【初動レポート】2025年九州豪雨災害

2025年8月8日未明以降、九州各地で激しい大雨となり、河川の氾濫などによる浸水被害や土砂災害などの被害が発生しました。ピースボート災害支援センター(PBV)はこれらの状況を受けて、2025年8月9日に先遣スタッフを現地へ派遣。その後は継続して、物資支援、食事支援、家屋対応などをおこなっています。

 

九州をおそった大雨被害

2025年8月8日未明から前線の影響で、鹿児島県では線状降水帯が発生し、記録的な大雨となりました。気象庁は、8月8日に鹿児島県霧島市に大雨特別警報を発表しました。霧島市と鹿児島市の一部では警戒レベル5の緊急安全確保が発令されました。

その後、熊本、福岡、長崎など九州北部でも激しい大雨となり、8月11日には、熊本でも大雨特別警報が発表されました。各地で河川の氾濫などによる浸水被害や土砂災害などの被害が発生しました。

水につかってしまった家財(霧島市 撮影:2025年8月9日)

 

初動の支援活動のようす

【8月9日~】先遣スタッフの派遣

PBVは8月9日に先遣スタッフを派遣し、調査・支援活動を開始しました。関係機関や支援団体と連携しながら情報収集し、被害状況や支援体制、必要としている支援を確認していきます。

 

【8月10日】物資支援~飲料水・送風機の提供~

 被災地では、家屋の浸水や泥の撤去作業により、湿気と暑さで健康被害が懸念されます。 そこで8月10日に、調査を進めている鹿児島県姶良市(あいらし)に、避難所や被災家庭で使用していただく飲料水とサーキュレーター(送風機)を届けました。 この支援には、鹿児島出身の作曲家 吉俣良さん から温かいご協力をいただきました。

 

【8月13日~】物資支援~SEMAを通した支援の調整~

鹿児島県姶良市・霧島市を対象に、緊急災害対応アライアンス「SEMA(シーマ)」と連携し、企業の皆さまから提供いただく物資の調整を行っています。(※SEMAは、民間企業117社と市民団体(CSO)6団体が連携し、日本国内で迅速かつ効果的な災害支援を行うための仕組みです。PBVはSEMAの登録団体として、企業と被災地をつなぐ役割を担っています。)

13日は、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)、全国社会福祉協議会、赤い羽根共同募金、そして、姶良市社会福祉協議会の皆さんとともに、今後の物資支援に関する打ち合わせを実施しました。14日から、さまざまな企業団体より水やお茶が発送されていきます。

断水解消の見通しが立たないエリアもあり、住民の方々は給水所から水を運びながらの生活を余儀なくされています。日常生活の負担が大きく、厳しい状況が続いており、引き続き支援が欠かせません。他団体と連携し、被災地に必要な物資の提供や生活支援を迅速かつ効果的におこないます。

15日には、鹿児島県姶良市の被災地域に対し、「SEMA」を通じてアース製薬より500ml飲料水を85ケースを提供いただきました。届いた飲料水は、地域の皆さんの生活を支える大切な一助となります。

16日には、鹿児島県姶良市及び霧島市の社会福祉協議会あてに、通じて、オイシックス・ラ・大地より500ml飲料水が84ケースずつ届きました。こちらはボランティアの皆さんや地域の方々に提供されます。

 

【8月14日~】災害対応キッチンカー「フーバー」を派遣

佐賀に常駐しているキッチンカー「FOOBOUR(フーバー)」が、必要な機材を積み込み、鹿児島へ向けて出発しました。被災地で温かいごはんをその場で調理し、断水で食事を作ることができないご家庭に届けます。

※FOOBOUR(フーバー)とは……
フーバーは、「平常時」にはひとり親世帯への食事や生活用品などの支援のため「コミュニティフリッジ(公共冷蔵庫)」とも呼ばれる無人の移動型フードバンクとして、「災害時」には被災された方々に、温かい食事を提供します。

 ⇒ 詳細はこちら

翌15日には、鹿児島県姶良市で断水が続いていた地域の方々へ温かい食事を届けるために、炊き出しを実施しました。
キッチン設備を備えた車内で焼きそばを調理し、210食を提供。受け取った方からは「ありがとう。ここまで来てくれる気持ちが何より嬉しい」との声をいただきました。

16日には、焼きそばを提供した地域で、お弁当をお届けしました。自治会のみなさんと一緒に力を合わせ、あたたかい食事をお渡ししています。これからも地域のつながりを大切にしながら、復興を後押しします。

 

【8月16日~】被災家屋対応の開始

物資支援や炊き出し支援と並行して、家屋の被災状況調査を進めてきました。その中で、姶良市福祉課・姶良市社会福祉協議会・鹿児島県社会福祉協議会の皆さまと共に被災家屋をまわり、被害状況の確認や被災者の皆さまのお話を伺いました。

そして8月16日より、鹿児島県姶良市での家屋対応を本格的に開始しました。

姶良市では、床上10センチから60センチ程度の浸水が発生し、生活用品が濡れたり、生活スペースを奪われてしまったご家庭が多くあります。私たちは、床下からの水抜きや泥の撤去を行い、少しでも被災された皆さんのご負担・ご不安を和らげられるよう取り組んでいます。

 

※本活動の初動対応は、日本財団による助成を受けて実施しています。

 

これからの活動

たくさんの連携が力強い支援を生み出し、被災地の復興につながります。今後も引き続き姶良市・姶良市社会福祉協議会をはじめ地元の団体や関係機関、支援団体と連携し、「被災家屋の応急対応・保全」や「物資の支援調整」など、現地のニーズに合わせた支援活動を実施していきます。


 

長期的なご支援をお願いいたします

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