2024年1月1日に発生した石川県能登半島地震から1年8ヶ月となりました。そして、地震に追い打ちをかけるように能登を襲った同年9月21日の奥能登豪雨被害からは、まもなく1年が経とうとしています。
しかし8月には、1年前を思い起こさせる豪雨にも見舞われてしまいました。
ピースボート災害支援センター(PBV)は、地震発災翌日の2024年1月2日から現地入りし、現在も引き続き輪島市と珠洲市に常駐して支援活動を行っています。直近1ヶ月の出来事についてまとめました。
支援活動のようす
被災者であり、支援者(輪島)
西二又地区の住民さんからの相談の依頼があり、寺の片付けのお手伝いをしました。
西二又地区は、地震と水害により二重被災で大きなダメージを受けた地区のひとつ。どちらの災害においても孤立し、救助が必要となった地域でもあります。
地震後もなんとか住み続けましたが、豪雨で土砂崩れが各所で起きて道路が寸断。輪島市の中心部まで30分で行けた迂回路も1時間かかるようになってしまった時期もありました。
冬場は、行政から「除雪車が入れなくなる可能性がある。緊急車両も何かあってもすぐには行けないため、身の安全を確保するためにも避難所で過ごしてほしい」と言われ、避難所で冬を越した住民の方もいました。
(※現在は、地元車両と緊急車両は通れるようになり改善されご自宅が無事だった方は地域に戻られています)
現在も、土砂崩れした場所や道路の復旧作業が日々行われています。
場所によっては、電気が通ったばかりという状況の地域もあります。
今回、ご相談の連絡があった住民さんも西二又地区にご実家がある方でした。
バイクが大好きで全国のライダー仲間と発災直後から炊き出しやこどもむけイベントなどを輪島市以外でも調整し支援をしてくださっていらっしゃる方です。輪島市支援調整窓口でも過去に3回ほどお繋ぎしたことがありました。連絡をいただいた時にも「次は〇〇地域で子どもイベントを計画中だよ~。詳細決まったら連絡するね!」と言われていました。
人のために動いていたら自分の所が遅れていることに気づき何とか片付けたい、と連絡をいただきました。
タイミングよく、ライダー仲間の方々とデロイトトーマツさんと一緒に仏具、貴重品のとり出しとバイクのタイヤの移動作業を行いました。
声をかけてく出さったことに感謝。私たちも今の西保地区の現状を知ることがで少しでもお役に立つことができ嬉しいです。
輪島市と情報共有をしながら、必要な備品を各施設にお届けする活動も継続的に行っています。たとえば避難所で使用していた洗濯機については、掃除をして福祉施設などの必要な場所にお届けしました。
地震と豪雨で二重被災し、地震時は避難所となり要配慮者を中心に受け入れていた場所です。水害時は、建物自体が1m以上の浸水被害に遭い、1階が使用できなくなっていました。
施設の機能としては、一般の方の利用、子どもたちの利用やイベントなどが行われるようになりました。しかし、施設の備品等は水没により使用できなくなっている物もあり輪島市と施設側と確認を取りながら支援を行っています。
震災の影響で利用者も別の施設に避難していました。地震で広域避難先から戻ってきた矢先、豪雨被害に遭い施設がすべて水没、土砂に埋もれた状態に……。
災害ボランティアセンターを通して、全国から集まってくださったたくさんのボランティアさんたちが定期的に掃除や片付けに入りました。6月下旬には、建物の修繕や片付けが終わり利用者さんももとの施設に戻ることができました。
しかし、市内の福祉施設はどこも職員不足の問題が大きく、このグループホームもその一つです。職員募集をかけ、職員が生活できる寮を設置するため家具家電の支援を行うことになりました。
自宅の修繕を進めていますが、なかなか思うように進まず苦戦されている状況で、工場の一角に休める場所を作って過ごされていました。そのため、工場で使用できるよう洗濯機を設置を行いました。
施設側の事情、個々の事情……背景は様々ですがお話を伺い、関係機関と情報共有しながら出来る範囲でのサポートをさせていただきながら日々活動を続けています。
輪島市と情報共有を行いながら、輪島市に届いた支援物資の片付けや整理を定期的に来てくださっている企業さんと一緒に行っています。
物資を一つひとつ「メーカー」「商品名」「個数」どんな物資があるかわかるように写真を撮りデータ化。
解体される建物から別な建物へ運び入れる事前準備も丁寧に行ってくださっています。
箱を開けないと分からない場合がよくあります。細かい文字、効果などが書いていても馴染みがない物は、使用するのにも「本当に大丈夫かな?」と使用が後回しになったり、使い切らずそのままになってしまう物も…。
