ネパールの大震災から、1ヶ月が経ちました。
現地は、落ち着きを取り戻しつつありますが、地域によっては厳しい状況が続いています。
ネパールで地震災害が発生した地域での先遣調査と支援活動を実施していたPBVスタッフが一時帰国し、5月21日に現地報告会を行いました。PBVでは、5月3日にネパールに先遣職員を派遣し、現地の被害状況やニーズの調査、また支援物資の配布などを行ってきました。
報告会では、まずはPBV海外プログラム担当のロビン・ルイスから現地状況の説明を行いました。
首都のカトマンズ市内では、多く人達が広場やバスロータリー、公園などで簡易なテントを建て共同生活している状況です。ネパールでは、レンガ造りの家が多く、比較的耐久性が弱いために、多くの家屋が倒壊してしまいました。家を無くした人がテントでの生活を強いられていますが、半壊の家屋でも「余震のために家で寝るのが怖い」という声を多く聞きました。5月12日に発生した大きな余震では、パニック状態になった方もいて、その恐怖心が伝わってきました。カトマンズは人口密度が高く、また平野部が少ないために、街には広い場所が少ないのも問題になっています。そして、今後数週間で雨季が始まるので、緊急シェルターの必要性が高まっています。
山岳地帯でも多きな被害が出ていますが、道路状況が悪いため物資を届けるのがとても大変でした。急場をしのぐためのシェルターキットの配布なども行いました。
現場の様子は、PBVホームページのブログ「現地レポート(1)」でも紹介しています。
今回の、先遣調査に参加したインターネット市民メディア「8 bit news」の蜂谷翔子さんから、現地で撮影した映像を紹介していただきました。早急な支援を届けるために支援団体が奔走している様子も、ドキュメンタリーとしてまとめています。撮影した映像は、随時「8 bit news」のホームページにアップされ見ることができます。
続いて、PBVのセイフティ・オフィサーのサイモン・ロジャーズから現地団体との連携と今後の支援内容について、紹介しました。
今回のネパール支援は、日本の国際協力NGOで長らくネパールで活動を続けいる(特活)シャプラニールの協力のもと実施しています。シャプラニールとの繋がりのある現地団体とも連携しています。
その現地団体の一つで、1987年からネパールで子どもの権利擁護の活動を続け、広くネットワークを持っているChild Workers in Nepal Conerned Centre (CWIN)と協働することになりました。通常、CWINは、児童労働の問題に取り組み、専門ボランティアを中心に子どもに関するホットラインの設置や移動カウンセリング、健康チェックなどを行っています。
今回の大震災で、学校も大きな被害を受け、まだ開校できていない学校が多くあります。震災後以、CWINでは通常の活動に加えて、被災者への物資配布の活動も行っています。毎日200名以上のボランティアが集まり活動を行っていますが、それ以上のボランティア参加希望もあります。ボランティアは、何千もの支援物資の荷物おろし、仕分け、キット作りに奔走しています。
しかし、マネージメントするスタッフの人数が足りず、参加希望のボランティアを断っている現状もあります。また、スタッフへのボランティア受付や登録の負担が大きく、安全管理にも課題があります。日本で言えば、災害ボランティアセンターの機能にあたりますが、もう少し組織化し効率的に活動が行えるようにできると感じました。ひとまず、スタッフと緊急時への対応を話し合い、その対策プランを作りました。
国連人道問題調整事務所(OCHA)も子どもへのサポートを優先事項に上げていますが、学校の新学期が4月から始まる予定にはなっているが教材等も不足しています。その他の物資などに関しても、子どもへの支援が不足していると感じています。
今後、PBVとしては子ども向けキットの物資配布やボランティアセンター運営のサポート、職員向けボランティアトレーニングなどを行っていく予定です。ネパールには、日本のような災害ボランティアセンターという仕組みはありませんが、PBVがこれまでに培ってきたボランティアコーディネーションの経験が活かせるのではないかと考えています。また、地元の中でのお互いが助け合う形のお手伝いができたら嬉しいです。
報告会を終え、第二次支援を実施するためにPBVのサイモン・ロジャースと羽田道子が5月26日にネパールに到着しています。現地の様子は、随時PBVブログやフェイスブックで紹介していきます。
また、支援活動を行うための募金を引き続き募集しています。
※今回の先遣職員の派遣調査は、認定NPO法人ジャパンプラットフォーム(JPF)の助成を受けて実施ています。被災者への支援は、皆様のご寄付によって行っております。