以前ご紹介したように、この10月、ピースボート30周年記念・世界一周クルーズは、初めて石巻港への復興支援寄港を行う予定です。この間「ピースボートセンターいしのまき」では、そのクルーズに参加し、被災体験を世界に伝え、また世界で得た経験を持ち帰る「石巻ユースアンバサダー(青年大使)」を募集してきました。
少しご報告が遅くなりましたが、7月18日に迫った出発を前にアンバサダーに決まった2名の若者をご紹介します。
※「ピースボートセンターいしのまき」のブログでも詳しく報告しています。コチラ
● 崎村周平(さきむら・しゅうへい)さん
女川町出身。現在は女川きぼうの鐘商店街に拠点を持つアーティスト集団女川アートギルドカンパニーに所属。印刷物のデザインやD-BONSという名前でスプレーアート等を行うデザイナーです。
震災当時は当時勤めていた南浜町の工場で被災、日和山公園に避難し助かりました。眼下で避難車の渋滞が津波に飲み込まれていく様を目にしたそうです。自身も被災しながらも、その後は友人と一緒に物資の配達や炊き出し等も行っていました。更に女川の若者が主体となり開催した我歴STOCK in 女川等のイベント実施にも関わっています。
様々な活動を行う中で、これから更なる復興に向かうためには、女川の視点だけでなくもっと広く、新しい視点やアイディアが必要だと感じ、同時に女川の現状の他に全世界からの支援に対する感謝や、震災後痛感した人とのつながりの重要性等ポジティブなメッセージを発信しようとアンバサダーに応募。
また、世界には震災当初のような生活が日常化してしまっている地域もあると気付き、そのような地域や人との繋がりをつくりたいと、港町ならではの大漁旗をモチーフとしたアート作品を世界へ届けるプロジェクトも計画中です。
● 高橋(たかはし)さやかさん
石巻市出身。会社員として働く傍ら、市民劇団夢まき座立ち上げに関わり、自身も団員として活動中。
震災当日は石巻市三河町の職場で被災。職場のビルから水のなくなった海や波に飲まれる町を目の当たりにしました。アンバサダーとして、震災があって痛感した「財産よりも命、生き残るのが大事」という教訓や、その後の復興も見据え「自分のふるさとを愛して欲しい」という想いを世界に発信すると共に旅で得た経験を石巻に持ち帰り、市民レベルで魅力的な街づくりをする事にも意欲を燃やしています。
また前述の市民劇団夢まき座では役者としてだけではなく、公演の広報や広報ツールの作成、他にも来年秋に向けてサンファンバウティスタ号にまつわる演劇を行う事を計画していて、その台本の執筆等を担当する等様々な角度から演劇に携わっています。それらを活かし船内でも一周を通して演劇のWSや、世界を回りながら作り上げるアートプロジェクトの提案等、船旅に向けての準備にも積極的に参加しています。
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今回の世界一周・第80回クルーズは、85日間で19カ国・20寄港地を巡りますが、その航路は石巻から世界を開いたとされる支倉常長ら慶長遣欧使節船が400年前に辿った道。石巻市とは姉妹都市であるイタリア・チビタベッキア市や支倉常長の像が立つメキシコをはじめ、東日本大震災で東北へ支援をしてくれた国々も多くあります。
2人の出航の日は、来週7月18日(木)。
13時に横浜大さん橋国際客船ターミナルから出航予定です。
紙テープが飛び交う中、約800人が世界一周へと旅立つ姿を、ぜひ見送りに来てください。
※本プロジェクトは、石巻市、石巻市教育委員会、石巻専修大学、公益財団法人慶長遣欧使節船協会にご後援いただいて実施しています。
※報道関係者の皆様に向けては、出航記者会見も行います。プレスリリースは コチラ