九州豪雨 支援活動レポート ~取り残されがちな不安に寄り添う~(後編)

2025年8月8日未明以降、九州各地で激しい大雨となり、河川の氾濫などによる浸水被害や土砂災害などの被害が発生しました。

ピースボート災害支援センター(PBV)は、8月9日に先遣スタッフを現地へ派遣。その後は継続して、物資支援、食事支援をおこない、8月16日から鹿児島県姶良市(あいらし)で本格的に家屋対応を開始しました。

>>>( 前編:九州豪雨 支援活動レポート ~水害における技術対応~ )はこちら

 

取り残されがちな不安に寄り添う

災害は誰のせいでもないからこそ、被災された方の心のなかには整理のつかない感情が渦巻いています。濡れてしまった家財の搬出や泥の片付けが終わったあとも不安は続きます。とくに独居の高齢者、女性、ひとり親家庭、生活に不安を抱える世帯など、支援が届きにくく孤立しやすい方々に、より顕著です。

乾燥の進みが早い家屋も多い一方で、床下に断熱材のある家では、水がなかなか抜けずに「どこから手をつければ…」と不安を抱えながら過ごしておられる方もいます。

家屋によって被災状況が異なるため、近所の方からの「お宅はまだ泥が残って大変ね。うちは床下までだったから大丈夫だったけれど」という何気ない言葉に、取り残されたような悲しい思いをされることもあります。

ある独居の女性が、ひとりでどうしたらいいかわからず心細かったときに訪ねてきた男性のセールスに頼らざるを得ない気持ちになってしまい、その後も執拗な勧誘に悩まされていました。

PBVは家屋の応急対応というかたちで床下に潜り、住民の方々の暮らしを守っています。「あなたたちが床下で丁寧に泥を出してくれて…感謝の気持ちで涙が止まりません」と涙ながらに語ってくださる家主の方もいました。

しかしそれだけでなく、PBVでは「安心の土台」をつくっていくため、必要に応じて、公的な支援制度の活用についてもお伝えしています。的確な情報を共有し、状況に応じた行動をおこなうよう、一つひとつを丁寧に積み重ねていきます。

 

支援活動を支えてくださるみなさま

PBVの被災地での活動は、多くの個人の皆さま、企業・団体の皆さまに支えられています。改めて、多くのご支援に感謝いたします。

水害による家屋の乾燥作業には、多くのサーキュレーターが必要となります。
今回は、鹿児島県出身の作曲家・吉俣良様からのご寄付の一部を活用し、乾燥に欠かせない機材を新たに整えることができました。
さらに、CONNECT(コネクト)様より60台ものサーキュレーターと延長電源ケーブルをご提供いただき、現場での作業を大きく支えていただきました。
また、株式会社エヌエフ貿易様からもボルネード社のサーキュレーター2台をご寄贈いただき、現場の状況に応じて活用させていただいています。

ほか、緊急災害対応アライアンス「SEMA(シーマ)」を通じて、鹿児島県姶良市及び霧島市の社会福祉協議会さんに、オイシックス・ラ・大地様が500ml飲料水を84ケースずつを提供していただきました。

また、今回は初の取り組みとして、2025年6月2日に始動したAirbnbの「災害対策プログラム」を通じて、宿泊施設のご支援をいただきました。

被災地での長期滞在にはさまざまな困難が伴いますが、このプログラムのおかげで、安心して支援活動に取り組むことができました。

 

   ***

 

被災をすると、不安や戸惑いとともに「〇〇災害と比べてうちの被害はこれくらいですみました」と言われる方が多くいらっしゃいます。

 

けれども、被害や苦しみの大きさは人それぞれで、誰一人として同じではありません。だからこそ、一人で不安を抱えず、利用できる制度を活かしながら無理のない再建につなげていくことが大切です。制度を使うことは、その人自身の暮らしを支えるだけでなく、被災の実態が行政に伝わることで制度そのものがより良いものへと見直され、次の災害で同じ思いをする人を減らすことにもつながります。

 

<メディア掲載情報>

10/13 南日本新聞
「助けを必要としている人はまだまだいる…大雨被害の姶良、霧島市で活動する災害ボランティアセンター 立ち上げ2カ月後もローラー作戦でニーズ掘り起こす」

9/9 鹿児島テレビ
『住民1人死亡・400戸以上が浸水被害 鹿児島県姶良市で続く住宅復旧 増えるボランティアのニーズ』

 

長期的なご支援をお願いいたします

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