280棟を越える浸水被害を受けた静岡県賀茂郡西伊豆町では、7月22日-30日にかけて緊急支援を実施しました。35名のボランティアが参加し(日別総活動人数は計108名)、土砂のかき出しや災害ボランティア本部の運営サポートに当たりました。
西伊豆町での活動を振り返って感じるのは、まず昨年から本格的に進めてきた緊急支援の初動環境が役立ったということ。発災時に現場で必要な動きを知る人材育成として行う災害ボランティア・トレーニング、埼玉に設置した災害ボランティア資材倉庫、国内での災害支援初動経費としていただいた東京海上日動火災保険株式会社「Share Happiness倶楽部」からのご寄付など、最低限の「ひと・もの・かね」が揃っていたことで、これまでよりも素早い決断ができました。
水害対応の初動セットを積んで東京を出発した準備隊(7月22日)
「ひと・もの・かね」以外に必要とされる「情報」の分野では、2013年3月に参加した「静岡県内外の災害ボランティアによる救援活動のための図上訓練」のネットワークが活きました。外部者として知らない土地に入るときに、すでに地元に「顔の見えるパートナー」がいてくれたことも、大きな支えになりました。
西伊豆町では、まず社会福祉協議会が中心となって「災害ボランティア本部」を設置。29日以降、地域ボランティア中心の活動に移るなかで、一般的な「災害ボランティアセンター」の機能に移行しました。
東日本大震災の津波被害でもそうだったように、水害によるボランティアの活動は、主に屋外での清掃作業。特に、道幅が狭い場所に溜まった土砂のかき出し、倒れた木々の片付けなどは、人力での力仕事が中心です。
被災された方々にとって、支援に来てくれたボランティアがケガや病気になるのは一番見たくない姿。そのことを事前に学んだリーダートレーニング修了者を中心に、作業中の安全面への配慮や熱中症対策をはじめ休憩の取り方にも気を付けました。
東北に社員ボランティアを派遣した企業、それをコーディネートしたNGO/NPOや中間支援団体で構成する「民間防災および被災地支援ネットワーク」のつながりもあり、東京トヨペット株式会社からは備蓄水のご提供もいただきました。
また、何より驚いたのは西伊豆町の住民の方々による地域の組織力でした。安良里地区では、自治体が近隣の学校からの申し出を受け、学生のボランティア100人以上を地域内の必要作業に振り分け、コーディネートしていました。災害ボランティア活動は、阪神・淡路大震災をきっかけに、ここ20年弱で飛躍的に体制が整ってきましたが、ずっと古くから根付いてきた地域防災の取り組みの大切さも改めて感じる機会になりました。
西伊豆町では、今後地域住民を中心とした清掃作業を展開するとのことから、外部から参加した私たちの出番はひとまず30日をもって終了しました。ただ、今回の大雨被害は全国各地に散らばっていて、まだまだ支援を必要としている地域もあります。8月1日には、西伊豆町でも活動したスタッフら3名が、先遣隊として山口県・島根県での被害調査に出発しました。PBVでは、引き続き、今回の大雨災害に対する緊急支援を検討しています。今後とも、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
● 大雨災害 緊急支援募金を集めています。ぜひご協力ください。→ コチラ