南米でも、災害ボランティア・トレーニングに熱い視線

 

いまから一年ほど前、2015年1月。国連国際防災戦略事務局(UNISDR)が呼びかけている「レジリエント・シティ」キャンペーンの一貫として、チリやコロンビア、コスタリカ、ブラジルなどから中南米のキャンペーンプロモーター7名をピースボートの船に招きました。プロモーター達は、企業や研究者、NGO職員など様々な立場から地方自治体の防災力を高める取り組みを行っている方達です。

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「レジリエント・シティ」キャンペーンは、2005年に第2回国連防災世界会議で採択された「兵庫行動枠組(HFA)」を、各自治体が具体的に実行していくための取り組みとして、国連国際防災戦略事務局(UNISDR)によって立ち上げられました。1つでも多くの市町村や自治体に「災害に強い都市構築のための必須10項目」の導入を呼びかけています。世界中で約2,500の都市や地域が参加し、日本では、兵庫県、神戸市、仙台市、多賀城市などが参加認証を受けています。ピースボートは、2014年から本キャンペーンの公式パートナーになっています。

船内では、過去20年間で日本と中南米発生した災害から学ぶセッションを行い、それらのセッションの中で、地域社会の防災や行政と民間との連携・協働などについて話し合われました。船がペルーのカヤオ港に寄港した際には、国連防災世界会議にメッセージを届けるために、大きなイベントが開催されました。そのイベントには、16の市から集った市長を含め、行政職員や国連職員、NGO関係者など約120人が参加しました。
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こうして集められた声は、2015年3月に仙台で行われた国連防災世界会議に届けられました。国連防災世界会議では、多様な機関や組織、担い手(マルチセクター)による災害対応やその連携の重要性も確認され、市民側からは災害ボランティアの取り組みも紹介されました。

 

 

その後、11月に「レジリエント・シティ」キャンペーンに取り組むプロモーター達の努力が実り、チリの港町タルカワノ市で災害ボランティアに関するトレーニングを実施することが出来ました。

環太平洋に面するチリは、日本と同様に地震や津波が多く発生する地域でもあります。2010年には、マグニチュード8.8の地震がチリ沖で発生し、海岸線沿いにあるタルカワノ市では、2メートルを越える津波が到達し約500人が亡くなる被害を出しました。こうした状況から、タルカワノ市では自然災害や人災など町にある様々なリスクに対応する専門の部署を設け、地域の防災含め先駆的な取り組みを行っています。

 

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今回は、タルカワノ市の主催する講習にPBVからトレーナーを派遣し、「災害支援の為のボランティアトレーニング」をテーマに教育プログラムを行いました。参加者は警察や消防、赤十字、一般のボランティアなど約100名が参加しました。

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チリにも、災害時にボランティア活動を行う団体や人はいますが、日本のような災害ボランティアセンターを開設し、組織的にボランティアを取りまとめて動く仕組みがありません。

そこで、日本での災害ボランティア活動の意味やその仕組み、団体間の連携、ボランティアコーディネーションについて紹介していきながら、また現場にある課題の違いについても考えました。同じ津波被害を受けたということもあり、経験を共有することができました。

講習の後には、コロンビアから参加したボランティア消防に関わっている方から、自分達の地域でも災害時のボランティア講習を検討していきたいと嬉しい言葉を頂きました。

 

国や地域を越えて、市民同士が助け合えるボランティア活動の必要性を感じている人達が増えていると実感できる機会となりました。