今後に活かせるように、PBVでは、引き続き輪島市と連携をとりながら日々の活動に取り組んでいきます。
1年ぶり、よみがえる豪雨の不安
またも降り続く雨への備え(珠洲)
8月6~12日にかけて毎日ように降り続いた大雨の影響で、珠洲市内では川の増水、一部冠水、土砂災害が発生しました。

行政から、「大雨による大谷地区の断水が心配」との連絡を受け、雨が上がった午後に急遽、行政、社協、ささえ愛センター、NPOで、断水の可能性がある地域の在宅家庭へ、飲料水の配布を行いました。
「また、去年みたいな水害になったらどうしよう……」と心配される方もいれば、「自分の命は自分で守るよ」と安全な場所で過ごすようにすると話す方も。
夏の暑さと空が広がっている一方で、不安もいっぱいです。地震と豪雨災害により地盤がゆるみ、雨が降ると土砂崩れや河川の氾濫がまた起こるのではないかと、あの日の恐怖が蘇ります。
そんななか、もしもの時にこうやって声を掛け合い、すぐに対応を実行に移せるのは、今までの行政、社協、NPOでの連携体制があったからだと実感します。今後も、お互いに協力し合いながら活動を続けていきます。
8月6~12日まで毎日のように珠洲市に降り続いた大雨は、降り続いた雨は、昨年9月の大雨の雨量を超えたそうです。
2023年5月5日の地震から、2年3か月。
2024年1月1日の地震から、1年8か月。
2024年9月21日の水害から、11か月。
災害が起こるたびに、心が折れそうになりながらも前を向いてがんばってきた奥能登の方たちが、少しずつそれぞれの生活を取り戻してきた矢先に、今回の能登半島の大雨。住民さんたちからは、「またか」の言葉がありました。
幸い、人的被害、住家の床上浸水は免れましたが、住家の床下浸水や土砂災害、冠水による通行止めが発生。降り続く雨に不安な気持ちを抱えていた方も少なくありません。
またしても、能登半島に大きな爪痕を残しました。
災害の度に、行政、社協(ささえ愛センター)、NPO間で情報共有を行い、それぞれの分野で対応を進めてきました。組織、団体の壁を越えて話し合える関係は、今まで起こった災害から培われたもの。協力し合える連携体制があることを心強く感じます。
恩おくり~福島の学生からの能登へのエール~(珠洲)
8月13日、福島県南相馬市の学生マーチングバンドSeeds⁺(シーズプラス)が、能登へエールを送りたいと、能登、珠洲へ演奏をしに来てくださいました。Seeds+は、2011年3月11日東日本大震災で被災した福島の子どもたちが、原発の影響で離ればなれになりマーチングバンドができなくなってしまいましたが、「音楽をしたい」という強い気持ちでマーチングバンドを再開させて活動しています。
その様子をドキュメンタリー映画にして発信している、ちょんまげ隊。
PBVは、イベントの主催であるちょんまげ隊の協力をしました。
今回、「音楽を通して能登の皆さんに元気をお届けしたい」と、映画の上映と演奏をしていただきました。スペシャルゲストとして、珠洲市飯田高校吹奏楽部の学生も一緒に演奏するという特別企画でした。
被災地から被災地へ思いを伝え、エールを送る。
それぞれの想いがわかるからこそ、伝わるものも大きいのではないかと感じました。そして、何よりも、元気な学生たちの笑顔が来ていただいたの皆さんを笑顔にし、元気づけているのを感じました。
笑顔と涙があふれる素敵な演奏会となりました。
ちょんまげ隊、Seeds+の皆さん、ありがとうございました。
今後の活動予定
今後も引き続き関連団体と協力しながら、中期的な支援のために、被災者の生活再建に関わる「コミュニティ形成(サロン実施ほか)」などに力を入れていきます。そのほか状況に応じて、「被災家屋の応急対応・保全」「災害支援のノウハウ提供や支援調整」など、地元の団体や関係機関、支援団体と連携し、現地のニーズに合わせた支援活動を実施していきます。
これまでの能登半島災害での支援活動レポート
⇒ こちらよりご覧ください
長期的なご支援をお願いいたします
能登半島地震の支援のために珠洲市と輪島市に常駐し、さまざまな支援を行っていた体制をベースとし、9月21日の豪雨直後からすぐに行政、社協、支援者による三者会議を開催しました。それまでにも連携をしてきた現場の関係団体らは、チームに分かれて被害情報の把握と共有、断水地区への水や簡易トイレなどの物資支援など、協力して支援活動を進めています。
しかし、2度にわたる災害による被害は大きく、復旧は長期に渡る見通しです。
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