これまで、ここで紹介してきたボランティアの仕事には「泥出し」が多くなっていましたが、ピースボートのボランティアの仕事は泥出しだけではありません。
炊き出し用の食事を調理する「キッチン」、それを数十人分に分けて届ける「デリバリー」、世界中からの届く支援物資の管理・整理をする「ストアー」、港小学校をはじめ避難所でのお手伝いなど、グループ別に活動を行っています。
数回に分けて、ボランティアの活動内容を追います。今回はまず「キッチン」編です。
ピースボートの炊き出しでは、一日に1,000~2,000食を調理し、配布しています。調理担当は「キッチン」チーム。一日の炊き出し地域をホワイトボードで確認、作業のミーティングをします。
今日の配布地域は9箇所・昼夜合計1140食。献立は「クリームシチューと大根の浅漬け」。
1,000人分を超える食材となると、かなりの量です。たまねぎ・じゃがいもは30kgずつ、キャベツ・にんじん・青梗菜・豚肉を20kgずつ。米はなんと80kg。
当然、野菜の皮むきやカットの作業は力がいる大仕事です。6名のキッチンメンバーではなかなか手が回りきりません。そこで下ごしらえについては「デリバリー(炊き出し・日用品の配布担当)」(活動内容は、次回紹介予定)のチームから助っ人が入り、手伝います。
現在キッチンメンバーをとりまとめている、ボランティアスタッフの森永陽子さん。
調理師・管理栄養士として10年の経験を持つベテランです。献立を考える際には、食材の在庫状況はもちろんのこと、バリエーションの変化をつけるように、また、できるだけいろいろな年代の人に喜んでもらえるようなメニューにするよう、心がけています。
デリバリーチームが下ごしらえの手伝いをしてくれるようになってから、副菜を作る余裕が出きました。炊き出しを利用されている方からは、浅漬けや胡麻和えなど野菜の副菜が喜ばれています。
森永さんは、炊き出しを配ってきたデリバリーチームが帰ってくると、必ず「今日はどうでした?」と聞きます。伝わってくる「煮物が嬉しいわ、っておっ しゃってましたよ」「野菜たっぷりのメニューだと嬉しいって話しているのを聞きました」という利用される方からの感想が、次の献立作りにとって大事だから です。
野菜や肉など生ものの管理は難しく、一時期、野菜不足に陥って困ったこともあります。こちらは、東京での呼びかけにより、各所から野菜の提供を受け、今は 何とか一日1000食分を確保できるようになりました。時には地元の方から、材料の差し入れをいただくこともあります。周りの皆さんに支えられて、炊き出 しが続けられていることを実感しています。
炊き出し配布の場で、自分が作った料理を「美味しい」って食べてくれている方を見たとき、心から「作ってよかった」と思うという森永さん。でも一方で、 「今日はあれが食べたいな」と食事が選べる日常を、一日も早く皆さんに取り戻してほしいとも思っています。それは、きっとキッチンチームみんなの共通する 思いでしょう。
さあ、ご飯も炊き上がり、準備完了!
ここからはデリバリーチームがキッチンからの料理と気持ちを届けます。