【ブログ】 つながりの先に、協働を考える

6月12日と13日に、第3回「災害時の連携を考える全国フォーラム」が開催されました。

 

この全国フォーラムは全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)が主催し、災害支援団体やネットワーク組織、社会福祉協議会、行政、企業、研究者などが、包括的に「民間と行政」、「民間と民間」の連携・協働を検討するために集いました。今年で、3回目となる全国フォーラムでは、お互いにつながりを持つことからより具体的に課題を解決するための方法が模索されました。

 

 

現在、災害支援の現場では「連携」や「協働」が大きなテーマとなっています。巨大災害の可能性が叫ばれる中で、災害支援を担う多くの組織は、一つのセクターや一つの仕組みでは、被災者の救済や支援が難しいと考えています。

 

近年、災害が発生すると地域の社会福祉協議会が個人の災害ボランティアを受け入れるために、災害ボランティアセンターを立ち上げ運営することが、仕組みとして出来上がってきました。一方で、NPOやNGOなどの民間支援団体が被災地に入りそれぞれの特徴を活かした支援活動を展開します。被災者の困りごとやニーズを共有しながら、お互いの不得手な部分を補完し、お互いの強みを活かした連携・協働を行なうことで、より多様できめ細かい支援を実施できます。

 

東日本大震災では、地域によって支援が入る規模に偏りがあることも分かってきました。被害状況に照らして、必要な支援を調整する必要が出てきました。そこで、大きな災害では全国域や県域での支援を調整するネットワークが重要となります。行政としても、個別の支援組織と連絡・調整することには限界があり、全国規模の民間支援組織ネットワークを求めていました。そのような背景から、誕生したのが今回のフォーラムを主催する全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)です。

 

行政の防災計画にも民間支援団体やボランティアとの協働が明文化され、その社会的期待は高まっています。内閣府(防災担当)では、『防災における行政のNPO・ボランティア等との連携・協働ガイドブック〜三者連携を目指して〜』を発行し、行政と民間の連携を推進しています。

 

ただ、まだ課題が山積しています。例えば、被災した自治体や社協職員としては支援にやってきた団体が信頼にたる組織なのか判断に困る場面もあるそうです。連携するために、平時からの「顔の見える関係」が強調されるのは、このような背景があります。フォーラムでは、全国から支援団体や企業、行政機関などの関係者が500人以上集まり、今後の災害に立向うために活発な議論がなされました。このような場が定期的に開催されることが、まずは連携の第一歩となります。そして、個々の組織の集合体に留まらずに、有機的なネットワークとして、お互いの限界を補い、強みを最大限発揮することが、被災者の生活再建に繋がっていきます。

 

 

 

 

国連では、「SDGs(持続可能な開発目標)」や「仙台防災枠組み」が世界的な指針となっています。このような指針が、各セクターの共通目標や共通の言語として取り扱われ一定の成果を生み出しています。国内の災害対応分野も、今までそれぞれのアクターが自分たちのミッションでバラバラに動いてきたものを、JVOADを通じて「災害課題を市民や行政が協働して解決にあたる」という共通目標を持ち、より丁寧な被災者支援を実現していくことが大切です。

 

PBVとしても、このような問題意識を共有し、この社会的な流れを促進していきたいと考えています。今回のフォーラムでも、事務局運営のサポートにスタッフを派遣し、より有意義な集いになるように努めました。また各テーマごとに議論を深める分科会では、「避難所・避難生活における支援」と「災害時の支援コーディネーションに必要な情報の収集」で登壇し話題提供を行ないました。

 

 

 

 

いち災害支援組織として、一人ひとりの被災者を支える支援能力を磨いていくことはもちろん、日本の支援構造全体にも貢献していけるように努めていきたいと思います。