部から平野部まで広範囲におよびます。山間部では、土砂災害により2階家屋まで土砂が流れ込んでしまっていたり、流木や土砂被害により道が通れなくなり、まだ自宅に戻れない方もいらっしゃいます。そのため今もなお避難所での避難生活を余儀なくされている方もいらっしゃいます。一方、現在PBVが主に活動している、朝倉市蜷城(ひなしろ)地区は、平野部にあります。蜷城地区では付近の川の氾濫や、山間部から流れてきた土砂等が流入し、場所によっては1m以上の浸水があり200軒もの床上・床下浸水被害がでてしまいました。

 

蜷城地区の被害に遭われたお宅。発災時の床上浸水の高さを記録されていました。
その高さは、1m弱。平均的な身長の男性の腰の高さくらいまで浸水被害に遭われています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それでも朝倉市全体で比較すると被害が軽微だとされていました。そこに暮らす住民自身も「場所によっては、地区のほとんどが土砂に埋まってしまったような所もある。それに比べたらまだ自分達は被害が少なかったから、被害が大きな地区の事を考えると自分達でなんとかしないと」という意識が強くありました。
発災から2ヶ月が経過しようとしていた頃、蜷城地区内の自治会長が「地区内の側溝があっちこっち土砂で詰まって取りたいんだけど、ボランティアを頼めないだろうか?地区内の人は自分達の家を片付けるので手一杯。皆、この2ヶ月間で疲れきっているのでなかなか言い出せない」という相談を朝倉市役所に持ちかけました。

 

ちょうどPBVが活動場所を東峰村から隣の朝倉市へと移行しようかと検討していた時期で、以前より繋がりのある災害NGO結からの情報提供もあり、蜷城地区での支援を開始しました。蜷城地区での支援開始直後、住民に直接お話を伺った時には「もう出来る所は全部やったから…」、「自分のペースで少しずつ片付けようと思ってます…」と支援を遠慮し、家屋や敷地内の清掃を諦めている方が多数いました。

 

そこから何度も顔を合わせる内に「実は畳の下の土砂は出したけど、板張りの部分はそのまま残っていて…」「もうくたびれて、家の外までは手が伸びない…」と、ポツリポツリ現状をお話してくれるようになりました。また、「このまま土砂が入りこんだ家に住み続けていていいのか」「他に行く場所はない」「毎日カビ臭く、災害時のままの状態が続き気が滅入る」など、不安の声がたくさんありました。住民のみなさんの想いも揺れ動きます。

 

住民さんに聞き取り
世帯によっても意見は様々。 一人一人、丁寧にニーズを伺います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

区長さんとも連携し、1軒1軒住民や地域のペースに合わせて、更に丁寧お話を伺っていくことで、家屋や敷地内の清掃を諦めていた多くの方達から、徐々に活動依頼が上がってきました。実際に、浸水し土砂が流入した家屋を片付けるのは、高齢の世帯や数人の家族だけでは難し現状があります。また、もともと低い土地にある家は、土砂で生活排水路が詰まっていると、また水が上がってくるか懸念もありました。他にも、床下に入ってしまった土砂出しや家財の移動などのニーズがあり、結果的に朝倉市へと活動場所を移してからの一ヶ月の間に60件以上の要望が上がってきました。PBVでは、このような状況を受けて周辺地区にも範囲を広げて調査を行い、ボランティア募集期間の延長も決めました。

 

ボランティアの力でバトンタッチしながら生活水路を取り戻します。
床下にたまったままの土砂。湿気や臭いも下からこみ上げてきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

住む場所が片付いても、農地の復旧などまだ多くの課題を残されています。支援を受けたかったけど諦めてしまった人達が、また前に向けて歩めるように、そっと背中を押してあげるのもボランティアの役割の一つかもれません。

ボランティアがお手伝いできることは、生活を再建していく過程のごく一部かもしれません。でも、発災から少し時間が経ってしまった今だからこそ、みなさんの手を必要としています。

 

 

【 九州北部豪雨 災害ボランティア募集 】
募集日程   11月5日(日)まで
活動場所   福岡県朝倉市(蜷城地区、大福地区など)
活動内容   清掃活動(土砂出し、家財の搬出、生活水路の土砂出しなど)
※土日の限らず、平日参加も可能です。日帰りでの活動はもちろん、数日の場合も宿泊場所や活動に使用する装備品も用意しています。詳しくは、募集概要をご覧ください。

 

PBVでは、緊急支援募金も募集しています。
ご協力のほどよろしくお願い致します。