東日本大震災以降、広域で最大級の被害をもたらした台風19号。
ピースボート災害支援センター(PBV)は、福島県いわき市で被災された方たちの支援活動を展開しています。これまでいくつもの被災地支援を行ってきたPBVスタッフは、今回の台風被害に強い危機感を抱いています。
いわき市では、床上まで浸水した家屋が5,000棟を超えると見込まれています。この数字は、昨年、西日本豪雨で大規模な被害に遭った岡山県倉敷市の被害件数に匹敵します。そして、倉敷市では、発災当初や多くの災害ボランティアが駆けつけ、日によっては2,000人以上の方が活動しました。しかし、今回の台風19号では、甚大な被害を受けた地域が複数あり、災害ボランティアも分散しています。いわき市災害ボランティアセンターでは、平日では100人前後、週末は300人程度が活動しています。
一歩ずつ、被災した家屋の清掃に取り組んでいますが、それでも圧倒的に災害ボランティアの手が足りないのが現状です。PBVでも、災害ボランティアの募集を開始し、いわき市災害ボランティアセンターのサポートをしつつ、被災者の生活再建に向けて取り組んでいます。
◆被災家屋の清掃
住民さんとお話している中で、災害後から家の中の物の搬出がまだ終わっていないという方に出会いました。その方は、単身の年配女性で、自分では作業をするのが困難のため、現在は娘さんの家で避難生活をしているとのことでした。いわき市災害ボランティアセンターへボランティア依頼はしているようですが、なかなか作業に入ってもらえていない状況です。PBVもボランティアセンターの運営サポートに入っていますが、まだまだボランティアの手が足りていません。災害ボランティアセンターでも、住民さんからの依頼に応じて、一軒一軒、お宅に伺いながら清掃活動を行っていますが、まだまだ対応できていないニーズがたくさんあります。
清掃活動に入ったあるお宅では、床上160㎝ほど浸水被害がありました。1人暮らしの女性のお宅で、発災後にいちど自宅に戻ったけれども1人では手におえない状態だったので、そのままになっていたそうです。ドアに泥が詰まって開かない状態で、玄関から泥を取るところから始め、なんとかこじ開けて活動を開始。まずは、残すものと廃棄するものをゆっくりと考えてもらいます。住民さんにとっては一つひとつの家財に思い出があります。そこを一緒に活動するボランティアにも説明し、想像しながら作業を進めていきます。
また濡れた畳は100kg近くになり1人では持ち上げることもままなりません。みんなで協力し合計で72枚を搬出。そのほか家財などを含めて軽トラ2台をフル稼働させて動きました。一軒のお宅でも、濡れしまった家財の選別、搬出、室内の清掃、そして床下の泥だし、乾燥、消毒など、多くの作業と人手が必要となります。これから本格的に冬がくる中で、被災した家屋の清掃作業は住民さんにとって心身ともに大きな負担になっていきます。1人でも多くのボランティアがいわき市に駆けつけてくれる事により救われる方が沢山います
◆家屋の保全講習会
多くの住民さんにとって、災害に見舞われるのは初めての出来事です。家を片付けるにも、何から始め、どのようなことに注意していけば良いのか途方に暮れます。水害にあった時の具体的な対処方法を伝えるために、住民向けの「被災家屋の対応講習会」を実施しています。
自宅再建のために、被災家屋の対応技術持つ風組関東の皆さんを講師に招き、過去の被災地の事例を交えながら、どのような対応が良いのか説明いただきました。公民館に、30人近い住民さんが参加し、実際に床板の外し方やコツなどもお伝えしていきます。また、浸水してしまった壁の対応方法、消毒に関する細かな相談、土ぼこりが酷いからなるべく窓を開けずに乾燥させる方法など、それぞれの世帯で不安に感じていることを聞くことができました。
浸水被害を受けた家屋に、一番良くないのは「湿度(水分)」です。家の中に入ってきた水は、様々な雑菌などが含まれ、水分を放置しておくとひどいカビの原因になります。清掃後によく乾燥させることがとても重要になります。まだまだ家屋保全に関して、何をしたら良いのか不安に思っている住民さんは沢山いらしゃいます。今後も講習会を開催していきたいと考えています。
浸水家屋の清掃活動は、多くの人の手によってようやく前に進むことができます。
PBVが募集している災害ボランティアでは、宿泊場所や装備などを準備しています。PBVスタッフなどが一緒に活動しますので、初めて参加される方も大歓迎です。お時間のある方は、是非、福島県いわき市に手を添えていただけると嬉しいです。
●1日から出来るボランティア いわき市災害ボランティアセンター
https://www.iwaki-shakyo.com/volunteer/saigai-volunteer.html