国連防災世界会議に向けて [その1] なぜ日本で開催するの?

2015年3月14日-18日、仙台市で「第3回国連防災世界会議」が開催されます。今年1月には、「2015防災世界会議日本CSOネットワーク(JCC2015)」を立ち上げ、ピースボートも事務局団体の一員としてもろもろ活動しています。国内でも少しずつ関心が上がってきていますが、今日から3回に分けて、この会議の背景や今後の活動についてご紹介していきます。

今回のテーマは「なぜ日本で開催するの?」です。

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下は、国連大学がまとめた「被災可能性」(上)と「自然災害リスク」(下)の世界地図です。赤く色づけれた日本は、世界でもトップクラスに「自然災害に遭いやすい国」=「災害大国」であることが分かりますね。一方、「ダメージを受けやすい国」の地図では、日本はピンクで色づけされています。つまり、「度々災害が発生するが被害を抑えている」=「防災大国」と評価されていることを表しています。

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(出典:国連大学 World Risk Report 2011)

 

海外、特に途上国での支援に関わっていると、報告される犠牲者数が一桁も二桁も多いと感じることがよくあります。同じ規模の洪水や地震だと、日本の方がずっと被害の数字が低い。もちろん課題もたくさんありますが、経済力や技術力といったハード面でも防災教育の普及や地域防災の仕組みなどのソフト面でも、もっと世界への貢献ができる分野なんだろうと思います。

 

防災・減災の分野でよく使われる考えに、「減災サイクル」というものがあります。

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災害が発生すると、人命救助などの応急対応にあたる。そして復旧・復興のプロセスへ。その間の学びを被害抑止=防災につなげ、被害軽減=減災に活かす。この繰り返しこそが、災害に耐え、乗り越える力(国際的にはこういう力を「レジリエント」と呼んでいます)を養っていくという考え方です。日本は、数々の災害に見舞われてきたからこそ、何度も何度もこの「減災サイクル」を繰り返してきました。被害が発生する度に、新しい課題が見つかるのでゴールはありません。ずっと続けていくべきです。

そして、その繰り返しの中で得た中には、世界に「輸出」すべき知恵や仕組みもたくさんあります。けれど、国内災害の専門家やNGO/NPOも、また市区町村レベルの自治体や消防団、社会福祉協議会といった地域防災の主要なメンバーも、これまで国際発信がそれほど積極的ではなかったように思います。

ただ、世界は「災害大国かつ防災大国」の日本から学びたがっています。特に東日本大震災以降、各地でそんな声を聞いてきました。例えば「ボランティア保険」。アメリカにはありません。サンディや竜巻の支援に駆けつけた際、こういったボランティアを守る仕組みがあれば、アメリカの災害支援は今以上に効果を発揮するかもしれないと言われました。フィリピンでは、行政・自治体による消防の機能がありません。民間の消防団が大きな火災の消火にも出動します。地区ごとに消防署があり、地域の消防団もそのサポートをする仕組みは珍しいモデルです。

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フィリピン台風30号の支援活動にご協力いただいた「FJERA」。日本の消防団のノウハウを基に、フィリピンで活動を続けている。

 

私たちにとっては当たり前になりつつあることの中にも、世界の人たちが知りたがっていることがあって、それを掘り出す作業は、逆に日本の良さや課題を見つけ出すことにもつながるんだろうと思います。

また今回の国連防災世界会議は、東日本大震災から3年、4年という期間で開催されるものですが、東北被災地が抱える「復興」や「原発事故」といった難しい課題に対しても、違った視点や経験から様々な知恵を受け取れる可能性もあります。日本で開催される意味を考えると、これまで国内に集中しがちだった防災分野が、もっと世界と共有し議論することの価値が見えてきたように思います。

 

(その2.に続く)