【新宿】多文化共生と防災・減災を考える町歩き (前半)

11月24日、新宿区内のNGO/NPOや学生、社会福祉協議会、ピースボートの外国人スタッフら約20名が集まり、「多文化共生と防災・減災を考える町歩き」を行いました。災害ボランティア・トレーニングスキルアップの一環としての実施だったこともあり、リーダートレーニング修了者からの参加もありました。

 

この町歩きは、首都直下地震を想定し、事前に地域のことを知り、いざという時のイメージを共有しておくために実施したもの。今回は「まずは自分たちの足元を」ということで、PBVの事務所がある新宿区高田馬場3丁目周辺で行いました。

「防災まち歩き」という取り組みが各町会を中心に実施されてもいますが、そこに「多文化共生」という国際NGOとしての視点と、減災につながる災害ボランティアの活動というアレンジも加えました。

 

まずは、新宿区全体の状況を把握するためのレクチャーを聞きます。

 

会場は、西武新宿駅近くにある「しんじゅく多文化共生プラザ」。日本語教室が行われていたり、外国人向けの相談コーナーがあったりと、人口の10人に1人が外国人という新宿の特性に合わせて設置された施設です。プラザの室長で、区の地域文化部職員である大熊さんからは、区内の各地域での外国人居住地域の特徴や背景を解説していただきました。

発災時の避難や公的サポートについては、地域防災計画にまとめられていますが、内容の多くは「区内在住者」を想定して作られています。日中働いている人口は住民登録の約3倍、多くは「区外在住者」です。そこを踏まえた地域防災計画の見直しも進めているようですが、都市型災害では、被災者と住民登録者の数の開きが大きくなるので、想定以上の混乱が生まれる可能性が高いと言わざるをえません。

 

その後、大久保地域まで徒歩で移動。

多国籍のお店が集まっている大久保ですが、最近は「コリアンタウン」と呼ばれ、韓国系の料理店やコスメショップの進出が目立ちます。参加者の中には、在日コリアン4世の学生もいましたが、この地域は比較的最近来日したコリアンが集まっているそうです。

 


「イケメン通り」には、料理屋以外にもファッション系の韓国系店舗が並んでいます。


お昼は、参加者同士が仲良くなるため、グループごとにそれぞれの好みでお店を選んで食事。

 

午後の集合場所は、明治通り沿いにある新宿コズミックセンター。

東京都は、現在「木密地域不燃化10年プロジェクト」を実施中。明治通りと新大久保駅前から高田馬場駅方面に新設された補助72号線は、人口密集地で発生した火災が燃え広がらないように、進められている計画だそうです。


新大久保駅前を通る補助72号線

 

ただ、残念ながら逆に言えば、こういった大きな通りに挟まれた内側のエリアでは、消防などが火を食い止めるのが難しいという現実の裏返しでもあります。

 

町歩きは、コズミックセンターを出発し、隣接する戸山公園を抜けていきます。

下の写真は、戸山公園内にある新宿スポーツセンター。
この施設か、先ほどの新宿コズミックセンターのどちらかがボランティアを受け付ける「災害ボランティアセンター」の設置場所として検討されているとのことです。

また、この戸山公園は、発災時にPBVの事務所もある高田馬場3丁目にいた場合、広域避難場所になる場所です。危険度想定が記載されたハザードマップでは、神田川を境に線引きがされて避難場所指定がされていますが、通常でも徒歩15分ほどかかる上、駅前の人ごみを抜けて、さらに線路を渡ってここまで避難してくるのは実際のところは難しいかもしれません。

 

町を実際に歩いてみる良さは、こういった計画と現実を自分の目と足で気付ける点にあります。

 

(後半に続く)