「石巻に帰ってきたよ」と話すのは、オーストラリア人のPaul Bilneyさん(以下、ポールさん)。震災と津波被害をニュースを知って、昨年4月に初来日。以来、昨年8月、今年1月、そして今回と、宮城県石巻市でのボランティアに参加するために、飛行機でオーストラリアからやって来るベテランのインターナショナル・ボランティアです。
オーストラリア在住のポールさん(右)。小さなコアラとカンガルーのお土産をプレゼント。
ポールさんが災害支援に関わったのは、スマトラ沖地震がきっかけ。2005年、津波被害を受けたタイを訪れ、オーストラリア警察や専門機関とともに、被災者のサポートに当たりました。
東日本大震災でも、たくさんの人が犠牲になったことを知り、自分にできることを考えた結果、日本へボランティアに行く決意をしました。その後も自費で3度来日、そして今回はアデレードにある団体「Japan Australia Friendship Association (JAFA) 」のプログラムでの来日です。
来日したのは、ポールさん、パートナーのFionaさん、Kelly Morelliさん、James Lawlerさん、そしてRichard Jonesさんの5名。
これまでの活動が、今回オーストラリア大使の耳にも届き、大使公邸にご招待いただきました。
ポールさんは、これまで4回のボランティアの度に、少しずつ石巻の変化を感じてきました。家やお店や道路に溜まった泥をかき出し、数え切れないほどの土嚢袋を運んだ昨年と比べ、畑づくりや養殖再開に向けた漁業支援に関わるなど、今年は地域に根ざして、地元の方々といっしょに活動する機会が増えたと言います。
2011年4月、ポールさんたちの活動は市内の清掃作業がほとんどだった。
2012年1月、仮設住宅入居者支援の一環で、畑づくりにも参加した。
Paulさんは今回、牡鹿半島で関わったホヤの養殖作業に関わりました。漁師さんからも、震災で起こった悲劇や浜のこれからについてなど、様々なことを教わりました。明らかに長い時間を必要とする浜の立て直しにも関わらず、いつも前向きに未来を考える姿、そして休憩の度に、冷たいドリンクやアイスクリームなどを差し入れしてくれるその優しさに、心から感動させられたそうです。
※今回の牡鹿半島でのポールさんたちの活動が「Ganbatte365」で紹介されました。英語版はこの下。
ポールさんは、帰国しても「今回見た日本のこと、東北のことを話してほしい」と各地で引っ張りだこ。大手マスコミ報道の情報で、多くのオーストラリア人が「日本はもうすべて大丈夫」と勘違いしてしまわないよう、これまで16回に渡って職場や大学で自分の体験談を語ってきました。
「東北の人々のことは、何年経っても忘れない」と語るポールさん。現在は、5回目の来日に向けて、オーストラリアで準備を始めているそうです。