【2026年インドネシア・フローレス島沖地震】支援活動レポート

インドネシア・フローレス島沖でM7.7の地震

インドネシア・東ヌサトゥンガラ州フロレス島北部沖で8月15日午前6時(日本時間同7時)頃ごろ、マグニチュード(M)7.7の地震が発生しました(米地質調査所(USGS))。9月1日時点で、死者127名、負傷者約1,668名、避難者総数181,354名、倒壊・損壊家屋約97,215棟などが確認されています(2026年9月1日BNPBポータル)​

ピースボート災害支援センター(PBV)はスタッフを派遣し、現地パートナー団体と連携して、今後の支援のための調査や、給水支援をおこなっています。

2026年8月22日 ナゲケオ県
2026年8月25日 東マンガライ

 

現地調査・緊急支援を実施しています

ピースボート災害支援センターではスタッフを派遣し、現地提携団体ASAR Humanityとともに被害調査と緊急支援に向けた活動を実施しています。

PBVの調査地域

 

ナオゲオ県:現地調査、給水支援の実施

2026年8月22日ナゲケオ県

死者:13名
負傷者:165名
家屋被害:15,372棟(一部損壊含む)
公共施設の被害:役所等74件、教育機関238件、保健施設11軒、宗教施設:50件
避難者数:50,574名(BNPBポータル)
(2026年8月末時点)

多くの人々が空き地に作ったブルーシートのテントに今も身を寄せています。軍やBNPB(国家防災庁)、NGO等から支給されたテント、あり合わせのブルーシートや布などで、空き地や自宅の軒先にテントを設置して避難生活を送っています。北部の海岸に近い丘の上には、地震と津波で家を失った250人以上の住民が避難しています。

フローレス島は、この1か月間で雨が降ったのはたった2日間。しかも小雨程度の雨でした。
もともと水不足が深刻なフローレス島において、避難者が集まるテント村や、コミュニティで使っている共同の水タンクはどこもすぐに空になってしまいます。避難場所で手に入れられる水はNGOが不定期に提供するタンク2個分の生活用水に限られており、トイレや洗濯の場所もありません。土埃が舞う中で、生後1か月の赤ちゃんから90歳の高齢女性まで、地面にブルーシートを敷いただけの床での寝泊まりが続いており、健康状態の悪化が懸念されています。

2026年8月22日ナゲケオ県の避難場所
2026年8月23日ナゲケオ県の避難場所

一つのテントに10家族以上が身を寄せているケースも多数見られました。12家族が共同で生活する大型のテントでは、3歳ぐらいの男の子がお母さんの膝の上にしっかりと抱かれていました。地震の後から、地面に直接触れるのを怖がり、「どこに行くにも抱っこしていないと泣いてしまうようになった」とお母さんが話します。フローレス島では1992年にも津波をともなう大きな地震が起きており、今回被災した人々の中からも、余震のたびに当時を思い出してしまうという声が上がっていて、物資の支援とともに心身のケアの支援も求められています。

スーパーなどの商店はすでに営業していますが、食料や物資の支給は数量、回数ともに不安定です。支援のためにまとまった量の物資の調達は都市部で行う必要があり、水(特に飲料水)、食料、衛生用品などを求める声が多く聞かれました。

2026年8月24日ナゲケオ県の災害対策本部

こうした状況を受けて、発災から10日目にあたる8月24日、PBVと現地提携団体の ASAR Humanityでは、給水車を手配し緊急給水支援を実施しました。

5,000リットルの水を搭載した給水車2台で、ナゲケオ県北部のテント村や、地震と津波で壊れた自宅の前にテントを作って寝泊まりしている住民の集落など、特に被害の大きかった沿岸部を中心に巡回し、生活用水として安心して使える水をタンクやバケツに給水する活動を行いました。給水車が到着すると、子ども連れのお母さんたちがバケツや空いたペットボトルを手に、笑顔で駆け寄ってきてくれました。30度を超える気温の中で、気持ちよさそうに水浴びする子どもたちの姿にほっとしました。

2026年8月24日ナゲケオ県での給水支援
2026年8月24日ナゲケオ県での給水支援​

現在、政府や行政機関、NGOなどができる限りの支援を行っているところですが、生活用水に加え、安定的な食料や飲料水の供給も大きな課題となっています。また、発災依頼、乾燥した屋外で過ごす日々が続いており、住民の皆さんの衛生状態の悪化も懸念されています。

東マンガライ(Pota):現地調査

2026年8月25日東マンガライ

死者:38名
負傷者:478名
家屋被害:22,731棟(一部損壊含む)
公共施設の被害:役所等94件、教育機関295件、保健施設54件、宗教施設:118件
避難者数:30,098人
2026年8月29日時点

東マンガライは広範囲にわたってコンクリートなどの倒壊家屋が多く交通の便が悪いため、流通が回復しておらず、被害の大きさに対して支援が届いている場所が限定的です。孤立集落も確認されていますが、車両の不足などから支援に至っていません。

