1月24日、上智大学・四谷キャンパスにて、「災害ボランティアのこれから」と題して、東北支援の今後と、防災・減災のためのボランティアリーダー育成の取り組みについて、報告会とパネルディスカッションを行いました。
当日の来場者は、学生を中心に100人以上。「震災から10ヶ月以上が経ち、被災地での活動ニーズがどう変わってきているのか知りたい」「ボランティアに行く前に、事前にイメージをつかみたい」と、ボランティア経験者にも、これから参加予定の方々にも、たくさんお集まりいただきました。
第1部のテーマは「東日本大震災 ボランティアの現場から」。
表:東日本大震災 ボランティア活動実績の推移
出所:全国社会福祉協議会・全国ボランティア・市民活動推進センターHP
上記グラフからは、イベント最初に紹介したボランティアの人数の推移。被災地となった各自治体の社会福祉協議会(以下、社協)が運営する災害ボランティアセンターでは、岩手・宮城・福島の3県では、これまでに90万人(日別のべ活動人数)を越える個人ボランティアが活動しました。
この人数に加え、NGO/NPOに所属して現地へ入ったボランティアや、特に所属を決めず独自のルートで活動してきた方々を含めると、17年前「ボランティア元年」と呼ばれた阪神淡路大震災で活動した人数を大きく上回っていると思われます。
5月、「とにかく現地の役に立てれば」と単身・気仙沼に向かった浅田麻衣さんは、知り合いを通して、JVC国際ボランティアセンターのボランティアとして約1ヶ月、現地社協・災害ボタンティアセンター(以下、災害VC)の運営サポートを行います。
被災者から上がってくるニーズと、駆け付けてきたボランティアをマッチングする機能を担う災害VCは、大きな混乱にありました。そもそも災害VCの運営を行う社協は、普段は地域福祉などが主な活動。10年以上前から現場経験を持つボランティア・コーディネーターの育成も試みてきたものの、これだけ広範囲で大規模に渡る災害に対応するには圧倒的に人数不足でした。
各地の災害VCには、全国の社会福祉協議会やNGO/NPOなどが助っ人として応援が駆け付けますが、全員が初対面。地元を知らず、お互いの強みやこだわりを知りません。バラバラにやって来る個人ボランティアをまとめるのと同じように、バラバラにやって来るコーディネーターをまとめるのも一苦労です。情報の集約が上手く行かず、団体同士で揉める姿を目の当たりにすることもあったそうです。
「ボランティアや応援のコーディネーター・NGO/NPOなどをどうやって受け入れるのか?一度、災害が起こってから考えてもすぐには対応できないと思い ます。普段から、どんなモデルが可能なのか、しっかり考えておくべきだと思います」と、連携の大切さと平常時の取り組みの大切さを強調していました。
浅田さんの話を受け、今回、第1部のモデレーターを務めたPBV代表理事の山本隆からは、石巻の現場でつくり上げてきた社協・石巻災害復興支援協議会という2つの協議会による「石巻モデル」を紹介。
左)石巻災害復興支援協議会のミーティングの様子
右)「石巻モデル」の支援スキーム(出所:石巻災害復興支援協議会HP)
災害VCで約11万人、災害復興支援協議会で約14万人。
計25万人のボランティアを受け入れた石巻市のボランティア数の推移。
石巻市では、ボランティアの受け入れが災害VCから、災害復興支援協議会所属のNGO/NPOへとシフトしてきている。(※出所:石巻災害復興支援協議会HP)
山本は、阪神淡路以降、海外を含めて多くの災害現場のいたる所で、団体同士の揉め事が効果的な支援を妨げる場面を経験してきまし た。
「今回、石巻で活動する中でとにかく気をつけたのは、他団体を非難せず、絶対にもめないこと。そして、各団体が自分たちの活動に最後まで責任を持つこ と、でした」。
※次回、第1部後半は、今回の震災で新しく生まれた多様なボランティア層について、インターナショナル(国際)・ボランティアと、企業ボランティアについてを紹介します。