国連防災世界会議に向けて [その6] ふたつのテーマ館

第3回国連防災世界会議 in 仙台」まで、あと48日。

仙台市内も横断幕やフラッグの飾り付けが始まり、いよいよ本番が近づいてきました。

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今日は、この会議で設置されることになった「女性と防災」「市民協働と防災」の2つのテーマ館をご紹介します。

 

 ◆ 女性と防災テーマ館

「第3回国連防災世界会議 in 仙台」には、海外からの会議参加者約5,000名を含め、5日間で延べ4万人の参加が見込まれています。一般参加者を対象とした「パブリック・フォーラム」にも、セミナー・シンポジウムなどの会議形式、国内外の団体によるブース展示やポスター展示、防災産業展、防災のひろば・国際交流のひろばなどの様々な催しが予定されています。

女性と防災テーマ館」はその名の通り、防災や災害対応における女性の役割を発信するスペース。運営は、仙台市とせんだい男女共同参画財団が中心です。3月14日~18日の会議期間中、エル・パーク仙台(仙台市男女共同参画推進センター)を会場に、被災地東北・日本・世界の女性たちによるシンポジウムが連日開催されるほか、参加者が交流できるミニイベントや展示も行われます。

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昨年11月には、「女性と防災テーマ館」のプレイベントにあたる「女性と防災せんだいフォーラム」が開催されました。

 

防災や災害時の緊急対応といえば、まず警察や消防、自衛隊などによる人命救出を思い浮かべる方も多いと思います。テレビの画面に映し出される多くは、男性のイメージでしょう。もちろん緊急時には最も優先されるべき活動です。ただ、災害支援にはたくさんの活動があります。東日本大震災の現場でも、避難所の運営や救援物資の担当したリーダーの多くが男性だったため、着替えや授乳スペースの確保に困ったり、生理用品や下着類といった物資の配布が上手くいかなかったなどの課題がありました。女性だけでなく、災害時要援護者や社会的マイノリティーまで含めると、課題はさらにたくさんあるでしょう。

災害時ですから、もちろん日本だけの課題ではありません。海外でも同じ場面があり、たくさんの事例を抱えているでしょう。防災分野では「世界トップ」と言われる日本ですが、国際男女平等ランキングでは、142カ国中「104位」(2014年の順位)です。「女性と防災テーマ館」で行われるイベントが、この溝を埋めていく大きなきっかけになることを期待しています。

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「第3回国連防災世界会議」の女性グループ公式開催パートナー団体のメンバー。2014年11月、ジュネーブで行われた準備会合にて。

 

◆ 市民協働と防災テーマ館

もうひとつのテーマ館は、「市民協働と防災」。
仙台のNPO/NGOが、日頃から様々なセミナーや打ち合わせのために利用している仙台市市民活動サポートセンターが会場です。

仙台市は、日本の自治体では数少ない、国連ISDRが促進する世界防災キャンペーン「災害に強い都市の構築」(「レジリエント・シティ」キャンペーン)の加盟都市。さらに、その中でも、積極的に「市民力」を活かす取り組みから、「模範都市(ロールモデル・シティ)」として登録されています。

「第3回国連防災世界会議」の開催が仙台市に、そして「市民協働と防災テーマ館」の設置が決まった昨年5月から準備が始まりました。こちらのテーマ館の運営を担うのは、「防災からまちづくりを考える実行委員会」。せんだい・みやぎNPOセンターを中心に、仙台市市民協働推進課、仙台青年会議所・泉青年会議所、大学間連携災害ボランティアネットワーク、JCC2015が共同で実行委員会を構成するほか、いわて・みやぎ・ふくしま連携復興センター、JICA東北、ジャパン・プラットフォーム、仙台市社会福祉協議会、ボランティアインフォなどの様々な団体が参加しながら、準備を進めています。

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「市民協働と防災テーマ館」のコンセプトは、「マチノワ」。何百人を対象とした国際シンポジウムのようなパブリック・フォーラムでなくとも、1つひとつの小さな地域の取り組みが災害時の共助につながると、独自に持ち込み企画の募集が行われ、これだけの企画が集まりました。

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●3月14日(土) テーマ:ひきだす
<AM>
・防災ウォークラリー
・あなたができる ちょこっと の輪を広げるために
<PM>
・TOMODACHIから宮城へ、宮城から世界へ
・市民と協働による学校防災
・東日本大震災を未来へ
<EV>
・わが家の災害対応ワークショップ
・地元と協働する、災害支援と防災減災対策

●3月15日(日) テーマ:ささえる
<AM>
・しあわせの黄色いハンカチプロジェクト
・防災教育の取り組み「防災エンスショー」と「ドキュメンタリー映画」
<PM>
・仙台市災害応急用井戸の活用と赤生木町内会の災害対策
・仙台発そなえゲーム
<EV>
・分譲マンションの防災
・命をまもり、未来を守るためのモノとコト

●3月16日(月) テーマ:つながる
<AM>
・笑顔でつながる「杜の子まつり」報告と「心のケア講座」
・大規模広域災害からの連携復興
<PM>
・東六地区の取り組み
・自然体験をつうじたNPOの連携による子どもの支援事業
<EV>
・震災とNPO
・復興まちづくり推進員の活動を通じた、被災地における復興まちづくり・コミュニティ再生支援の取り組み

●3月17日(火) テーマ:ひろげる
<AM>
・東日本大震災における塩釜市とNGOの連携
・みつけよう!地域から。つなげよう!私たちのそれぞれの復興と防災
<PM>
・大学間連携災害ボランティアネットワーク主催フォーラム
・被災地から伝える思い
<EV>
・注目される取り組み、成功事例@宮城(仮)

●期間中の展示
・東日本大震災が「多様な性の当事者たち」にもたらしたもの
・「地域一体で取り組む福祉・防災学習推進事業」活動紹介
・地域交流の「場」づくり
・災害時あなたのペットを守れますか
・マザーテレサ展
・復興情報誌「みらいん」の展示
・地域の消費が市民活動団体の持続可能性を高めるアフィリエイト募金システムの事業構想

 

※「市民協働と防災テーマ館」では、3月の本番に向けてお手伝いいただけるボランティアの募集を始めました。ぜひご協力ください。
http://www.machinowa.net/volunteer

 

この「市民協働と防災テーマ館」の特別企画となるのが、海外ゲストを交えたセッションや東北復興に向けた市民会議を行う「市民防災世界会議」です。テーマ館オープン中の、同じ3月14日~17日の4日間で世界と日本に市民が交流し、学び合うことを目的にJCC2015が企画運営を担います。

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●「市民防災世界会議」の詳細は コチラ

 

(「国連防災世界会議に向けて」参考記事)
・[その1] なぜ日本で開催するの?
・[その2] 「HFA2(兵庫行動枠組2)」について
・[その3] 会議に向けた市民の動き
・[その4] 国際準備会合と国内での中間報告
・[その5] ワレストロム国連特別代表からのメッセージ