BNPB(国家防災庁)の丈夫なテントが届いている場所はごくわずかのため、多くの方が農業用のシートやブルーシートをつなぎ合わせてあり合わせのテントを作り寝泊まりしています。10家族以上でひとつのテントに身を寄せているケースも多く、今後の衛生状態の悪化が心配されます。

2026年8月25日東マンガライ
2026年8月25日東マンガライ
2026年8月25日東マンガライ

PBVが提携するASAR Humanityのスタッフからは「交通アクセスのよい場所や、メディアで取り上げられた地域に支援が集中しており、東マンガライの山間部などにはなかなか支援が届かない」という声があがりました。

訪れた村のひとつは、町の中心部から離れた川を隔てた地域に位置しており、電気も電波も物資支援も届かない中、集落にある限りある資源に頼る生活が続いています。

2026年8月25日東マンガライ

支援物資は都市部(Ruteng/ルテン)から調達していますが、活動している支援団体が少なく行政の支援も限定的なため、食料、水、衛生用品などの物資が不足しています。炊き出しが一部で行われているが、3万人以上の避難者に対して、1日数百食程度にとどまっている状況です。

今も毎日余震が発生しており、倒壊を免れた家屋もさらに損壊が進む不安な日々が続いています。

 

マンガライ(Reo):現地調査

2026年8月27日マンガライ

死者:45名
負傷者:614名
家屋被害:23,034棟(一部損壊含む)
公共施設の被害:役所等37件、教育機関328件、保健施設28件、宗教施設:71件
避難者数:50,556人
(2026年8月29日時点)

山間部から海沿いにかけて広範囲にわたるなど、被害の規模が大きな地域です。交通アクセスのよい地域においては、定期的な食料や水の配布が行われているが、支援が届いていない孤立集落が残されています。多くの方が農地の空地などにテントを設置し避難生活を送っており、衛生的なトイレや丈夫なテントなど、生活にかかる支援ニーズが高い地域です。

2026年8月27日マンガライ

被害の規模は大きいですが、軍が支援拠点を置いているほか、BNPB(国家防災庁)や複数のNGOが支援活動を行っている地域でもあります。

2026年8月27日マンガライ
 

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今回の地震は、家屋だけでなく各地のインフラ施設にも大きな被害をもたらしています。​

インドネシア政府の発表によれば、8月21日までにフローレス島内の1,378校の学校で施設の被害が確認されており、学校の授業は発災以降再開されていません。震源に近いナゲケオ県にある寄宿制の学校では12歳から15歳までの子どもたち130人が学んでいたところ、4人の子どもたちが負傷し、教室や寄宿舎、モスクが大きな損傷を受ける被害に遭いました。
地震の影響を受けた地域では、授業が一時中止されていますが、「授業再開の要請が出ても安全に学べるスペースが確保できなければ子どもたちに学校に戻ってきてもらうことはできない」と先生は説明していました。増築作業中だった校舎も、壁が大きく崩れ、柱の構造がむき出しになって、再建には長い道のりと多額の費用がかかることが予想されます。

2026年8月22日ナオゲオ県の学校
2026年8月22日ナオゲオ県の学校


フローレス島では、8月15日の地震・津波以降1週間で5,000回を超える余震が発生しており、大きな余震が起きるたびに、建物の損傷が悪化している例も確認されています。
日中は被災した自宅の片づけや、漁船の手入れのために自宅のある地区に戻る人々も、「余震が怖くて家の中で寝たくない」と自宅の外に設置したテントや空き地に設置されたテント村に集まり夜を明かします。避難者への物資支援はまだ散発的なため、次にいつ手に入れられるか分からない食料や飲料水、衛生用品などを、少しでも避難者ひとりひとりに行き渡るよう、工夫して分け合いながら、なんとか日々の生活をつないでいるところです。

ようやく被害の全容が明らかになりつつある被災地ですが、物心両面での支援が必要とされています。

 

今後の支援について

被害が大きく支援が行き届いていない地域を中心に、ナゲケオ県での給水支援を引き続き実施するほか衛生用品の配布(100世帯)、また、東マンガライ県での食料パッケージの配布(400世帯)を予定します。

PBVが連携する協力団体「ASAR Humanity」とは、2024年フローレス島火山噴火、2022年ジャワ島地震など、継続的にインドネシアの災害においてともに支援活動を実施してきました。信頼できるパートナーとして、これからも連携を取りながら支援活動を実施してまいります。

フローレス島 2026年8月16日食料配布(撮影:ASAR Humanity)

 

「人こそが人を支援できる」

 

被災された方々が1日でも早く安心できる暮らしと笑顔を取り戻せるよう、引き続き、現地のニーズを伺いながら必要な物資などの支援を行っていきます。

 

*本事業は、特定非営利活動法人ジャパンプラットフォームの助成事業です。

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  • ピースボート災害支援センターの寄付金に関する取扱規程は下記をご参照ください。
    公益社団法人ピースボート災害支援センター寄付金等取扱規程[PDF]

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